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【新製品レビュー】キヤノン IXY DIGITAL 1000

~フラッグシップの名に恥じない名機
Reported by 斉藤博貴

IXY DIGITAL 1000と一緒にタイまでやって来た。背景に広がる景色は第二次世界大戦中に作られた泰緬鉄道のアルヒル桟道橋(現地名はサッパーン・タムグラセー)
 IXY DIGITAL 1000とIXY DIGITAL 900 ISが同時発売された時、ボクは躊躇することなく1000を選ぶことができた。それはスペック表の中に1/1.8型CCDという記述を発見していたからだ。画素数に変遷が見られるものの、この大型CCDのサイズはIXY DIGITAL 400(2003年発売)以来、IXY DIGITAL 450/500(2004年発売)→IXY DIGITAL 600(2005年3月発売)→IXY DIGITAL 700(2005年5月発売)と4代に渡って受け継がれてきた。

 実はボクは、この1/1.8型CCDの搭載機だけがIXY DIGITAL シリーズのフラッグシップ機! と信じているのだ。何でこんなことを冒頭から語っているのかというと、キヤノンIXY DIGITAL 総合カタログ2006年9月号を見て驚いたからだ。一番最初に紹介されているのが1/2.5型CCD搭載のIXY DIGITAL 900 ISで、2番目が1/1.8型CCD搭載のIXY DIGITAL 1000となっているからだ。これは下克上なのだろうか?


IXYDIGITAL 1000はこんなカメラ

 IXY DIGITAL 1000は1/1.8型有効1,000万画素CCDを搭載し、画像処理エンジンに最新型のDIGIC IIIを搭載する。3倍ズームレンズは35mm判換算で37~111mmと必要十分な画角があり、無理のない設計による素直な描写性能が期待できる。撮影範囲は通常モードでは50cm~∞。マクロ撮影モードではレンズ前からズームワイド時には5~50cm、ズームテレ時には30~50cmとなっている。

 AF方式は中央1点AF、9点測距AiAF、顔優先AFなどの3つからメニューボタンから選択できる。測光方式はボクが常用している評価測光、撮りたいものの主題がハッキリしているときに便利な中央部重点測光、撮影上級者には何かと役立つスポット測光の3種から選べる。露出制御はプログラムAEのみだが、露出補正は±2EV(1/3ステップ)まで撮影前に設定できる。シャッター速度は15~1/2,000秒で長時間露光時には自動的にノイズリダクション処理が行なわれる。連続撮影機能は2.1コマ/秒と極めて高速だ。撮影感度はオートから始まり、ISO80、100、200、400、800、1600とほぼ1EVステップで設定できる。

 ファインダーは実像式の光学ファインダーと2.5型23万画素のTFT液晶モニターの2種を装備する。記録メディアはSDメモリーカード、SDHCメモリーカード、MMCの3種が使用できるので将来的な拡張性もバッチリだ。記録形式は静止画はJPEGのみで最大で3,648×2,736画素、動画時はAVIのみで最大で1,024×768画素/15fpsまたは640×480画素/30fpsとなっている。

 電源はIXY DIGITAL 800 ISと同じNB-5L型リチウムイオン専用充電池を採用している。外部機器との接続用インターフェイスのAV端子とUSB 2.0(端子はミニUSB)の2種が装備されている。PCなしでプリントできるPictBridgeやCPダイレクトなどはこのUSB端子経由で行なえる。ボディサイズは91.2×59.6×28.2mm(重さは約165g)とコンパクトで軽量なボディに変わりはない。

 IXY DIGITAL 1000には二卵性双生児の弟と言ってもよいライバル機IXY DIGITAL 900 ISが存在する。こちらは28~105mmの超広角対応3.8倍ズームレンズとレンズシフト式手ブレ補正機能ISなど、兄が持ち合わせていない最新機能がふんだんに盛り込まれている。しかしIXY DIGITAL 1000のCCDサイズは1/1.8型で有効画素数は1,000万画素。一方でIXY DIGITAL 900ISのCCDサイズは一回り小さな1/2.5型で有効画素数710万画素。やはりカメラなのだがら一番重視するべきは楽ができる便利な機能の有無よりも、出力される写真描写の質であるべきだ。IXY DIGITAL 1000の1/1.8型有効1000万画素CCD+画像処理エンジンDIGIC IIIという最新機能のコンビネーションは、キヤノンのハイエンド・コンパクトデジカメであるPowerShot G7と本機だけの特権なのだ。これらPowerShot とIXY DIGITALのハイエンド機はスペック的には同等の写真描写が期待できると言っても過言ではない。

