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【新製品レビュー】リコー Caplio R6

~7.1倍ズームとCCD式手ブレ補正はそのままに、さらに薄く
Reported by 上田晃司

 リコーCaplio Rシリーズの最新機「Caplio R6」は、2006年9月に発売された「Caplio R5」の後継となるモデルで、広角から望遠まで広範囲にカバーする光学7.1倍ズームレンズ、CCDシフト式手ブレ補正機能などの基本性能は維持しながら、さらに薄くなり細かな改良が加えられ登場した。

 大手家電量販店での実売価格は4万7,000円前後だ。


スリムになったボディ

R6の上面
 スペックだけ見てみると前機種Caplio R5と比べても画素数724万画素、光学7.1倍ズーム、CCDシフト式手ブレ補正と一見何も変わってないように見える。しかしながら、Caplio R6の魅力はやはりスリムになったボディだろう。高倍率ズームモデルになってくるとやはりボディの厚みが犠牲になりがちだが、本機では最薄部20.6mmの薄さを実現している。

 この薄型化の為にレンズユニットのコンパクト化、沈胴時にレンズの一部がスイングすることでボディー内にすべてのレンズが収まるリコー独自の技術「ダブルリトラクティングレンズシステム」の進化、レンズの厚みの調整などにより、光学7.1倍のズームレンズ搭載とは思えないボディの薄さを実現している。

 新開発のCCD式手ブレ補正も制御アルゴリズムを改善し、より手ブレに強くなり望遠端200mm相当を使用する時や、暗い時の撮影にはかなり役立つ。

 外観デザインもよく、質感も高級感があり好印象である。胸ポケットに入れていても気にならないほど軽量でコンパクトだ。片手で気軽に扱えるように設計されたボディは、ホールド感もよく、スナップ写真を撮る時などには本当に便利だ。ボディカラーもシルバー、ブラック、レッドの3色が用意されている。


解像力のあるレンズ

 本機では広角から望遠までカバーする、35mm換算で28~200mm相当のレンズを搭載している。開放F値は、F3.3~5.2となっている。R5ではF3.3~4.8だったので望遠側が若干暗くなっているようだ。最近のカメラにしては若干暗めの印象を受けたので、欲を言うともう少し明るくして欲しかったが、最薄部20.6mmにレンズを収納しなければならないことを考えれば仕方ないだろう。

●ズーム作例
※作例のリンク先は撮影画像です。クリックすると3,072×2,304ピクセルの画像を開きます。
※写真下のデータは、絞り/シャッター速度/露出補正値/感度/ホワイトバランス/実焦点距離です。


広角端
F5 / 1/440秒 / 1/3EV / ISO100 / オート / 28mm
望遠端
F5.2 / 1/500秒 / 1/3EV / ISO100 / オート / 200mm

 ハレーションやゴーストはシチュエーションによって出る場面もあった。特に光源のある被写体や太陽を入れて写すと出やすいようだ。とは言え、レンズの描写はよく、マクロで花を写した時には、茎の毛1本1本まで確認できるほど繊細に描写してくれた。とても解像力のあるレンズだと実感できた。

 ズームに関しては、動作音のノイズが気になったが、操作感に関してはとても快適だった。ズームレバーは、R5の時は液晶画面の右上の位置にあったが、本機ではシャッターボタンの周りに移り、さらに操作が楽になった。ズームもスムーズで、ストレスは感じなかった。ステップズーム機能を使用すると28/35/50/85/105/135/200mm相当の間隔で7段階のズーミングすることが可能だ。通常一眼レフカメラを使用する人にもオススメの機能だろう。

 フォーカスモードは「マルチ」、「スポット」、「MF」、「スナップ」、「無限」の5つのパターンから選択できる。液晶モニターを見ずにスナップ写真を撮影する時に便利な「スナップ」モードは、フォーカスを2.5mの所で固定しているので、少し絞りを絞って利用すると面白いだろう。「無限」は風景、夜空や星を撮る時に役に立つだろう。

 さらに、AFターゲット移動機能も搭載しているので、三脚を使用して風景やマクロ撮影する時には非常に重宝する。カーソルを動かし、任意にフォーカスを合わせることができる。三脚を使用していない時でも手軽に使用できるので、ピント合わせが容易になるだろう。オートフォーカスは速く、不満を感じることはなかった。

