猫と犬をライブビューで撮る本レポートも6回目になります。今回は「Dレンジオプティマイザー」に着目してみました。
Dレンジオプティマイザーは、α350をはじめソニーのデジタル一眼レフカメラに搭載されている機能。シャドー部のトーンを持ち上げることで、明暗比の大きい被写体でも、ダイナミックレンジが広くなったような効果を見せるものです。すでに空とビル影といった被写体でその効果を確認していますが、猫や犬の撮影ではどうなのでしょうか。
まず考えたのは、白黒の猫で、ハイライト部(白の部分)が飛ばないようにする利用法です。猫の露出はなかなか難しく、三毛や白黒猫の場合、白い部分が飛んでしまうことがよく起こります。Dレンジオプティマイザーには「OFF」(D-R OFF)、「スタンダード」(D-R)、「アドバンス」(D-R+)の3種類の設定があり、これらを切り替えて撮影してみました。
結果ですが、筆者の見るところでは、それほど大きな差違は出ていないように思われます。本当は飛ばないようにアンダーに撮影して、グレーになってしまった白を持ち上げてほしいのですが、明らかにつぶれそうなシャドーは持ち上げても、中間調はそれほど持ち上げないのかもしれません。
- 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
- 作例下の撮影データは、レンズ名/記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
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D-R OFF
70-300mm F4.5-5.6 G SSM / 4,592×3,056 / マニュアル露出 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:曇天 / 300mm
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D-R
70-300mm F4.5-5.6 G SSM / 4,592×3,056 / マニュアル露出 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:曇天 / 300mm
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D-R+
70-300mm F4.5-5.6 G SSM / 4,592×3,056 / マニュアル露出 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:曇天 / 300mm
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D-R OFF
70-300mm F4.5-5.6 G SSM / 4,592×3,056 / マニュアル露出 / 1/80秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 100mm
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D-R
70-300mm F4.5-5.6 G SSM / 4,592×3,056 / マニュアル露出 / 1/80秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 100mm
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D-R+
70-300mm F4.5-5.6 G SSM / 4,592×3,056 / マニュアル露出 / 1/80秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 100mm
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次に、黒猫のディティール再現に利用できないかと考えました。真っ黒な犬や猫は、内蔵露出計ではなかなかうまく再現できない被写体です。毛皮なので蒸気機関車のような被写体と違い、単なる黒の反射率とは違うものだと思われます。
黒い毛の1本1本が浮き立って見えたらすばらしいのですが、残念ながら単にDレンジオプティマイザーをオンにしただけでは上手くいきません。効果が強く出ると黒が持ち上がりすぎて茶色っぽくなってしまうこともあり、思うようには使いこなせないものです。今回は露出を固定する意味で両方ともマニュアル露出で試しましたが、ほかの露出モードやシーンモードでは別の変化が見られるかもしれません。
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D-R OFF
Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F1.4 / -0.3EV / ISO250 / WB:曇天 / 85mm
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D-R
Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F1.4 / -0.3EV / ISO400 / WB:曇天 / 85mm
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D-R+
Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F1.4 / -0.3EV / ISO320 / WB:曇天 / 85mm
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筆者は、以前からサイバーショットDSC-W200を使用しています。真っ黒いパグなどを撮影すると顔のしわまで良く再現されており、「Dレンジオプティマイザーの効果かな」と思っていました。今回試したようなシチュエーションでは、コンパクトデジカメのようなラチチュードの狭い画像の方が、より効果的に働く機能なのかもしれません。
いずれにしても今回の場合をはじめ、スタンダードに設定しておけば、白や黒の犬猫の撮影でも大きく破綻することはありません。結局そのままでもよいのかと感じました。もちろん、風景写真などにおけるDレンジオプティマイザーの効果はα350でも確認しており、使いこなせば役に立つ機能だと思います。
■ 今週のαレンズ
●Planar T* 85mm F1.4 ZA
さすがPlanar(プラナー)と言うべき素晴らしいレンズです。銀塩時代から、ツァイスと言えばこのレンズではないでしょうか。もちろんレンズマニアには、Distagon(ディスタゴン)ファンやSonnar(ゾナー)の愛用者もたくさんいることでしょう。しかし、ツァイスブランドの代表的なレンズをあげれば、やはりこの85mm F1.4になるのではないでしょうか。高価なレンズではありますが、APS-Cサイズの撮像素子を搭載したデジタル一眼レフカメラで換算135mm相当、使いやすい望遠レンズです。明るいので室内でも使えますし、利用範囲の広いレンズだといえます。
クイックAFライブビューを使用しての犬猫撮影では、筆者はAFポイントを中央に固定し、フォーカスロックして構図を整えるようにしています。ソニーの測距点の配置は優れた配置です。特に斜めの測距点が外側に出ており、実用的で効果的な配置です。しかし、十字キーに指が触れて時々動いてしまうことがあり、特にクイックAFライブビューを使用していると、液晶モニターでは現在選択中のローカルフレームが確認しづらい場合があり、うっかり違う測距点のままで撮影してしまうことがあります。
そこで中央に固定してしまい、フォーカスロックで対応しているのですが、85mm F1.4を開放で使うと、コサイン誤差も大きくなってしまいます。このレンズを近距離や中距離で使う場合には、9カ所の測距点を使い分ける方が望ましいように思われました。
※以下はすべてDレンジオプティマイザー「スタンダード」(D-R)で撮影しました。
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Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F1.4 / -0.3EV / ISO125 / WB:曇天 / 85mm
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Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/125秒 / F1.4 / +0.3EV / ISO400 / WB:曇天 / 85mm
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Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F1.4 / -0.3EV / ISO125 / WB:曇天 / 85mm
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Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/200秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 85mm
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Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 85mm
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Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/2,500秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 85mm
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Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/1,250秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 85mm
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Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/1,000秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 85mm
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Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/2,500秒 / F2 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 85mm
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Planar T* 85mm F1.4 ZA / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F1.4 / 0EV / ISO320 / WB:昼白色蛍光灯 / 85mm
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DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/80秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:曇天 / 70mm
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DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/30秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 18mm
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■ URL
ソニー
http://www.sony.co.jp/
製品情報
http://www.sony.jp/products/Consumer/dslr/products/body/DSLR-A350/
気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(α350)
http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm#a350
ソニーα350関連記事リンク集
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/02/05/7906.html
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安孫子卓郎 (あびこたくお)
きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。 |
2008/06/17 00:06
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