 ちまたで話題の新型記録メディアSDHCメモリーカードが使用できるキヤノン製デジカメは現在のところ、IXY DIGITAL 1000、900IS、L4、PowerShot G7などの10月に発売された画像処理エンジンDIGIC IIIを搭載した第一期モデル。さらに後はPowerShot A710 IS、A640などの画像処理エンジンDIGIC IIを搭載した最終モデルに限られる。このあたりはソニーがメモリースティックPROを発表した時にも感じたことだが、諸行無常としか言いようがない。


※サムネールのリンク先は撮影画像です。
※画像下のデータは撮影モード / シャッター速度 / 絞り数値 / 測光方式 / 露出補正 / ISO感度 / 実焦点距離 / 画像解像度 / 画質 / ホワイトバランスです。


35mm判換算37mmの画角で撮影
マニュアル / 1/200秒 / F8 / 評価測光 / 0EV / ISO80 / 7.7mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
35mm判換算111mmの画角で撮影
マニュアル / 1/125秒 / F4.9 / 評価測光 / 0EV / ISO80 / 23.1mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート

操作性

 IXY DIGITALが最初に発売された頃はどの方向から見ても四角いボディだったが、今では真横から見ると角が取れて丸みを帯びたデザインに変更されつつある。今度のIXY DIGITAL 1000も基本的にIXY DIGITAL 600以来続く、より薄く見える流線型に近いボディになっている。ボクの個人的な印象では撮影時のホールディング性が向上したと受け止めている。ただし、テーブルの上などに置いたときはちょっと不安定になってしまったのは残念だ。

 ボディ上面ではシャッターボタン、ズームレバー、電源の周辺を黒く塗装してシルバー色のボディから浮き立たせて使用者の視線を受けやすくしてある。このデザインはシャッターボタンとズームレバーには良いのだが、一番大切な電源スイッチが小さ過ぎるせいか目立たない。時々、とくに突然のシャッターチャンスに焦っている場合などは不器用なボクは電源スイッチが見つからずに焦ることある。

 しかし、文句を付けるとするとこの1点のみだ。ボディやインターフェイスのスタイリッシュなデザインは若者向けと印象があるが、2.5型液晶モニターで大きく表示されるメニュー画面を見ながら十字ボタンで直感的に設定操作ができるなど、シニアに優しいバリアフフリーなカメラという一面もあるのではないかと関心してしまう。さすがキヤノン、良い仕事をしているものだ。


裏面には操作系が集中している。大型の2.5型23万画素液晶モニターの横には撮影モードダイヤル、ディスプレイボタン、イージーダイレクトボタン、タッチホイール、ファンクション/セットボタン、メニューボタンが配置される。上には光学ファインダーも見える
 操作系を解説しよう。鈍い輝きが特徴のチタン製のボディ上面には一体になったシャッターボタンとズームレバーと電源スイッチがある。裏面には再生、オート静止画撮影、マニュアル静止画撮影、シーンモード撮影、動画撮影を選択できるモードダイヤルが搭載されている。オート静止画撮影とマニュアル静止画撮影では似たような撮影モードなのだが、オートよりマニュアルを選択した時の方がファンクション/セットボタンから設定できる機能の数が多い。シーンモードは新たに「水族館モード」が追加されたので15種類になった。

 その下には2つの小さなボタンが並んでいる。右側はディスプレイボタンで液晶モニターに表示される撮影/再生時の状態を設定できる。左側はプリントボタンで、カメラとPictBridgeなどに対応するするプリンターをUSBケーブルでつないだ後に押せばパソコンなしでもSDメモリーカードなどに記録された写真をプリントできる。