 本機はマクロにも強く、広角端で1cmまで被写体に近づいて撮影することが可能だ。望遠端で25cmまで近づくことのできるテレマクロ機能も搭載しているので、昆虫など近づきにくい被写体にも対応できる。テレマクロ機能を使用して背景をボカすことも可能だ。

●マクロ作例
※作例のリンク先は撮影画像です。クリックすると3,072×2,304ピクセルの画像を開きます。


F5.2 / 1/500秒 / 0EV / ISO64 / オート / 33mm
テレマクロで葉っぱを撮影、背景のビルもいい感じにボケてくれた
F5.4 / 1/870秒 / 0EV / ISO100 / オート / 5.4mm
マクロで桜の花を撮影。空の色桜の花の色共にイメージ通りに色が出た。太陽の影響で少しハレーションが起こっている

F5.2 / 1/4秒 / -1 2/3EV / ISO64 / オート / 33mm
テレマクロで花を撮影。背景を黒にしたので-1 2/3EVの露出補正をした。茎の毛まで見えるほどよい描写のレンズだ

 また、フォーカス関連の設定で新しくなった点として、被写体の顔を認識してピント合わせを行ってくれる「フェイスモード」の搭載があげられる。フェイスモードはシーンモードのひとつとして搭載されており、カメラが画面内の最大4人までの顔を認識してくれるというもの。ピント合わせだけでなく、露出、ホワイトバランス、などを自動的に調整し適正に撮影してくれるのもうれしい。

 実際に使用してみた感想だが、記念写真など正面を向いている人物を撮るぶんには軽快にピント合わせを行なってくれる。だが、顔の認識速度が少し遅い印象を受けるし、動いてる人や下を向いている顔、横顔はほとんど認識しない感じだ。やはり顔の輪郭や目、口を認識しているのだろう。試しに、人の顔の写った写真をフェイスモードでフレーミングしてみたところ正面を向いている写真はほとんど認識した。顔の大きさについては、被写体から離れすぎても認識しないことがあったが、その際には少しズームを使って寄ってあげると認識することが多かった。

 露出に関しても、逆光時など顔が暗くなりやすい場面でも顔が少し明るく写るように補正してくれているようだが、その一方でAUTOモードで撮影した場合と変わらないこともあった。

 そのほか、シーンモードには、高感度撮影に便利な高感度モード、アーティスティックな表現に最適な白黒/セピアモードなどが加わった。


使い勝手のよいADJ.ボタンやマイセッティング

R6の背面
 操作性のよさに貢献しているADJ.(アジャスト)ボタンが、R5から継承されている。ADJ.ボタンで露出補正/ホワイトバランス/ISO感度をワンタッチで呼び出せるほか、画質/フォーカスモード/シャープネス/測光方式/連写/オートブラケット/音声付などを自分で割り当てることもできる。オートブラケットを頻繁に切り替えて使う筆者には便利だった。ADJ.ボタン以外のメニューボタンや、マクロモード切り替えボタンなども親指1本で操作できる位置に、シンプルに配列してある。

 本機には「マイセッティング」機能が搭載されている。マイセッティングにはよく利用する自分の好きな撮影セッティングを2つまで登録する事ができ、モードボタンで切り替えることができる。例えば、設定1は低感度ISOのセッティング、設定2は高感度ISOのセッティングを登録する、といった使い方が考えられる。

 感度はISO1600まで設定できる。通常スナップ撮影などではISO400までは使えるように思えたが、風景など撮る場合はISO64またはISO100をおすすめしたい。三脚やカメラを置いて撮影する場所がない場合は、ISO400で撮影するとよいだろう。どうしても手ブレや被写体ブレを起こすようであれば、最後の手段として高感度を使うことをおすすめしたい。

 ISO64や100ではとても細部にわたってシャープで色のりもよい。ISO200あたりから暗部に細かいノイズが出てくるが等倍にしないと気にならない。ISO400になると細かいノイズとともに解像感が若干なくなってくる。ISO800になると写真全体的にノイズが出るうえに、解像感が失われ、ソフトなイメージになる。ISO1600になるとざらざらなノイズが画面全体にかなり目立ち、彩度が失われる。ISO1600を使用する場面は非常用と考えるのがよいだろう。

