現在、機種別のデジタル一眼レフ国内シェアのNo.1をEOS Kiss Digital Xが獲得していながらも、その下には「D80」、「D40X」、「D200」といったニコン勢が2~4位を獲得しており、メーカー別総合シェアでは、ニコンに負けているという現実がある。
そのため、今回の40Dの投入で、これまでやや手薄だった中堅機市場を本機で獲得し、国内市場でのトップシェアを奪還しようというのが、今回の戦略といえる。発表会では、40Dで今年9~12月期の機種別シェア20%を獲得すると豪語。Kiss Digital Xでさえ市場シェアは24%前後であり、11月には超強力なライバル機D300が控えているのだから、この数字は無謀にも思えるのだが……。
このほか、標準スクリーンでは、ざらつき感が気になった。とくに、標準ズームとして推奨している「EF-S 17-85mm F4-5.6 IS USM」のようにF値が暗めのレンズを装着すると、ファインダー全体が妙にざらついた印象を受ける。人によっては気にならないかもしれないが、1度気になり出すとどうもいけない。もちろん、撮影に支障があるというわけではないし、より明るいレンズを装着すればその印象は軽減される。
40Dでは、どのモードでもISOのAUTOを選ぶことができるようになった。これは小さな仕様変更といえるかもしれないが、実際にスナップショットなどで使ってみると、格段に便利。この仕様変更だけでも、30Dから40Dに買い換える価値があるのでは? と思ってしまうほどだ。個人的にはこの仕様を40Dだけではなく、現行のKiss Digital Xにも適用して欲しいくらいだ。
ただ、その制御は、必ずしも希望通りのものでもない。ISO感度をAUTOにすると、日中炎天下でも、ISO400に自動設定されることが多い。カタログ上ではISO100~800の間での制御になるということだが、今回使用したEF-S 17-85mm IS USMを使う限り、ISO400以下に設定されるケースはなかった。
発想を変えるなら、40Dもいいが、Kiss Digital Xを買って、余った分で家族と旅行に行くという手もある。また、写真をより本格的に楽しみたいなら、ややスキルが高いがポテンシャルも高い35mmフルサイズのEOS 5Dもいいし、過去に一眼レフで写真を楽しんだ人なら、いっそ1D系を……という選択肢も検討して欲しい。もっといえば、このタイミングならもうちょっとだけ待って、D3やD300、ソニーのα700など、魅力的なライバル機をひと通り見て、実機を手にしてから決めてもいいんじゃないかと、素直に思う。