 その下にある大きな2つの操作系は、タッチホイール式十字ボタンだ。外側のリングがISO感度(オート、ISO80~3200)/内蔵フラッシュ/ドライブ(連写/単写/タイマー)/撮影距離(マクロ/遠景)を設定できる。内側の丸いボタンはファンクション/セットボタンで、押すと記録画素数、画像圧縮率、ホワイトバランス、カラーモードなどの撮影機能の一覧が液晶モニターに表示される。操作は撮影機能の一覧を見ながら外側のリングを上下左右に動かして選ぶことができる。

 一番下にあるボタンはメニューボタンで、押すだけでAFモード(中央1点AF/9点測距AiAF/顔優先AFなど)などのカメラ機能のメニューが液晶モニターに表示される。操作はカメラ機能のメニューを見ながらタッチホイール式十字ボタンで行う。下面にはスライド式のカバーがあり、液晶モニターを見ながら右側にスライドさせればカメラの電源である専用リチウムイオン充電池や写真を書き込む記録メディアの交換ができる。


角が取れてスッキリしたデザインの右側面。リストストラップ取り付け部と端子カバーが見える。カバーを外すと DIGITAL (USB)端子とA/V OUT端子が現れる マガダマ状のデザインが施された上面。ズームレバーとシャッターボタンが一体化され、その横の小さな電源ボタンをマガダマ状に黒く塗装して目立たせている

使用インプレッション

IXY DIGITAL 1000は夜のスナップ撮影にも活用したい。高速起動、高速AF、高感度対応のおかげでスナップショットにも最適だ。夜のバンコクを走る市バス内で眠りに落ちてしまった女性車掌さんと乗客のオジサンを撮影した。高速起動と高速AFのおかげでバスが停車した瞬間にシャッターを押せた。そして、感度ISO800のおかげでブレに撮れた
マニュアル / 0.3秒 / F2.8 / 評価測光 / -1/3EV / ISO800 / 7.7mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
 IXY DIGITAL 1000を使い初めて最初に思ったことは「速い!」ということだ。起動速度はたった1秒なので撮りたいときすぐ撮れる。液晶も誤差の少ない高速表示となっているので動態を撮影する際も見えているをそのまま撮れる。AFも速いのでフォーカスに手間取ってシャッターチャンスを逃すこともまずない。連写速度の2.1コマ/秒なのでシャッターチャンスに迷う動く被写体でもカメラ任せで撮れる。また、書き込み速度が速いので、連写後に液晶モニターに処理中の文字が現れて次の撮影に移れないということもまずないだろう。

 各撮影モード(再生、オート静止画撮影、マニュアル静止画撮影、シーンモード撮影、動画撮影)の設定は裏面右上のダイヤルに集められた。ダイヤルの右側には親指に引っかかりの良い突起物があって、撮影中で焦っていても指が滑ったり、ダイヤルが回り過ぎて起こる誤操作を最小限に抑える努力が感じられる。

 各種撮影設定の変更もスムーズだ。ファンクション/セットボタンに使用頻度の高い撮影設定を集中させ、使用頻度が低い撮影設定や重要なカメラ機能の設定はメニューボタンに集められている。以前は撮影機能やカメラ機能が区別されずにメニュー設定画面の中に乱雑に配置されているデジカメも多かったが、ファンクション/セットボタンを早い時期に採用していたキヤノンだけに、今度のIXY DIGITAL 1000は非常に使いやすい。

 感度設定は以前はファンクション/セットボタンからアクセスしていたが、今では独立してタッチホイール式十字ボタンへと移されたので指一本でアクセスできる。この辺りの仕様変更の決断の速さがキヤノンの人気の秘密の一つではないかと思う(同時に方針が迷走しないところも)。

 バッテリーの耐久性も高い。タイに来てから朝から夜まで撮影づくしだが、それでも今だにIXY DIGITAL 1000の電池切れは体験していない。フラッシュも連写も多用しているので撮影中はボディがかなり熱くなっているほど激しく使用しているのだが、どうやらせっかく用意した予備バッテリーは無駄になってしまったようだ。おそらくこのバッテリーを使い切るには相当な撮影体力が必要ではないかと思われる。


