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オリンパスE-420【第3回】
ライブビューを検証する

Reported by 小山 安博


今回から本革ショルダーストラップに変更。購入者特典でもれなくプレゼントされた品だ
 相変わらず、E-420の撮影にはZUIKO DIGITAL 25mm F2.8を装着している。軽くて持ち歩きに苦労しないのだが、単純に首からかけていると移動中にカメラが暴れてふとした瞬間にどこかにぶつけやすい。

 そこで、最近はストラップを長めにしてたすき掛けにしている。こうすると移動時にカメラが安定するので、間違ってどこかにぶつけることもない。25mm F2.8を付けているとレンズの出っ張りも少なく、たすき掛けにしても邪魔にならないのがいいところ。

 さて、E-420といえばライブビューが大きな特徴だ。オリンパスのライブビューは、E-330に搭載されたフルタイムライブビューが始まり。当時、ライブビューを搭載したデジタル一眼レフカメラはほかにもあったが、天体写真のように特殊用途で限定的に使われているだけだった。

 E-330は、ライブビュー用センサーを別途用意することで常用できるライブビュー機能を実現。昨年あたりから各社もこうしたフルタイムライブビューを搭載し始めて一般的な機能になってきた。

 E-420に搭載されているライブビューは、E-330のようにライブビュー用センサーを採用するのではなく、ミラーをアップしてレンズから入った像を撮像素子でとらえて、背面液晶モニターに表示するタイプ。現行モデルだと各社ともほとんどこの方式を使っている。

 ライブビュー実現で重要なのがAF機能。マニュアルフォーカス限定でもいいが、常用するためにはAFも使えた方がいい。そこで一時的にミラーを下げてライブビューを解除し、その間にAFを行って再びライブビューを復帰させる方法が登場。さらに最近はコンパクトデジカメと同じコントラスト方式のAFを搭載することで、ライブビューを解除しなくてもAFが使える機種が増えてきた。

 E-420でも「ハイスピードイメージャAF」と呼ばれるコントラスト方式のAF機能を搭載。このハイスピードイメージャAFに関しては次回以降に詳しく検証してみるが、いずれにしてもAFの時にライブビューが解除されなくなり、AF時にミラーがバタバタ動くこともなくなったのはうれしいところ。

 このハイスピードイメージャAFを含め、E-420のライブビュー機能は「常用すること」を前提として作られている。10万円以下のエントリークラスであり、コンパクトデジカメのステップアップユーザーもターゲットにしていることから、コンパクトデジカメに近い操作感が追求されたようだ。

 例えば、一度ライブビューボタンを押してライブビューに設定すると、電源オフ、スリープ、再生モードといったライブビューが解除される場合でも、電源オンにしたりスリープを解除したりして再び撮影モードに移ると自動的にライブビュー状態で起動する。


屋外でライブビュー表示をしたところ。屋外でも比較的見やすく、直射日光が当たる状況でもなければほとんど問題になることはない 液晶モニターの明るさや色味を変更することもできる

 明示的にライブビューボタンを押してライブビューを解除しない限り、常時ライブビューモードになるので、ライブビューの起動を意識する必要はない。ライブビューを使うためにライブビューボタンを押す、というよりも、むしろファインダーで撮影するためにライブビューをオフにする、というイメージだ。

 この常時ライブビューで重要なのがスーパーコンパネ機能。モノクロの情報表示パネルを持たないE-420では、撮影情報をすべて背面液晶に表示し、OKボタンを押すことでISO感度やホワイトバランスなどの各種設定にダイレクトにアクセスできるようになっている。


ライブビューの使いやすさの肝となるのがこのスーパーコンパネ
 ライブビュー中もOKボタンを押すとこのスーパーコンパネが表示され、十字キーで各設定にカーソルを合わし、そのまま電子ダイヤルを回すだけで設定が変更できる。

 十字キーなどのボタン割り当ては自体はほとんどないE-420だが、スーパーコンパネを使うことでライブビューを解除しなくてもほとんどの撮影設定が変更できる。

 さて、ここまではE-410時代から変わらない部分なのだが、E-420では新機能も搭載されている。特徴的なのは「パーフェクトショットプレビュー」機能。ライブビュー中は、ホワイトバランスや露出補正を行なうとリアルタイムに結果が表示されるが、それをもっと分かりやすいように一覧で表示してくれる機能だ。


パーフェクトショットプレビュー。こちらはホワイトバランスをプレビューしているところ 十字キーの上下で、露出補正とホワイトバランスを切り替えられる

 ライブビュー中にINFOボタンを押すことで起動できる機能で、これ自体は初心者層にはアピールできそうだし、ミックス光源などでホワイトバランスを設定する場合は特に便利。

 難点はライブビューの画面表示が多すぎる点。画面に何も表示しないモード、グリッド表示(非表示も可能)、各種情報表示、ヒストグラム表示、拡大表示、パーフェクトショットプレビューといった形で、INFOボタンを押すたびに最大で6画面も行き来しなければならない。


