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【新製品レビュー】ソニー、サイバーショットV3(DSC-V3)
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Reported by
小山 伸也
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DSC-V3は、2003年に発売されたDSC-V1の後継機種で、一眼レフタイプと比べれば小さいが、Pシリーズのようにスマートではない。ズームレンズと高精細CCDを搭載したレンズ一体型と言われる部類で、光学ファインダーが付き、大型の2.5型液晶モニターを搭載しており、引き締まったブラックのボディカラーと相まって撮影に徹したデジタルカメラだ。発売は11月5日で、量販店での予想店頭価格は80,000円前後である。
【お詫びと訂正】記事初出時、DSC-V1の発売年を200年と表記しましたが、2003年の誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。
撮像素子には1/1.8型、原色フィルター、インターレーススキャン方式の有効720万画素のSuper HAD CCDを搭載し、レンズは高解像度、高コントラスト、優れた色再現性で高い評価を得ているカールツァイスの34~136mm(35mm判換算)4倍ズームレンズ「バリオ・ゾナー」が採用されている。画像は14bit A/Dコンバーターでデジタル化され、「リアル・イメージ・プロセッサー」で処理される。記録メディアは、メモリースティックProとCFが使えるダブルスロット方式となっている。
機能としては、RAWデータ記録やオートブラケティング、また光学式ファインダーの搭載や通常の約1/4の大きさのAF枠を液晶モニター上で上下約75%、左右約80%の範囲内で自由に移動させることができるフレキシブルスポットAF機能など、作品を撮るのに必要な機能が揃っている。
さらに別売りアクセサリーとして、コンバージョンレンズ、フード、フィルター、光量の大きなフラッシュが用意されており、システム全体として撮影領域を広げてくれる。
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液晶モニター
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電池室とカードスロット
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■ 良好な画質
このDSC-V3の魅力は高画質と撮ることを楽しめるスタイリングにある。CCDや信号処理系は最近のソニーのP150などとほぼ同じものであり、光学4倍ズームレンズやストロボなどを含めてシステム全体として、どのくらいの描写力を発揮してくれるか興味津々だ。
今回は、試用期間と天候のタイミングが合わず、晴天にはあまり恵まれなかったが、画質については、他機種では曇った日に花を撮影すると花が異常に鮮やかに写ったり、逆に色のノリが悪かったするが、そのようなこともなくナチュラルな色合いを出してくれた。また、ストロボを使った近接撮影では、ストロボ光が強すぎて被写体が白く飛んでしまうこともなく上手くコントロールされていたのが、印象的だ。WB、AF、AEなどの電気系については、かなり高く評価されていいと思う。
ただ画素サイズが小さいため、拡大するとノイズも出ており、よりよく見せるためか輪郭補正も強くかかっているようだが、総合的にはよくできた画質だ。
■ きれいなボケ味
レンズの性能は硝材(ガラス)や鏡胴だけでなく絞りも大切な要素で、絞りの形がきれいだとボケたところの灯りなどの形が円に近くきれいに写る。このバリオゾナー7~28mm F2.8~4では6枚羽根の虹彩絞りが採用されているので、きれいなボケがでる。またレンズの収差もよくコントロールされているため、画像の周辺部に灯りのボケをもってきても変形が少なく好感がもてる。
小さなCCDを使ったデジタルカメラでボケは作りにくいが、遠く(10m以上)を背景にして近く(数十cm)の被写体を撮影すれば効果が出る。そのボケ方で、形がわからないようにボワーッとしてしまうものと形がわかりながらボケるものがあるが、このレンズのボケは後者のタイプのようで、きれいなボケとして好まれるタイプのものだ。
【お詫びと訂正】記事初出時、「ISO100時にF8、1/2,000秒」のEV値が14EVであることを前提とした論評がなされておりましたが、同露出のEV値は17EVでした。該当部分を削除させていただくとともに、お詫びして訂正させていただきます。
■ 疑問がある操作ボタンの配置
ややマット仕上げの黒いボディと相まって、明るい2.5型液晶は見やすい。操作系も他のソニー製品と同じく、上面にはシャッターレリーズボタンのほかに大きなモードダイヤルやジョグダイヤルなど、背面に液晶モニターコントロールボタンなどが配置された標準的なもの。