 ここまで書いて振り返ると、IXY DIGITAL 1000が完璧なカメラではないかと考えてしまう。しかし、やはりこれほど素晴らしいカメラであるだけに、つい気になってしまう部分が2つだけある。

 まず1つ目はレンズのズーム速度だろう。特にIXY DIGITAL 900 ISと比べると動きが少々緩慢に感じられるのだ。IXY DIGITAL 1000のレンズが使い込まれた2003年生まれで、比較されている900 ISのレンズは2006年に生まれたばかりの最新型であることは百も承知だ。しかし、このあたりのレスポンスの良否は撮影時に気分に大きな影響を及ぼす大切な要素なので是が非でも改善を求めたい。

 2つ目は長時間露光の扱いだ。これが不便で仕方がない。IXY DIGITAL 1000は1秒以上のシャッター速度を使用するには、かなり時間がかかる操作が必要だ。やりかたはメニューボタンを押して長秒時撮影という設定を入れる→メニューボタンを押して撮影モードに戻す→ファンクション/セットボタンを押して露出補正の項目に合わせる→メニューボタンを押す→露出補正の項目の表示がシャッター速度の表示に変わる→タッチホイール式十字ボタンで1~15秒をマニュアルで選ぶ。また、長時間露光撮影後にキチンと露出補正の項目の表示をシャッター速度の表示に戻しておかないと、電源オフ後もリセットさせずに前回と同じ長時間露光を繰り返してしまうので注意が必要だ。





何枚でも高速連写できるので動体も撮影できる。突然に表れた電車の動きにつられて、9枚ほど勢い余って連写してしまったが撮影後のブラックアウトもなくとても快適に撮影できた
マニュアル / 1/250秒 / F11 / 評価測光 / -1EV / ISO100 / 15.6mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート

画質

 1/1.8型のCCDで1,000万画素を実現するという超高密度な撮像素子の実現に対して、画質的な無理や犠牲があると思う方がいるかも知れないが、ボクはそれは杞憂だと言いたい。IXY DIGITAL 1000で撮影した写真は710万画素などの一般的なCCDで撮影した写真と比べても変わるところはない。むしろ1,000万画素の写真をトリミングして710万画素相当で見せられても分からないのではないかと思う。

 また、高感度への対応がさらに進み、ボク的には昼間の撮影ではISO80~800まで実用域と判断し、さらに夜間の撮影ではISO80~400までは実用域と考えている。何故、夜間では設定感度の限界が1EVほど下がるのかというと、暗いだけに黒や濃い灰色などの部分が写真全体の面積の中で占める率が高くなるので、ノイズが目立ちやすいからだ。

 発色傾向はとても自然に思える。どちらかというとハデかも知れないが、無理のない程度に抑えられているので激しい色飽和などは感じられない。また、マイカラーという発色傾向をコントロールする機能があるのだが、ボクはその中にある「ポジフィルムカラー」に心を奪われている。空の青がとても自然に強調されコントラストもやや高めでキリっとした描写はポジフィルムにかなり近い。正直なところポジフィルムカラーを常用したいのだが、実はカラーOFF(ノーマルモード)で撮影しておけば、撮影後でもレタッチの機能を利用してRAWデータのように発色傾向をデジカメ一つで簡単にいじれる。まるでオリンパスのCAMEDIAシリーズの上級機でRAW形式を現像するように、自由に発色を選べるのには驚いた。

 マイカラー/レタッチから選べるのは「くっきりカラー」、「すっきりカラー」、「セピア」、「白黒」、「ポジフィルムカラー」、「色白肌」、「褐色肌」、「あざやかブルー」、「あざやかグリーン」、「あざやかレッド」、「カスタムカラー」などの11種類の発色傾向だ。ただ、マニュアルによれば撮影前のマイカラーと撮影後のレタッチマイカラーでは多少効果の違いがあるという話なので、青空の作例は撮影前にカラーを設定して撮影している(フレームのずれはそのため)。


