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ソニーα350【第1回】
猫撮りで快適な「クイックAFライブビュー」

Reported by 安孫子 卓郎


キットレンズのDT 18-70mm F3.5-5.6を装着したα350(左)
 デジタル一眼レフカメラのライブビューには、大別して2つの方式があります。コンパクトデジカメと同じように、イメージャーに受けた光を液晶モニターにそのまま出力する方式が1つ。オリンパス、パナソニック、キヤノン、ニコン、ペンタックスが対応する機種を発売しており、Live MOS、CMOSなどの撮像素子にその能力があるかどうかが問題となります。

 もう1つの方式が、撮像用とは別の小型イメージャーを使い、光学ファインダーに導かれる光を出力する「カメラinカメラ」といった方式で、α350とE-330(生産終了)の2機種が採用している方式です。

 どちらの方式にも一長一短があります。イメージャーによるライブビューは、AFポイントの数を容易に増加させることが可能で、将来的にはコンパクトデジカメのように、数十・数百もの測距点を画面の隅々まで配置することも可能かもしれません。

 ただしこれはコントラスト検出式でのAF、いわゆるコントラストAFを採用した場合での話です。オリンパスやパナソニックは、使用できるレンズに制限を加えることで、高速なコントラスト検出式AFを実現しています。ただし高速といっても「非対応レンズに比べれば」という話。筆者はオリンパスE-420とZUIKO DIGITAL 25mm F2.8の組み合わせで、コントラストAF(オリンパスではハイスピードイメージャAFと呼称)を使用していますが、そのスピードや精度は「コンパクトデジカメ程度」と感じています。「友達と遊びに行ってスナップを撮る」などの撮影では「快適に使える」といえますが、プロ用やミドルクラスのデジタル一眼レフカメラの動体撮影能力と比較すると、現時点ではとても及ぶものではありません。コントラストAFの可能性は高いと思いますが、「ここ数年のうちに、位相差検出式の高速AFに追いつく」とは、考えにくい現状です。

 イメージャーライブビューの場合は、画像を拡大することで、MFによる精密なピント合わせを行なうことができます。花のシベにピントを合わせるような、マクロでの微妙な撮影には威力を発揮します。しかし犬や猫のように動く被写体には、この方式は不便です。まったく動かなければよいのですが、拡大してしまうと、犬や猫が顔を右左に振っただけでもピントあわせが困難となります。位相差検出式との併用もできますが、ミラーの上下が必要なことで、タイムラグや動作音などに難があります。コンティニュアスAFは行なえませんし、現状はAEロックボタンでAFを行なう機種が多いため、その点でも操作性が悪く不自由です。


クイックAFライブビューでの液晶モニター表示。光学ファインダーでの位相差AFと同じ測距点表示が見える
 ということから、ソニーが考えたのが位相差検出式AFを光学ファインダーでの撮影と同じように使える「クイックAFライブビュー」方式のα350なのでしょう。α350はα100よりAFが大幅に改善されており、光学ファインダーでの撮影でも大変快適になりました。その上でクイックAFライブビュー方式は、光学ファインダーによる位相差検出式AFと同じですから、AFが高速で犬、猫、子どもなど、動く被写体にはきわめて有用です。また犬猫や子ども程度の大きさがあれば、AFで撮影してもピント精度も十分確保できます。

 花のマクロ撮影などでは、撮像素子によるライブビュー+拡大表示+MFでのピント合わせが優れます。フリーアングルで液晶モニターが動く、E-3やLUMIX DMC-L10が最も好ましいといえるでしょう。一方で、動く被写体に対してはα350(海外向けのα300もありますが)が現在唯一のクイックAFライブビュー搭載の機種です。屋外で犬猫を撮影するならば、これ以上ないベストな選択といえるでしょう(室内ならば、寝そべって撮影することも比較的容易なので、光学ファインダーの機種でも対応できます)。早速筆者も購入し、その可能性を探っているところです。今回の作例でも、さっそくクイックAFライブビューが大活躍しました。

 ということで、今回からα350を使った犬猫撮影のレポートを始めます。計8回の予定ですが、ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。


今週のαレンズ

●DT 18-70mm F3.5-5.6


DT 18-70mm F3.5-5.6
 「α350ズームレンズキット」に付属するレンズです。キットレンズということで地味に見られがちですが、焦点域、操作性、外観なども含め、なかなか良い感じに仕上がっています。

 望遠端の焦点距離が、標準的なキットレンズでありがちな50mmや55mmではなく、少し長めの70mmなのも好感が持てます。F5.6にも関わらず、望遠端でのボケ味も良好。さすがに上位レンズの解像力に比べると若干甘い感じも受けますが、カリカリしすぎないで良い雰囲気の描写をするともいえます。今回の作例はすべてこのレンズを使っていますので、ご参考いただければと思います。

 コニカミノルタ時代の同名レンズを引き継いだものと推察できますが、ソニーブランドになった時点で、レンズフードを改良しても良かったのではと思います。低価格の標準ズームレンズですから、こだわりのある人が買うレンズではないかもしれません。そのため評価されない改良に終わってしまうかもしれませんが、現在の丸形のフードは飾り程度で、効果も疑問ですし、見た目もいまひとつ。少し奮発して、深めの花形フードに改良してみても良いかと思います。「ソニーは写真がわかってるねぇ」などと、ベテランのカメラファンに喜ばれるのではないでしょうか。もっとも、激しい価格競争を繰り広げるエントリークラスのキットレンズながら、標準でバヨネット式フードが付属するのはうれしいところです。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先 / 1/100秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 18mm DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先 / 1/200秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 18mm

DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先 / 1/125秒 / F5.6 / 0EV / ISO250 / WB:曇天 / 70mm DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先 / 1/125秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:曇天 / 70mm

DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先 / 1/100秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 22mm DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先 / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO160 / WB:曇天 / 35mm

DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先 / 1/125秒 / F5.6 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 70mm DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先 / 1/30秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:曇天 / 70mm


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/dslr/products/body/DSLR-A350/
  ソニーα350関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/02/05/7906.html



安孫子 卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2008/05/13 00:34
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