そのなかで、AEロック、露出補正、フォーカスの切り替えなどは背面左側の液晶モニターの上に配置されている。つまり背面の液晶を見ながら左手での操作を要求しているわけだ。しかしAEロックはフレーミングをしたあとに操作しなければ意味がなくなってしまうので、光学式ファインダーを使っているときはほとんど操作不能で、液晶モニターを見ながらでは不安定な操作が要求されカメラを落としそうになる。せっかく他の操作性がいいのに悔やまれる。
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モードダイヤル付近
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AEロック付近
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■ フードを使おう
カールツァイスレンズはよいレンズである。しかし他社レンズの性能も向上し、順光撮影や強い光がレンズに当たらないような条件では、大きな違いは出なくなってきた。明るい背景で被写体を逆光で撮影したり、強い光がレンズに当たるような場合など悪条件下ではその違いが歴然とすることがあり、根強いカールツァイスレンズのファンが多いことの理由のひとつだ。
今回は強い逆光下での撮影はできなかったが、蛍光灯下での撮影でゴーストイメージが発生した。光の当たり方を工夫すると消えるのだが、どうもレンズに光があたる条件にはPシリーズと同じように弱いようだ。確かにカールツァイスレンズだが、T*コーティングをしたものではないのでやむを得ないのかもしれないが、もっと内面反射を抑える鏡胴の工夫などが必要なのかもしれない。
正面から見ると大きなレンズのように見えるが、有効口径=焦点距離/開放F値=28mm/F4=7mmと意外に小さい。レンズ前面がフードの役目を果たしていそうだが、あまり効果がないようなので、ぜひ別売りのレンズフードLSF-VHA(5,775円)の使用をお勧めする。
■ 暗所撮影の機能
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赤外線照射口付近
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DSC-V3には暗所での撮影を可能にするため、赤外線を照射してフォーカシング精度を向上させることと、赤外線そのものを使って撮影するナイトショット機能がある。便利な機能のひとつに間違いないが、使用頻度はどうだろうか? 赤外線照射口などにAEロックボタンなどを配置すれば、もっと使いやすかったのではないだろうか。
■ アクセサリー類のおすすめ
DSC-V3は明るい所やレンズに直接光があたるような撮影条件は苦手のようである。画質はいいので、それを生かすために対策を立てておきたい。そのために花形レンズフードLSF-VHAや、NDフィルターキットVF-58M(6,300円)があると良い。NDフィルターやMCフィルターの装着には、アダプターリングVAD-VHA(2,500円)も必要なので、コストを抑えるためにはアダプターリングをフード代わりに使って、必要に応じてフィルターを付けることもできる。
■ 作例
※作例のリンク先は、特に記載がない限り、撮影した画像データそのものです。縦位置のものは、サムネイルのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。クリックすると撮影したの画像が別ウィンドウで表示されます。
※キャプション内の撮影データは機種名/画像解像度(ピクセル)/露出時間/絞り/露出モード/ISO感度/露出補正値/実焦点距離/ホワイトバランスです。
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月下美人
夜、しかも午後10時ごろから数時間しか満開にならず翌朝には萎んでしまう月下美人の花(直径は10cmくらい)。花の白い部分をストロボを発光させて近接撮影しても白飛びすることがなく、花のメシベの黄色や花の根元部分の赤色も表現され、背景の床は真っ黒になってくれて思い通りの撮影ができた
3,072×2,304 / 1/40(秒) / 4.0 / プログラムAE / 100 / 0 / 7.00(mm) / ストロボ発光
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大通り公園の花
札幌の大通り公園に咲いていた花。花の濃いピンク色も葉の濃い緑も淡い緑も雨上がり後の感じをだしながら写してくれた。手前の白い花は白とびしてしまっているが、他の花や葉の質感を出すにはやむを得ない
3,072×2,304 / 1/200(秒) / 3.5 / 絞り優先AE / 100 / 0 / 15.30(mm) / オート
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仙台空港