鉄橋部分のボルトまで見えるほどの高解像はさすが1,000万画素。第二次世界大戦中に作られた泰緬鉄道のアルヒル桟道橋を走る列車を撮影。1,000万画素の名に恥じない見事間高精細な鉄道車両の描写に、そしてマイカラーを使用せずにノーマルモードで撮影したのに木々の葉が発色の良い緑色で撮れたのに驚いた。感度ISO80~100で撮れば本当にノイズも少なく、キレのよい写真が楽しめる。自分で撮っておきながらとてもコンパクトデジカメで撮影したとは思えないデキに満足
マニュアル / 1/125秒 / F8 / 評価測光 / -1EV / ISO80 / 7.7mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
ノイズを効果的に抑えられるDIGIC IIIのおかげで1/1秒もの長時間露光で撮影しても、闇夜もノイズレスでしまりの良い黒色で撮影できている(三脚使用)
マニュアル / 0.8秒 / F2.8 / 評価測光 / 0EV / ISO80 / 7.7mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート

昼間の感度別描写比較

感度ISO400で撮影
等倍で見てもほとんどノイズが目立たない。おかげで感度ISO400は完全に実用域に入ったということだ。同じサイズの1/1.8型CCDながら400万画素しかなったIXY DIGITAL 450でさえ感度ISO400がIXY DIGITAL 1000の感度ISO800以上にノイジーだったこと考えると、画素ピッチはもはやアドバンテージにはならないのかと考えてしまう
マニュアル / 1/125秒 / F2.8 / 評価測光 / -1/3EV / ISO400 / 7.7mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
感度ISO800で撮影
等倍で見れば前面にノイズが出ているのは分かる。しかし、そのノイズが目立って見えるのは光の当たり方が不足している部分に限られるのだ。実際にプリントしてみてもL判程度なら感度ISO400で撮影したものと感度ISO800で撮影したものの差は極微弱だ
マニュアル / 1/250秒 / F2.8 / 評価測光 / -1/3EV / ISO800 / 7.7mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート

夜間の感度別描写比較

高感度モード
感度設定を自動的に選択してくれるのは感度オートと同じだが、ノイズの発生を無視して高感度を積極的に選んで選択してくるのが高感度モードの特徴。主にブレやすい動く被写体や手ブレしやすい暗いところでの撮影で役立つ。この写真ではほぼISO800あたりの感度を選んだようだ
マニュアル / 1/4秒 / F4.5 / 評価測光 / 0EV / 高感度オート / 18.8mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
感度ISO80撮影
影などの黒いところを見てもノイズがほとんどみられない。描写もとてもシャープだ
マニュアル / 1秒 / F4.5 / 評価測光 / 0EV / ISO80 / 18.8mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
感度ISO100撮影
影などの黒いところを見てもノイズがほとんどみられない。ISO80と比較しても遜色ない
マニュアル / 1秒 / F4.5 / 評価測光 / 0EV / ISO100 / 18.8mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート

感度ISO200撮影
わずかにノイズが発生し始めている。特に細い線の描写が少しだけ荒くなっているようだ
マニュアル / 1秒 / F4.5 / 評価測光 / 0EV / ISO200 / 18.8mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
感度ISO400撮影
写真全域で全体的にノイズが発生し始めている。しかし、等倍でわかる程度だ
マニュアル / 0.5秒 / F4.5 / 評価測光 / 0EV / ISO400 / 18.8mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
感度ISO800撮影
そろそろ描写の細かいところが怪しくなって来る。等倍で見るとまんべんなくノイズが写真前面で広がっている
マニュアル / 1/4秒 / F4.5 / 評価測光 / 0EV / ISO800 / 18.8mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート

感度ISO1600撮影
細部の描写はほとんど見えなくなっている。被写体が何なのかは充分にわかるが、積極的にプリントして他人に見せたい画質ではない
マニュアル / 1/8秒 / F4.5 / 評価測光 / 0EV / ISO1600 / 18.8mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
感度ISO3200で撮影
Mサイズ(1,600×1,200ピクセル)で記録されるので大きくプリントはできない。夜空や暗部に激しいノイズが表れているが、L判程度の大きさでプリントするのが撮影の目的なら充分に実用的な画質と言える。なお、この感度は一般的な感度設定方法ではなく、スペシャルシーンモードから選んで使用する
ISO3200 / 1/8秒 / F2.8 / 評価測光 / 0EV / ISO3200 / 7.7mm / 1,600×1,200ピクセル / ファイン / オート

