デジカメ Watch

オリンパスE-30【第1回】
多用したい「ライブビュー」と「フリーアングル液晶」

Reported by 安孫子卓郎


E-3(右)との大きさ比較。一回り小さくなっているのが分かる
 思えば2000年のことでした。2/3型400万画素のE-10というカメラを手にしたとき、これはすごいカメラだという感動を覚えた記憶があります。現在のデジカメと比較すれば、古くさくて時代遅れの部分もありますが、現在でも立派に通用する部分もあるカメラです。

 その後、2001年に2/3型500万画素のE-20という改良型を出したわけですが、オリンパスは2003年のE-1発売からフォーサース(4/3型)一眼レフ路線に移行したため、Eは一桁と三桁のシリーズが並ぶようになり、二桁の型番が空いたままでした。

 その隙間を埋める型番で、E-3とE-520をつなぐ機種として登場してきたのが、E-30です。当初のアナウンスも、2機種をつなぐ中間の機種というものでしたが、今手元にあるE-30の印象は、従来のEシリーズとは全く違う存在価値を持つものとなっています。その理由はなんといってもアートフィルターの存在です。使ってみると実に面白い、レタッチとは違うさすがの機能であるのですが、これについては次回以降、順に触れてゆきたいと思っています。

 第1回目の今回は、表面的な特徴であるフリーアングル液晶と、コントラスト検出式AFについてです。E-30の液晶モニターは2.7型のハイパークリスタルII液晶。2軸可動式液晶モニターとなっているので、縦横どちらでもローアングルもハイアングルも自由に撮影することができます。筆者はライブビュー大好き人間ですが、その条件としては「液晶モニターが動くこと」が外せません。固定式液晶モニターの機種では、ライブビューもまず使うことはなく、ほぼ光学ファインダーオンリーなのですが、液晶モニターが動いてAFが使えれば、ライブビューは大歓迎で、実際に多用しています。


アートフィルターの「ラフモノクローム」を選択してのライブビュー。撮影前にアートフィルターを液晶モニター上でシミュレートできる
 E-30のLV時のAFは3種類。全押AF、ハイブリッドAF、イメージャAFです。全押AFは位相差によAF方式で、シャッターボタンを全押しするとピントがあったところでシャッターが切れる方式。ハイブリッドAFは、位相差でピントを合わせた後にコントラスト検出式AFが働く方式。この2つはコントラスト検出式AFに対応していないレンズでも使用できます。

 ただし問題があり、全押AFでは、フォーカスロックができません。あらかじめ測距点を変更しておく必要があります。測距点も11あるので対応できる部分もあるのですが、フォーカスロックでカバーできればその方が簡便です。またハイブリッドAFの場合、フォーカスロックはできるのですが、構図を変えた先でイメージャAFが働きますから、まるで違うところにピントが合ってしまうこともあり、実質フォーカスロックの意味をなしません。

 この問題を解決するにはAEロックボタンを使えばよく、AEロックボタンならどのモードでも普通にフォーカスロックが使えるのですが、ライブビューを使っていてのローアングルやハイアングルの撮影では、AEロックボタンは今ひとつ使いやすくありません。たまに使うにはよくても、常用するにはシャッターボタンでフォーカスロックをかける方が遙かに便利です。

 位相差のAFポイントは11点で、E-3と同じツインクロスセンサーを採用しているはずなのですが、実際はどうもE-3に劣るように感じています。E-3の下のクラスとはいうものの、ほぼ同じ価格帯であり、また1年という歳月が流れた後の機種ですが、E-3以上とはいえません。

 一方、売りであるコントラスト検出式のイメージャAFなのですが、もう一つという印象です。動いていないものに対しては、十分に高速でピント合わせを行ってくれますが、相手が少しでも動いていると、かなり迷って時間がかかってしまいます。またAF時に音がするのも気になるところです。屋外では問題にならない程度の小さな音ですが、スタジオなど静かな室内では気になる場合もあるでしょう。ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 IIを、マウントアダプターを介してパナソニックのDMC-G1につけると、DMC-G1のほうがAFが速く音も静かなので、ボディ側の性能と思われます。

 ということで、当初期待したほどのAF性能の向上がなかったE-30なのですが、実はこの後、評価が急上昇するという話は、次回から。




  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


E-30 / ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4-5.6 / 約5.1MB / 4,032×3,024 / 1/400秒 / F6.3 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 300mm E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約1.7MB / 4,032×3,024 / 1/500秒 / F3.5 / +0.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 54mm

E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約1.9MB / 4,032×3,024 / 1/640秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 54mm E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約2.0MB / 4,032×3,024 / 1/800秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 54mm

E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約1.8MB / 4,032×3,024 / 1/320秒 / F3.5 / +1EV / ISO200 / WB:曇天 / 54mm E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約2.1MB / 4,032×3,024 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:曇天 / 54mm

E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約1.9MB / 3024x4032 / 1/320秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / WB:曇天 / 54mm E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約1.9MB / 4,032×3,024 / 1/320秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / WB:曇天 / 54mm

E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約1.9MB / 4,032×3,024 / 1/400秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / WB:曇天 / 54mm E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約2.0MB / 4,032×3,024 / 1/320秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO320 / WB:曇天 / 300mm

 雨の中、ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5(旧型)で撮影。レンズがSWDではないことともあってAFはもたつき気味。それでも相手が動いていなければ十分撮影できます。レンズは防塵防滴。E-3ほどではないにせよ、ボディも防塵防滴に関する多少の配慮はなされている様子。ボディをタオルなどでカバーしながら撮影すれば、ネイチャーフォトなどでも使えそうです。


E-30 / ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 / 約5.3MB / 4,032×3,024 / 1/250秒 / F4 / -0.7EV / ISO800 / WB:曇天 / 182mm E-30 / ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 / 約5.6MB / 3,024×4,032 / 1/125秒 / F4 / -0.7EV / ISO800 / WB:曇天 / 182mm

E-30 / ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 / 約4.9MB / 4,032×3,024 / 1/200秒 / F4 / 0EV / ISO800 / WB:曇天 / 200mm E-30 / ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 / 約5.0MB / 4,032×3,024 / 1/200秒 / F4 / 0EV / ISO800 / WB:曇天 / 200mm

E-30 / ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 / 約6.2MB / 4,032×3,024 / 1/60秒 / F4 / -1EV / ISO800 / WB:曇天 / 200mm E-30 / ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 / 約5.2MB / 4,032×3,024 / 1/40秒 / F4 / -0.7EV / ISO800 / WB:曇天 / 182mm

E-30 / ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 / 約5.2MB / 4,032×3,024 / 1/200秒 / F4 / -0.3EV / ISO800 / WB:曇天 / 200mm

 羽田空港から離陸する旅客機。レンズはスタンダードクラスのZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4-5.6ですが(1枚目を除く)、遠距離であることも助かってAFで苦労することはありませんでした。


E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約4.0MB / 3,024×4,032 / 1/640秒 / F9 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 31mm E-30 / ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4-5.6 / 約4.2MB / 4,032×3,024 / 1/500秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 300mm

E-30 / ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4-5.6 / 約4.2MB / 4,032×3,024 / 1/400秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 277mm E-30 / ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4-5.6 / 約4.0MB / 4,032×3,024 / 1/640秒 / F9 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 300mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  オリンパスE-30関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/11/08/9571.html



安孫子卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2009/02/13 14:04
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