仙台空港の入り口付近にあるモニュメントと階段状の流れ。輪郭を強調しているためか、階段のエッジ部分が目立っている
3,072×2,304 / 1/200(秒) / 3.2 / 絞り優先AE / 100 / 0 / 8.40(mm) / オート
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喫茶店の置物
喫茶店に置いてあった革細工の置物と窓越しにボケて写る駐車中の車。被写体の革細工までは約50cm、背景の車までは30~50mくらい。ハザードランプ(点光源に近い)などがほぼ円形にボケて写っている。また革細工は逆光状態で暗くなっているが、黒つぶれしないように頑張っているようで、カールツァイスレンズの良さだと思う
3,072×2,304 / 1/60(秒) / 4.0 / 絞り優先AE / 400 / 0 / 23.40(mm) / オート
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ラベンダー
撮影距離2.5m程度、レンズの焦点距離を136mm(最望遠側)では、絞りをF4にしても20m以上後ろの背景は大きくはボケない
3,072×2,304 / 1/160(秒) / 4.0 / シャッター速度優先AE / 100 / 0 / 28.00(mm) / オート
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ラベンダー
同じく、撮影距離2.5m程度、レンズの焦点距離を136mm(最望遠側)では、絞りをF8にしても、F4のときとボケ方はかわらない
3,072×2,304 / 1/40(秒) / 8.0 / シャッター速度優先AE / 100 / 0 / 28.00(mm) / オート
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夕焼けの空
秋分の日近くの午後5時半ごろの空。見た目にはもう少し暗いが、フィルムカメラでもデジタルカメラでも撮影すると、このくらいの明るさに写る。良く晴れた夏の日に青空や白い雲をバックに向日葵の花を撮影するには露出範囲が狭いかもしれない
3,072×2,304 / 1/40(秒) / 6.3 / 絞り先AE / 100 / 0 / 28.00(mm) / オート
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星置駅ゴースト発生
函館本線星置駅。札幌から電車で20分ほど小樽方面に向かったところにある駅だが、午後8時過ぎには誰もいなかった。寂しく蛍光灯だけが光っているところを撮影したら、ゴーストイメージが発生した。画面下中央の紫色がゴースト
3,072×2,304 / 1/1(秒) / 8.0 / 絞り先AE / 400 / 0 / 7.00(mm) / オート
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星置駅ゴースト発生なし
同じ星置駅での撮影だが、ちょっと位置をずらして撮影したもの。するとゴーストの発生はなかった。たぶんレンズの内面反射によるものと思われる
3,072×2,304 / 1/1(秒) / 8.0 / 絞り先AE / 400 / 0 / 12.90(mm) / オート
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月下美人スローシンクロ
最初にストロボONの作例を見てもらったが、こちらは電灯光下のスローシンクロ撮影。床の色はは明るい木目だが、電灯光の影響で赤味をおびているが、撮影そのものは上手くできている
3,072×2,304 / 1/8(秒) / 4.0 / プログラムAE / 100 / 0 / 7.00(mm) / ストロボ発光
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■ URL
ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
製品情報
http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-V3/index.html
【関連記事】 ソニー、720万画素になったVシリーズ「サイバーショットV3」(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0909/sony1.htm
小山 伸也 中央大学理工学部卒業後、オーディオメーカー、カメラメーカーを経て2002年春にフリーになる。カメラ雑誌で写真やカメラの解説、鉄道や航空雑誌で車両や航空機の解説など幅広く活躍している。カメラメーカー勤務時には日本カメラショーなで講師を務めていた。1955年生まれ東京都出身。 |
2004/10/14 15:29
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