マイカラー/レタッチマイカラー

あざやかブルー
高度10,000mの成層圏を飛ぶ飛行機から撮影。空の青みは4点の写真の中で一番良い。空の青の発色の薄い部分も少なく、地上で撮影した場合も濃い青が地平線付近まで降りて来てくれるのではないかと期待してしまう
マニュアル / 1/320秒 / F8 / 評価測光 / -2/3EV / ISO80 / 7.7mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
ポジフィルムカラー
空の青、白い雲、地上の描写など、ボク個人的な感想だが、一番バランスがとれているのではないかと思う。特にパリっとした描写で見せたい時にとても有効だろう。ボクとしてはこのカラーを標準で撮りたくなった
マニュアル / 1/400秒 / F8 / 評価測光 / -2/3EV / ISO80 / 7.7mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート

くっきりカラー
かなりコントラストが強く感じた。階調が狭くなり唐突に空の青みが始まり、空の青みが濃くなるグラデーションの部分には色のニゴリも感じる。以前は多用したモードだが、ポジフィルムカラーが選べる今ではこの色合いはちょっと嫌みに見えてしまうのが不思議だ
マニュアル / 1/400秒 / F8 / 評価測光 / -2/3EV / ISO80 / 7.7mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
ノーマル
他の3点と比べてしまうと空の青みに多少物足りなく感じるが、当然ながら空以外の部分の色カブリが少ないなど幅の広い表現に向いている。また、コントラストがほどほどなので雲の下の大地の様子をもっとも自然に描写できている
マニュアル / 1/400秒 / F8 / 評価測光 / -2/3EV / ISO80 / 7.7mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート

結論

 正直、IXY DIGITAL 1000はすばらしい仕上がりになったと思う。ボク個人の感想だが1週間使用してみて、IXY DIGITAL 450以来の名機と確信した。実際、600が発売された時は興味をそそられなかったのに、1000を手にした今では見事なエヴァンジェリストになってしまった。

 特に高画質なスナップショット、例えばデジタル一眼レフが使用できない環境でそれに準ずる画質が欲しければIXY DIGITAL 1000を積極的に選びたい。このカメラはまもなく日本の編集部へ送り返さなければいけないのだが、別れるのがつらい。とりあえず日本に帰国したら購入しようと固く誓って、今、集荷に来た国際宅急便のお兄さんに梱包して手渡した。ああ、良いカメラだったなあ。溜息。


111mmの画角でも十分に圧縮効果が得られて力のある写真になった。1,000万画素の解像度のおかげで細部まで描写できるのには驚いた
マニュアル / 1/800秒 / F4.9 / 評価測光 / 0EV / ISO80 / 23.1mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
バンコクのエラワン・プゥーム(祈祷所)で撮影。女性達のきらびやかな衣装の細部までしっかりと描き出されている
マニュアル / 1/160秒 / F3.5 / 評価測光 / 0EV / ISO100 / 10.5mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート

祈祷用の線香に火を付ける少女。タイの女性の肌もとても美しく描写できていると思う。IXY DIGITAL 1000のポートレートはユニバーサル・クオリティーだ
マニュアル / 1/80秒 / F4.9 / 評価測光 / 0EV / ISO100 / 23.1mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート
バンコクのエラワン・プゥームのご本尊、ブラフマン。メタリックな地肌もキレイに描写できている
マニュアル / 1/320秒 / F2.8 / 評価測光 / 0EV / ISO80 / 7.7mm / 3,648×2,736ピクセル / スーパーファイン / オート

【お詫びと訂正】記事初出時、バッテリー「NB-5L」をIXY DIGITAL 600から使用していると記載しましたが、正しくは、IXY DIGITAL 800 ISからでした。お詫びして訂正いたします。



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/ixyd/1000/

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斉藤博貴
(さいとう ひろたか)1970年生。執筆から編集までこなす鉄道系カメラマン。特技は英語とタイ語で、ライフワークは海外鉄道の撮影。最近では世界遺産として登録されたばかりのインドの「ダージリン・ヒマラヤン鉄道」と「ニルギリ登山鉄道」の追っかけに熱中している。

2006/10/26 01:24
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