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SDメモリーカード初の容量2GB、ATP製「AF2GBSD」を試す

Reported by 編集部

容量2GBのSDメモリーカード「AF2GBSD」
 昨年はSDメモリーカードの高速化と低価格化が順調に進行した年だった。ただし、大容量化で先行するCFに比べると、依然として容量は1GBどまり。そのため、デジタル一眼レフながらSDメモリーカードしか使用できない*ist Dsユーザーには、幾分もどかしい現状ではないだろうか。また、DiMAGE Aシリーズ、LUMIX DMC-LC1、R-D1など、RAWデータを撮影できながら、SDメモリーカードスロットのみの機種もいくつかある。

 そんな中、リオワークスが5日に発表したのが、容量2GBのSDメモリーカード「AF2GBSD」だ。製造は米ATP Electronics(Advanced Technology & Package)。発売は1月下旬で、予想価格は32,800円程度。これまで、発売当初の最大容量メディアは、ほかの容量より容量単価が高いことが多かった。しかし、この製品は現在販売されている1GB品の24,000円前後に対し、約1.4倍程度と比較的低価格に抑えられているのがうれしい。

 ただし、転送速度20MB/secが主流になりつつあるSDメモリーカードにおいて、AF2GBSDは公称9MB/secとなっている。今春にも松下電器が20MB/secの2GBカードを発表するという話があるため、速度面をどう評価するかが購入の決め手になるだろう。もっとも松下電器からの正式なアナウンスはまだなく、2GBについては各種イベントで参考出品されたのみだ。

 今回、リオワークスより借りたサンプルをR-D1で試用してみた。


RAWでも余裕の2GB。カメラでの書き込み速度に差はない

左からATP「AF2GBSD」、松下電器「RP-SDH01GJ1A」、同「RP-SDK512J1A」
 計測はR-D1のRAWデータで撮影後、プレビューが出るまでの時間をストップウォッチで計った。比較として、1世代前のリード10MB/sec、容量1GBの松下電器製「RP-SDH01GJ1A」と、20MB/secの512MBの同「RP-SDK512J1A」も用意。人的要因の大きい計測なので各カードとも10回計測し、その平均値を出した。

 公称転送速度は、ATPの2GBが9MB/sec、松下電器1GBが10MB/sec、同512MBが20MB/sec。松下電器によると、高速カード対応のデジタルカメラは今のところ発売されていないといい、そのせいかプレビューが出るまでの時間は各カードとも同等。5秒4~5秒8が多かった。念のため、EOS-1D Mark IIのSDメモリーカードスロットでも試してみたが(RAW)、こちらも3枚とも1秒強でプレビューが出て、カードによる体感的な差は感じなかった。

 次に20MB/sec対応の松下電器製カードリーダ「BN-SDDAP3」とPentium M 1GHzのノートPC「PCG-Z1R/P」を使い、PCでの転送速度をHDBENCHで計測した。各カードとも3回計り、平均値を求めている。結果は以下の通り。

HDBENCH Ver.3.30による転送速度の結果
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AF2GBSD
(ATP2GB)
1度目(KB) 10,013 6,222 557
2度目(KB) 10,023 6,250 555
3度目(KB) 10,014 6,222 555
平均(KB) 10,017 6,231 556
MB/sec 10.02 6.23 0.56
RP-SDH01GJ1A
(松下電器1GB)
1度目(KB) 10,379 4,346 1,161
2度目(KB) 10,348 4,344 1,145
3度目(KB) 10,369 4,337 1,138
平均(KB) 10,365 4,342 1,148
MB/sec 10.37 4.34 1.15
RP-SDK512J1A
(松下電器512MB)
1度目(KB) 20,906 11,916 1,512
2度目(KB) 20,863 12,000 1,515
3度目(KB) 20,863 12,013 1,515
平均(KB) 20,877 11,976 1,514
MB/sec 20.88 11.98 1.51


 やはり20MB/secの松下電器512MBが抜きんでており、PCへの転送を考えると20MB/secは強力だ。実際にPCカードアダプタ(BN-SDDAP3)経由でファイル数48、計462MBのデータをPCに転送してみると、ATP2GBは約1分2秒、松下電器1GB(10MB/sec)は約1分1秒、松下電器512MB(20MB/sec)は約56秒だった。

 書き込みも松下の512MBが約12MB/secと高速だが、ATPが6.23MB/secと、松下の1GBを若干上回っているのが興味深い。ただし前述の通り、カメラでの体感速度はほとんど変わらない。

 個人的な結論としては、今のところカメラ側で何も変わらない20MB/secよりも、2GBまでカードを入れ代えず撮影を続けられるATPの方が有利だと感じる。私の場合、2GBあればメインのR-D1で200枚のRAWを撮影できる。人にもよるが、現在の私の使い方ならこれ1枚で何とかなる。また経験上、不便な外出先でPCに転送するより、帰宅してから一気に行なった方が気が楽だし間違いも少ない。

 とはいえ将来的に、カメラ側の書き込み速度が高速化する可能性は十分にある。その場合、低速度のATP2GBは20MB/secの製品に比べて陳腐化は免れない。また、PCへの転送回数が多いユーザーなら、20MB/secの速度は魅力だろう。現行の20MB/sec、1GBの購入で踏みとどまっておき、今春に予定されている20MB/secの2GB品を待つのも手だ。さらに転送速度、導入時期など未定ながら、SanDiskも2GBの発売を発表しており、今後も市場動向から目が離せない。

 なお今回のテストとは別に、ATP2GBをR-D1に装着して8GBほど撮影したが、書き込みに問題が起きたことはなかった。ごくたまにスリープからの復帰に時間がかかり、シャッターを押せないことはあったが、その現象はほかのカードでもたまに起こる。ATP2GB固有の問題ではないだろう。



URL
  リオワークス
  http://www.rioworks.co.jp/
  ATP
  http://dram.atpinc.com/
  【2004年11月12日】転送速度20MB/secの超高速SDメモリーカードの実力(PC)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1112/sdtest.htm

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編集部

2005/01/24 00:03
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