最終回は、今まで使ってみたアクセサリーを紹介したい。ワイドコンバージョンレンズとテレコンバージョンレンズについては第5回に掲載したので、今回はそれ以外の製品をとりあげる。また、2カ月使って感じたことや、次機種への期待を最後にまとめてみた。
■ スピードライト
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COOLPIX950の頃に使っていたブラケットを利用し、スピードライトSB-800をサイドに装備。ちょっとやりすぎ
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COOLPIX P5100は、本体上面にアクセサリーシュー(ホットシュー)を備えている。ここに装着できるものとしては、クリップオンストロボ(ニコンでは「スピードライト」)が代表格だろう。スピードライトのうち、「SB-800」、「SB-600」、「SB-400」をCOOLPIX P5100に取り付けると、i-TTL調光が行なえる。
光量が大きく、バウンス発光ができるのがクリップオンストロボの強みだ。とはいえ実際に手持ちで使うとなると、カメラ本体より大きなSB-800やSB-600はバランスが悪い。かろうじて似合うのはコンパクトなSB-400だろう。SB-400でもバウンス発光やi-TTL調光に対応している。
最近はD200やD300のサブとしてCOOLPIX P5100を取材に持参しているが、同時に持って行くSB-800を共用できるのは安心感がある。かつてFinePix S1 Pro+SB-28のサブ機として、COOLPIX950で取材を行なっていた頃があるが、その当時を思い出す組み合わせだ。その頃は確か、SB-28を外光オートで調光していた。なので、普通にTTL調光が働くのは個人的に結構うれしい。
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SB-800を装着。さすがにバランスが悪い
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電源を入れると、ちゃんとISO感度を表示する
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SB-400。これくらいの大きさなら常用できそう
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バウンスもできる
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調光補正メニューから、スピードライトの光量を調整できる
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COOLPIX P5100からの調光補正にも対応する。コマンドダイヤルに割り当てられれば最高なのだが、どうやらそれは無理のよう。残念だ。なおスピードライトに関しては、内蔵ストロボの発光を禁止にするモードがある。また、内蔵ストロボは後幕シンクロが可能。使う使わないは別にして、なかなか多機能だ。
- 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
- 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算の焦点距離を表します。
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お約束の作例。こちらは内蔵ストロボを直接発光
4,000×3,000 / 1/50秒 / F3.9 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 74mm
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SB-800でバウンス発光
4,000×3,000 / 1/50秒 / F3.9 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 74mm
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■ 水準器
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取りつけたのはユーエヌのUNX-5686「DX 2wayレベラー」。3,980円で購入
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シューに付けるアクセサリーとしては、水準器も良く知られるところだ。しかしCOOLPIX P5100の液晶モニターには格子線が出るので、はっきりいって必要性は薄い。シャッター速度や絞り値を設定する際も、格子線を表示したままで行なえるので、多くのケースで問題ないだろう。とはいえ、格子線を見ただけでは水平がはっきりと判別できないシーンもあるので、付けているとそれなりに指針にすることが多かった。
余談だが、コンパクトデジタルカメラに水準器を付けた場合、液晶モニターで構図を確認しつつ、水準器をちらりと見やって水平・垂直を確かめられる。やってみるとこれが結構楽しい。ファインダーを覗いて構図を決めて、水準器で水平を確認してからまたファインダーを覗いて微調整……という一眼レフカメラ+水準器の使い勝手より便利に感じた。ライブビュー対応のデジタル一眼レフカメラで、今後多用するかもしれない。
とはいえ最近は、電子水準器を内蔵し、液晶モニターに水平状態を表示するデジタルカメラが出てきている。具体的にはD3とGR DIGITAL IIだ。これがかなり使いやすい。水平だけなら、アクセサリーシューや雲台に水準器を必要とするケースが減ってくるのではないだろうか。
■ 外部ファインダー
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ワイドコンバージョンレンズに合わせて、コシナのR-D1/D1s向け15mm用ファインダーを装着
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アクセサリーシューに関するお遊びネタをもうひとつ。コンバージョンレンズを使うと、コンバージョンレンズが光学ファインダーの視野の一部を塞ぐため、必然的に液晶モニターでの撮影になってしまう。それでもほとんどのシーンで問題ないわけだが、ワイドコンバージョンレンズの「WC-E67」を装着した際、広角端の画角が35mm判換算で23.5mm相当になることを知り、手元にあったR-D1/D1s向け15mm用ファインダー(コシナ製)を取り付けてみた。35mm判換算で焦点距離23mm相当の画角に対応する。
もちろん近接時のパララックスは避けられないし、レンズをズームさせるとファインダーの意味がなくなる。そもそも取り付け位置がレンズの光軸から斜めにずれているので、COOLPIX P5100との組み合わせでは実用度が低い。
しかし、ファインダー視野がクリアで明るいせいもあり、使っていると不思議と面白かった。撮影時に液晶モニターをOFFにすると、単焦点の広角レンズをつけたレンジファインダー機の感覚になる。