これは画面に何も表示しないモード 電子ダイヤルを回すと撮影情報も併せて表示される

グリッド表示モード。グリッドの種類は3種類から選択可能 グリッド表示をOFFにすると、このモードは表示されない

撮影情報の一部を常時表示するモード ヒストグラム表示を行なうモード

拡大表示モード。この状態から十字キーで拡大したい場所を枠を移動、OKボタンで拡大する

 しかも、パーフェクトショットプレビューでOKボタンを押して任意の設定に変更すると、画面は各種情報表示になり、グリッド表示をしたい場合はもう一度パーフェクトショットプレビュー画面を経由しなければならない。細かい点では、パーフェクトショットプレビュー画面に移ると一瞬間をおいてから機能が起動するのも気になった。

 画面に撮影情報とグリッド、ヒストグラムを一度に常時表示するモードがないのも残念。特にグリッドとヒストグラムを同時に確認しながら撮影することができないのはもったいない気がした。

 ライブビューで気になったことといえば、地面すれすれの被写体を撮る場合やウエストレベルで撮影する場合など、カメラを見下ろす形で撮影するシーンも出てくる。E-400シリーズでは、以前からファインダーが後部にせり出し、上からのぞく時に邪魔になる、という弊害があった。



液晶モニターが可動式ではないE-420の場合、視野角の広さが重要になる。視野角自体はかなり広く、かなりの角度を付けても構図の確認には十分に使える。上から見るとファインダーがちょっと邪魔


 このせり出しは、ファインダーをのぞいた時に鼻が液晶に触れて脂がつくのを防いでくれるが、上からのぞく時に邪魔になるだけでなく、バッグに入れる時の引っかかりにもなってちょっと気になる部分だ。もっとも、鼻や手の脂が液晶モニターにつくと、ライブビュー時の画面が見えにくくなるのは確か。自分の場合はファインダーで撮影することが多いので、脂がつきにくいこのせり出しも必要なようにも感じるし、評価が難しい。

 とはいえ、ファインダーによって液晶モニターの全部が隠れるわけでもなく、ファインダーが邪魔に感じた場合は、小首をかしげるようにしてのぞき込めば良さそう。一番ファインダーが邪魔になるほぼ真上からのぞき込んだ場合、今度は液晶モニターの視野角から外れて画面自体が見えなくなるので、その状態でしか確認できない場合は、自分のカンとAFを信じて撮影するしかないだろう。

 一般的にライブビューでは、三脚に固定してMFで撮影するのに適している。画面の一部を拡大できるため、ファインダーよりもピントが合っているかどうかが分かりやすいからだ。E-420でも、INFOボタンを何度か押して拡大表示モードにし、十字キーでピント合わせをしたい位置に測距枠を移動、その後OKボタンを押すと画面が拡大する。電子ダイヤルで7倍、10倍の拡大率を変更できる。


拡大倍率は2種類。7倍と10倍だと、あまり差がないように感じるのだが


 三脚を使わずに拡大表示すると、細かい手ブレが多くてMFでピントを合わせるのは結構苦労する。25mm F2.8くらいの焦点距離だとそうでもないが、望遠になるとレンズ内手ブレ補正のないE-420はちょっと不利だ。

 また、拡大表示モードにしていると、OKボタンで画面拡大になるため、スーパーコンパネを使った撮影設定の変更ができない。拡大表示モードからINFOボタンを押すとパーフェクトショットプレビューになって、ここでも撮影設定は変更できないので、もう一度INFOボタンを押して通常の表示モードにして撮影設定を変更、さらに何度かINFOボタンを押して拡大表示に戻る、というのも手間だ。そのため、拡大表示モード時はMENUボタンを押してライブビューを解除し、そこから設定を変更して再び撮影モードに戻る、という方法になり、操作の統一という点では疑問が残る。

 そのうえ、拡大表示をした状態で撮影をすると、どうもシャッターボタンを全押ししてからシャッターが切れるまでにタイムラグが生じるようだ。拡大表示しない時との差は体感できるほどで、どうにも違和感を感じてしまう。

 静物を三脚でじっくり狙う、という撮影ではこうした点はあまり問題にはならないかもしれないが、個人的には手持ち撮影のみで考えているので、普段は拡大表示モード+MFという撮影はしなくなった。シーンに応じてライブビュー+AFとファインダー撮影を使い分けており、おおざっぱに言って半々の割合といった感じ。

 こうしてライブビューを頻繁に使う気になったのも、ライブビュー状態のままでも違和感なくカメラの操作ができるからだし、AFがきちんと使えるレベルに仕上がっているからだ。次回以降でこの辺りも書いてみたいと思う。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F11 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 25mm

ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 25mm


ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 25mm

ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/80秒 / F3.5 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 25mm


ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/80秒 / F8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 25mm

ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/100秒 / F8 / +0.7EV / ISO200 / WB:オート / 25mm


ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/100秒 / F5.6 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 25mm

ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 3,648×2,736 / マニュアル露出 / 1/40秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 25mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e420/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(E-420)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm#e420
  オリンパスE-420関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/03/14/8123.html



小山 安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2008/05/02 00:52
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