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パナソニックLUMIX DMC-LX3【第8回】
クリップオンストロボと猫撮影

Reported by 安孫子卓郎


パナソニック純正のクリップオンストロボ「DMW-FL360」を使用。さらにバウンス板として厚紙を貼り付けてみた
 筆者がDMC-LX3を購入するに当たって評価したポイントの一つが、クリップオンストロボなどを装着するためのホットシュー(アクセサリーシュー)を備えていることです。一眼レフカメラなら必ずついているホットシューですが、コンパクトデジタルカメラでも一部の上級機種が装備しています。DMC-LX3の場合は、オプションの外部光学ファインダーを装着する目的もありますね。

 クリップオンストロボを接続した目的は、自宅で猫を撮ることでした。なぜクリップオンストロボなのかといえば、バウンス発光させるためです。テニスや野球などで、ボールがバウンドするのと同じように、光を天井や壁などにぶつけバウンドさせて照らしてやろうというのが、バウンス発光です。いわゆるストロボっぽい写真は、正面から強い光を当てるために不自然な印象になっていますが、天井や壁に反射させ、拡散された光で照らしてやれば、自然に写すことができるのです。またストロボを上に向けるので、目の前で発光させても、被写体が目を痛めることがありません。子どもや赤ちゃんにも応用でき、テーブルフォトなどにも利用できることから、利用範囲が広いテクニックとして知られています。

 バウンス撮影の条件は、天井が高すぎないことと、白やグレーなどの無彩色であること。光の強さは距離の二乗に反比例しますから、天井が高いと光が往復している間に弱まってしまい、照明効果が十分に得られません。また色がついていると、その色の光が反射してきますから、木張りの天井では茶色い光で照らさせてしまいます。

 DMC-LX3以前には、この目的にはオリンパスのE-3とFL-50Rを使用していました。画質も性能も十分なのですが、自宅の猫を撮るにはヘビーすぎ。仕事の撮影ならこの組み合わせを使用しますが、自宅での日常撮影では、いくら男性でも重たく感じます。

 また、犬ならセットした背景の前でじっとさせることもできますが、猫だとそうはいきません。あらかじめ猫の好きな場所や通り道に背景を作っておき、ちょうどセットの前にきてくれるチャンスに撮影することになります。こんなことができるのも自宅ならではなのですが、その都度カメラを用意してストロボを接続していると、その間に猫がどこかへ行ってしまいます。機材をセットしておき、チャンスがきたらさっと撮るのですが、そのように準備して部屋においておくには、E-3とFL-50Rは大きさ的にもかさばったわけです。


 ということで、うってつけだったのがホットシューを装備したDMC-LX3というわけです。ただし、本格的にこの役割を担ったのは、同じパナソニックのDMC-G1でした。DMC-LX3は小さくて軽いのですが、後述する撮影方法のためには小さすぎて、片手では持ちにくいのです。その点DMC-G1はほどよい大きさで、かつ男性なら苦にならない程度の軽さです。もっとも、手の小さな女性ならば、DMC-LX3の方が好まれるかもしれません。

 実際の撮影ですが、単なる天井バウンス撮影なら実に簡単。発光部の角度を上に向けることのできる外部ストロボを、DMC-LX3のホットシューに接続して、上に向けるだけです。最近のストロボなら、自分の発光した光を測定して、適度なところで発光をやめてくれる外光オートがついていますから、単に上に向けるだけで大丈夫です。外光オートのないクリップオンストロボでも、マニュアル発光で撮影結果を液晶モニターで見ながら調整すれば問題ありません。

 筆者が今回使用したのは、パナソニックのフォーサーズおよびマイクロフォーサーズ用の「DMW-FL360」です。天井が高すぎたり、色がついていたりする場合は、もう一工夫、反射板を自作してストロボにつけることで対応可能です。今回はA4サイズのインクジェット紙に入っている厚紙を切って取り付けました。はがきサイズくらいでもよいかと思いますが、このような簡易的なバウンス発光でも、直接ストロボを当てるのとは大きな違いがでます。ホットシューのついているカメラはクリップオンストロボで撮影の可能性が広がるので、お持ちの方はお試しあれ。

【2009年4月14日】初出時、DMW-FL360が左右方向への角度変更ができないとの表現をしましたが、実際には可能です。該当部分を削除するとともに、お詫び申し上げます。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


●DMW-FL360でバウンス発光


DMC-LX3 / 約4.5MB / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 12.8mm DMC-LX3 / 約4.4MB / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 8.8mm

●DMW-FL360+オフカメラシューコード


DMC-LX3 / 約4.1MB / 2,736×3,648 / 1/125秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 12.8mm DMC-LX3 / 約3.7MB / 2,736×3,648 / 1/200秒 / F2.7 / +1EV / ISO80 / WB:フラッシュ / 11.1mm

DMC-LX3 / 約4.2MB / 2,736×3,648 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 12.8mm DMC-LX3 / 約4.2MB / 2,736×3,648 / 1/125秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 12.8mm

DMC-LX3 / 約3.8MB / 2,736×3,648 / 1/250秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 12.8mm DMC-LX3 / 約4.3MB / 2,736×3,648 / 1/60秒 / F4 / +1EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 12.8mm

●DMW-FL360+厚紙製の簡易バウンス


DMC-LX3 / 約3.7MB / 3,648×2,736 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 12.8mm DMC-LX3 / 約3.8MB / 3,648×2,736 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 12.8mm

DMC-LX3 / 約4.4MB / 3,648×2,736 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO125 / WB:フラッシュ / 12.8mm DMC-LX3 / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 12.8mm

DMC-LX3 / 約3.5MB / 2,736×3,648 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 12.8mm DMC-LX3 / 約4.0MB / 3,648×2,736 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 12.8mm

DMC-LX3 / 約4.1MB / 2,736×3,648 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:フラッシュ / 12.8mm


URL
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(DMC-LX3)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2009.htm#lx3



安孫子卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2009/04/13 12:19
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