厳密にフレーミングしたいときは液晶モニターを使えばよいし、液晶モニターが反射して見づらいときなど、「光学ファインダーが使えれば」と思うこともたまにある。少々こじつけがすぎる気がするが、ワイド端での使用がほとんどなら、これはこれで楽しいアクセサリーだと思う。
■ ファーブルフォト
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ブラケットのFSB-6を介してファーブルフォトに接続。FSB-6には、ブレ防止用にレリーズケーブルが付属する
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今回最も感心したのは、ニコンの「ファーブルフォト」(9万2,400円)との組み合わせだ。
ファーブルフォトは、倍率20倍の「携帯型実体顕微鏡」。被写体を照明するLEDを内蔵しており、単3電池1本で駆動。基本的にどんな場所でもクローズアップ画像を見ることができる。接眼レンズの視度や眼幅調整も可能で、なかなか本格的だ。
最大の特徴は、デジタルカメラに専用のブラケットを介して接続することで、顕微鏡画像を記録して保存できること。対応するカメラは、COOLPIX 4200/5200/5600/7900、COOLPIX P1/P2/P3/P4、COOLPIS S1/S3/S5/S6/S7/S7c/S8など。COOLPIX P5000/P5100も対応カメラに含まれており、専用ブラケット「FSB-6」(1万5,750円)を介して接続できる。ほかのCOOLPIXと違い、P5000/P5100ではズーム全域でケラレが生じない利点がある。
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レリーズケーブル装着時。取り付け位置を微調整できる
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レリーズケーブル装着時。取り付け位置を微調整できる
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レリーズケーブル装着時。取り付け位置を微調整できる
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撮影そのものは特に難しくなく、ストロボを発光禁止にしてから、ファーブルフォト側のフォーカスノブで大まかにピント合わせ後は、AFを使ってピントを合わせる。慣れればフォーカスノブだけでも大丈夫だろう。
ただし、ブレ易いことにひと苦労。FSB-6にはレリーズケーブルが付属し、カメラのシャッターボタン位置に合わせて装着できる。プレートへの被写体の固定状態にもよっては、それでもブレが目立つことがある。レリーズケーブルよりは、セルフタイマーの方が歩留まりが良いようだ。記録に徹するなら、感度を上げてシャッター速度を稼ぐ手もある。野外ではその方が安心だろう。
20倍の世界を1,200万画素で記録し、さらにディスプレイ上で拡大して見るのは結構楽しい。本来は自然観察用のアイテムだが、思わず身のまわりの色んなものを撮ってしまった。
なお今回は試さなかったが、FSB-6を使うことでフィールドスコープにも装着できる。いわゆるデジスコが可能になるわけで、いずれチャレンジしてみたい。
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表面が赤黒いビー玉
4,000×3,000 / 0.3秒 / F5.4 / -0.3EV / ISO64 / WB:晴れ / 74mm
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家で育てているミニマリモ
4,000×3,000 / 1.3秒 / F7.6 / -0.3EV / ISO64 / WB:晴れ / 35mm
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シュークリームにのっていたイチゴ
4,000×3,000 / 0.7秒 / F7.6 / -0.3EV / ISO64 / WB:曇り / 35mm
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無印良品のキムチ味ミニラーメン
4,000×3,000 / 1/2秒 / F7.6 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 35mm
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さて、最終回なので2カ月使ってきた印象をまとめたい。細かい不満はいくつかあるが、一番もったいないと思うのが、露出補正をコマンドダイヤルに割り当てられないこと。十字ボタン右を押すとショートカットメニューが現れるので、あえてコマンドダイヤルに割り当てる必要はないのだが、せっかくなので良く使う操作をコマンドダイヤルに割り当てたいところ。もっとも、マルチパターン測光が優秀なので、夕景などを除くと、露出補正する必要はほとんどなかった。
個人的にもう少し頑張って欲しかったのは、フル解像度での解像感だ。他社の1,200万画素クラスのCCDを搭載した機種より幾分低く感じられ、しかもF5.6から急にもっさりした輪郭になる。レンズのせいだろうか。F4ぐらいまでが解像感のピークと思われる。また、単色面のノイズも目立つケースが多い(これはライバル機と同レベルに感じる)。その代わり、低感度での色や階調は文句ないし、ダイナミックレンジも思ったより広い。A4写真用紙に出力した際の立体感も、充分満足できるレベルだ。
何よりも「ゆがみ補正」、「カラー白黒同時記録」、「1:1アスペクト比」など写真好きに受けそうな小技を満載しているところが気に入った。反面、広角端が35mmだったり、ズーム比が3.5倍などと、いまひとつ派手なスペックに事欠くのも事実。「この機種ならでは」の特色を訊かれると、ついつい小技を答えてしまうところが悲しい。
とはいえ、ライバルよりボディが小型で実売も安い上、手ブレ補正、ISO3200、複数人に対応した顔検出機能も搭載。広角以外の最近のトレンドはちゃっかり採り入れている。カスタマイズ性をはじめ、愛着が感じられる要素は多く、マニュアル露出をはじめとした撮影の自由度もしっかりある。ライバルに比べると何かと地味な印象を受けるカメラだが、このサイズのまま手堅く発展してほしい。
■ URL
ニコン
http://www.nikon.co.jp/
製品情報
http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/compact/coolpix/p5100/
長期リアルタイムレポートバックナンバー(現在進行中・2007年および2008年終了分)
http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm
2008/01/08 15:07
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