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MB-D10を装着したD300
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D300には別売のオプションとしてマルチパワーバッテリーパックMB-D10(4万円)が用意されている。個人的には今までバッテリーパックをまともに使ったことがなかった。ミドルレンジクラスのカメラを使い続けている理由のひとつにコンパクトで軽量なことがある。ハイエンド機を持ち出して撮影すると、“下”(縦位置グリップ)がなければなぁと思うことも多い自分にとって、ミドルレンジはちょうどよい大きさに感じている。しかし、このデジカメWatch担当氏の脅しに近い要望で、泣く泣く量販店に足を運んでMB-D10を購入した次第だ。
MB-D10に装填できるバッテリーはボディ本体に装填するものと同じリチウムイオン充電池EN-EL3e(1個)のほか、D2XのEN-EL4やD2Xs/D3のEN-EL4aも使用できる(EN-EL4とEN-EL4aを使用する場合は、別売のバッテリー室カバーが必要になる)。さらに付属するホルダーを使用すれば各種単3形電池8本(アルカリ電池、ニッケル水素充電池、リチウム電池、ニッケルマンガン電池)も使用できる。
ボディ本体側のバッテリーと合わせてより多くの枚数が撮影できるとともに、EN-EL4a、EN-EL4、単3電池の使用では8枚/秒の高速連続撮影を可能にしている(EN-EL3eの場合はボディ単体と同じ6枚/秒となる)。D3などのハイエンド機よりはシャッターのタイムラグを強く意識して撮影する必要があるとはいえ、この連写速度はスポーツフォトなどに有効だ。
バッテリーパックには縦位置撮影用のシャッターボタン、前後コマンドダイヤルのほか、AF作動ボタン、マルチセレクターが備わる。縦位置に構えた際の操作性は“基本的”に横位置とほとんど変わらない。
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MB-D10
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メインコマンドダイヤルとAF-ONボタン、マルチセレクターを備える。AF-ONボタンの機能はD300本体から変更可能
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MB-D10のパッケージの内容。単3電池用ホルダーとケースが付属する
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EN-EL3eを装填。EN-EL3e用ホルダーも付属する
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本体の電池とMB-D10の電池のどちらを先に使うかを設定できる
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電池残量も本体とMB-D10を別々に確認可能
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むしろ、縦位置のほうが使いやすいなぁと感じたのがマルチセレクター。形状が本体のものとは異なり、ソニーα700と同様のジョイスティックタイプとなる。操作感はこちらのほうが格段によく、節度のよい設定操作ができるからだ。カメラを縦位置に構えたときに違和感なくスムースに右手親指が届くのもよい。
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D300本体とは形状の違うマルチセレクター
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マルチセレクターに親指が届きやすく、良好な操作感
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購入してすぐに気になったのは、MB-D10に露出補正ボタンが付いていないこと。ほかのミドルレンジ機にオプションとして用意されている縦位置グリップを見ると、ソニーα700とペンタックスK20Dのものには露出補正ボタンが備わっている。キヤノンEOS 40Dの縦位置グリップには露出補正ボタンがついていないが、本体のサブ電子ダイヤルを回すだけで露出補正でき、しかも縦位置グリップ使用時でも共用できるので、まったく問題はない。
D300+MB-D10で縦位置グリップ使用時に露出補正をするには、いちいち横位置にカメラを構えなおして本体の露出補正ボタンを押さなければならないかと思ったのだが、縦位置のまま露出補正をするちょっとした技があった。
D300は、カスタムメニューの[b4:露出補正簡易設定]をONにすれば、メインコマンドダイヤルもしくはサブコマンドダイヤルで露出補正が可能となるのだ。デフォルトでの設定の場合、プログラムAEとシャッタースピード優先AEがサブコマンドダイヤル、絞り優先AEがメインコマンドダイヤルによる設定となる。これによって、露出補正ボタンを押さずともスピーディに露出補正ができるわけだ。
もちろんMB-D10の両コマンドダイヤルでも、この設定は引き継がれる。露出補正簡易設定を設定しなければ使えないし、ぱっと見ではわかりにくいという問題はあるが、MB-D10を使う場合はぜひ活用したい設定だ。
※作例下の撮影データは、記録解像度/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/レンズ/実焦点距離を表します。
※サムネールをクリックすると、等倍の画像を開きます。
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2,848×4,288ピクセル / 絞り優先AE / 1/320秒 / F8 / -1.3EV / ISO200 / WB:晴天 / AF-S DX 17-55mm F2.8 G ED / 17mm
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2,848×4,288ピクセル / プログラムAE / 1/30秒 / F2.8 / -2EV / ISO1600 / WB:晴天 / AF-S DX 17-55mm F2.8 G ED / 17mm
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2,848×4,288ピクセル / 絞り優先AE / 1/25秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO200 / WB:オート / AF-S DX 17-55mm F2.8 G ED / 55mm
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2,848×4,288ピクセル / プログラムAE / 1/320秒 / F9 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / AF-S DX 17-55mm F2.8 G ED / 35mm
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2,848×4,288ピクセル / プログラムAE / 1/320秒 / F9 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / AF-S DX 17-55mm F2.8 G ED / 35mm
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2,848×4,288ピクセル / プログラムAE / 1/125秒 / F11 / -0.7EV / ISO200 / WB:5,260K / AF-S DX 17-55mm F2.8 G ED / 55mm
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■ URL
ニコンD300関連記事リンク集
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/08/24/6897.html
大浦タケシ (おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。 |
2008/04/17 14:27
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