 さらに、ISO感度オートの「AUTO-HI」を選んだ時、自分で最大感度の上限を決めることができるので、画質を考慮しながらオートISO感度を使用できる。ISO感度上限は、ISO400/800/1600の3つから選べる。

●感度比較


ISO64 ISO100

ISO200
ISO400

ISO800
ISO1600

 液晶モニターは広視野角の23万画素2.7型。R5の2.5型23万画素から若干サイズアップしている。野外で使用していても、直射日光が直接モニターに当たるような特別な状況以外では、見づらいと思うことはなかった。ハイアングルやローアングルで使用してもストレスなく撮影できた。また、再生時にDISP.ボタンを押せば白トビ具合を確認できる。

 専用バッテリーでのCIPA規格準拠の撮影可能枚数は、約330枚。R5は同約380枚撮影だったので若干撮影枚数が減ったことになる。1日の撮影で330枚撮影する事はなかなかないが、撮影可能枚数が減った事は少し心細い、次期機種に期待したいところだ。記録メディアは、本機から4GBのSDHCメモリーカードに対応した。


まとめ

 本機は、オートで撮るカメラなのでA/S/Mモードなどは搭載していなが、露出補正やISO感度などは自由に設定できる。シーンモードでは、フェイスモードを新たに搭載し、人物撮影や記念撮影をより簡単にミスなくできるだろう。液晶モニターは見やすく表示も大きいのでミスを減らしてくれる。初心者には安心して使えるカメラだろう。とは言え、薄型で広角28mmから望遠200mmまでカバーしている上マクロにも強いのでカメラ好きのユーザーのサブカメラやスナップカメラとしてポケットに入れて持ち歩くのもおすすめだ。


そのほかの作例

F5 / 1/760秒 / -1/3EV / ISO100 / オート / 4.6mm
井の頭公園にて撮影。手前のあひるボートにピントを合わせたので全体的にふんわり柔らかくなった
F5.4 / 1/1,000秒 / 1/3EV / ISO64 / オート / 5.4mm
太陽と桜を真下から撮影、意外にもハレーションやゴーストは起こらなかった

F5.2 / 1/380秒 / 0EV / ISO100 / オート / 33mm
望遠で桜を撮影、背景も綺麗にボケてくれた。空の青も鮮やかで綺麗だ
F9.4 / 1/1,410秒 / 0EV / ISO400 / オート / 33mm
夕暮れの空を撮影、曇りという事もありドラマチックな空を表現する事ができた

F5 / 1秒 / 1EV / ISO200 / オート / 20.1mm
シーンモードのB/Wで撮影、意外と雰囲気のある写真に仕上がった
F5.2 / 1/410秒 / 2/3EV / ISO200 / オート / 33mm
用水路を泳ぐカモに遭遇したので撮影。陰と日が当たっているところを行き来していたので、2/3EV露出補正して撮影

F5.2 / 2秒 / 0EV / ISO64 / オート / 33mm
夜中の公道を歩道橋から撮影。少しアンダー目に撮影したが、意外と雰囲気のある写真になった
F5.2 / 1/24秒 / 0EV / ISO100 / 1/2EV / オート / 33mm
駅を桜と電車を入れて撮影、スローシャッターで電車を流すことができた

F3.3 / 1秒 / 0EV / ISO100 / オート / 4.6mm
夕方、お店を撮影。オートホワイトバランスには難しい色だがイメージ通りに撮影できた
F4.5 / 1秒 / 0EV / -1EV / ISO64 / オート / 11mm
工事現場のクレーンを撮影。強力なライトのせいかゴーストが現れた


URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/caplio/r6/

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上田晃司
(うえだこうじ)1982年広島県生まれ。アメリカ、サンフランシスコ留学し、写真、映像の勉強をする。学生時代にTV番組やCMを制作するものの人物写真に目覚め、写真家を目指すことを決意。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントしながらフリーランスのカメラマン、ライターとしても活動を開始。

2007/04/24 01:18
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