デジカメ Watch
最新ニュース

キヤノンEOS Kiss X2【第1回】
「シャッターを押せばいいだけ」の全自動モード

Reported by 野下義光


 今回から計8回、キヤノンマーケティングジャパンの広報機材をお借りしてのレポートになりますが、ちょっと試用しただけですでに欲しいモード全開。レポート途中で自腹オーナーになりそうな気配です(笑)。

 筆者が業務で使用中のカメラはEOS-1D Mark IIIですが、実は去年の秋にEOS 40Dを衝動買いしてしまいました。

 EOS 40Dは業務での使用を前提に購入したのではなく、たまたま量販店の店頭で販売促進キャンペーンを行なっていて、何となく手にしたら気に入ってしまい、その場で買ってしまったという次第です。ちなみに業務抜きで一眼レフを購入したのは、中学生のころキヤノンAE-1(プラスプログラムではなく初代)以来、実に30年ぶりのことです。

 EOS 40Dを購入した時点では、EOS Kiss X2はまだ未発売でしたが、もし今だったらどっちにするか大いに悩んだことでしょう。現在購入を検討中の方は、どちらにしようか迷ってる方も多いと思います。今回のレポートではEOS 40Dとの比較も交えながら進めていくつもりです。

 さて、EOS Kiss X2を最初に手にした印象はとにかく軽くて小さいことです。長年業務で1D系を使用してきた私にはEOS 40Dでも十二分に軽く小さく感じましたが、EOS Kiss X2を手にした後は、EOS 40Dは1D系と大差ないような巨大さを感じてしまうようになりました。

 5歳になった娘に、EF-S 18-55mm F3.5-5.6 ISを付けたEOS 40Dを持たせると「重い~!!」とブーブー言いますが、日を変えて忘れた頃に同じレンズを付けたEOS Kiss X2を持たせると、特に違和感はないらしく、軽々と持って撮影していました。


キヤノンのデジタル一眼レフとしては、SDHC/SDメモリーカードをついに単独で採用(CFとのダブルスロットではEOS-1D Mark IIから) プロ仕様のEOS-1Ds Mark III、EOS-1D Mark III同様に、カードの初期化には物理フォーマットまで設けられている

センサークリーニングも当然搭載。付属のボディキャップも低ダストタイプだった

機種ごとの独自機能を除くと、メニュー画面は現行のEOSデジタルと共通。使い勝手も一緒だ


中央がEOS Kiss X2用電池。左のEOS 40D用とは互換性はない。右は大きさの比較のための単3電池


 とりあえずシャッターを切ってみると、「カシャン」といかにも一眼レフらしいメカニカルなシャッター音で、人物撮影では撮られる側も撮る側も、シャッターが切れた瞬間がはっきりわかることでしょう。

 ただ、音の大きさは大きめです。シャッター音が気になるような場面では耳障りに感じるかもしれません。EOS 40Dは「パコン」とややチープな印象のシャッター音ですが、音は小さめです。さらにEOS Kiss X2には搭載されていないサイレントモードでは、一眼レフカメラとは思えないほどの静音撮影が可能で、たとえばクラッシックのコンサートを撮影する場合などでは非常に有効でしょう。

 体感上のシャッターのタイムラグや画像消失時間はEOS 40Dと同等で、筆者的には十分。一眼レフカメラならではのレスポンスです。

 ベテランやハイアマチュアの要求にも応えてくれそうな機能・性能も期待できますが、まずはメインターゲットと思われる初心者を想定して、全自動モードで試し撮りしてみました。設定はいたって簡単。モードダイヤルをキヤノンではおなじみのグリーンの四角い記号に合わせるだけです。

 モードダイヤルはこの全自動を含め、絵文字で表される
「かんたん撮影ゾーン」と、P、Tv、Av、マニュアルなどの「応用撮影ゾーン」に大別されます。

 かんたん撮影ゾーンでは、露出、AF、ピクチャースタイルなどが自動設定され、ユーザー側が画質に関して設定できる項目は記録サイズとJPEGの圧縮率だけとなります(RAW、RAW+JPEGは設定できない)。


今回はまず、モードダイヤルを全自動に設定して撮影してみた
全自動に設定した際の液晶モニター表示


かんたん撮影ゾーンでは、メニュー画面も一部しか現れなくなる


 全自動モードでは、内蔵ストロボも状況に応じて自動的にポップアップして発光します。暗いところはもちろんですが、晴れた日中の屋外など非常に明るい場合でも、画面内に大きな明暗差が現れるとポップアップします。逆光の人物撮影などで有効なときがありますが、遠くの風景などストロボ光が全く効かない状況であってもポップアップして発光する場合がありました。

 ストロボが発光しては困る場面では、かんたん撮影ゾーンにストロボ発光禁止モードが搭載されていて、至れり尽くせりです。

 ストロボの自動発光は、かんたん撮影ゾーンの特定のモードのみで働きます。ポップアップしたストロボは手で戻さないと仕舞えませんが、ポップアップさせたままでも常に発光するわけではなく、撮影ごとに発光させるべきかどうか判断している様子です。今回試してみて、発光させないと判断した場合、ストロボ同調速度に関係なくシャッター速度を制御していることがわかりました。

 応用撮影モードでは、撮影者の判断でストロボをポップアップさせ発光させます。ポップアップさせた状態だと、ストロボ光が効く効かないにに関わらず常に発光し、シャッター速度の上限も同調速度上限の1/200秒までとなってしまいます。


買ったその日から全くの素人でもきれいに撮影できてしまう間口の広さがある
 今回掲載した子どもの写真の作例は、全くの素人代表として筆者の妻が撮ったものです。全自動モードに設定してから「シャッターを押せばいいだけ」とだけ伝え、EOS Kiss X2を渡しただけです。

 自分の子どもの写真だと、プロも素人もあまり関係ないと思います。ピクセル等倍で見てしまうとアラも見つかるかもしれませんが、PCのモニターで全画面を見たり、Lサイズから2Lサイズくらいまでプリントして観賞する分には、職業柄写真にはうるさい筆者が観ても、これ以上望むものがないと思えるほどの出来映えです。風景と花の作例は筆者が撮ったものですが、これらも全自動モードを使っています。

 なお、全自動モードで設定されるピクチャースタイルはスタンダード、シャープネスはスタンダードの初期設定である3(0~7の8段階中)です。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ名/記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。


全自動で初心者(筆者の妻)が撮影

EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS / 2,848×4,272 / 全自動 / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 25mm EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS / 2,848×4,272 / 全自動 / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 55mm

EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS / 2,848×4,272 / 全自動 / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 55mm EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS / 2,848×4,272 / 全自動 / 1/100秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 55mm

全自動で筆者が撮影

EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS / 4,272×2,848 / 全自動 / 1/250秒 / F10 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 18mm EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS / 2,848×4,272 / 全自動 / 1/100秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 55mm


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/eosd/kissx2/
  キヤノンEOS Kiss X2関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/02/05/7809.html



野下義光
(のしたよしみつ)熊本県生まれ、千葉県育ち。国立木更津工業高等専門学校機械工学科卒業後、エンジニアとして大手コンピューター会社に5年勤務。その後、夢を捨てきれず写真界へ身を投じる。現在ジュニアアイドルを中心にWeb、DVDジャケ写などで活躍中。フルデジタルの写真集も多数手がけている。趣味はネットオークション(笑)

2008/04/17 00:01
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.