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今回使ったレンズたち。さすがにシグマのAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM(右端)まで持っていったらちょっと重かった。ボディについているのがZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6。写真左は上からZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6、ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro
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7月からはじまった長期レポートもようやく最終回。月曜日掲載の関係から、お盆休みやら9月の2連続3連休やらの関係でかなり長引いてしまった。おかげで、49分割デジタルESP測光のクセもかなりつかめてきたものの、それでもやはり、一発でOKというところまで詰められていない。
まあ、筆者の努力不足もあるが、白トビしやすいことやRAW現像時にマイナス補正するとハイライトがマゼンタがかる問題(Adobe Photoshop Lightroomはバージョン1.2に、Adobe Photoshop CS3のCamera RAWはバージョン4.2にあがって少し改善された)とかもある。
白トビを無視して撮ったほうがいいか、白トビを抑えて撮っておいて、あとで補正するなりしたほうがいいか、その加減がもうひとつ決めきれないので、必然的に、とりあえず露出をバラしていっぱい撮っとこう、となる。下手な鉄砲は数打たなきゃ当たらない式である。
そうすると、重要になるのは露出補正の操作性だ。通常、電子ダイヤルがひとつしかない機種の場合、露出補正はボタン+ダイヤル操作になるが、E-510のカスタムメニュー(スパナの1のアイコン)には、「ダイヤル」という機能がある。
これは、プログラムAEとマニュアル露出時のコントロール(電子)ダイヤルの機能を、露出補正(+/-)ボタンを押しながらコントロールダイヤルを回したときの機能と入れ替えるものである。
プログラムAE時には、初期設定の状態ではコントロールダイヤルでプログラムシフト、露出補正ボタンを押しながらコントロールダイヤルを回して露出補正になるが、これを逆にできる。つまり、コントロールダイヤルの単独操作で露出補正が行なえるのである。
もちろん、プログラムシフトしたいときに、露出補正ボタンを押さなくてはならなくなるが、幸いひとつのシーンに対して絞り値とシャッター速度の組み合わせを変えながら撮る機会はほとんどない。なので、操作が多少面倒になってもかまわないし、それよりも露出補正操作が簡単になるほうが、よほどありがたい。
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カスタムメニューの「ダイヤル」。これを「露出補正」にすると、プログラムAE時だけだけど、コントロールダイヤル単独操作で露出補正が可能になる。便利
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E-510のコントロールダイヤル。ひとつしかないから、普通は露出補正ボタンを押しながら回して露出補正を行なう
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本音を言えば、絞り優先AEやシャッター優先AEのときにも使えればいいのにと思っているし(だって、ひとつのシーンに対して絞りやシャッター速度を変えて撮ることもなくはないけど、それ以上に露出をバラして撮るケースのほうが多いと思うのだ)、できればE-410にもファームウェアアップデートで載せてもらいたいとも思っている。
まあ、露出をバラして何コマか切らないとアタリが出ない筆者のような凡人の言葉に耳を貸していたらキリはないし、露出補正の操作性を云々するなら年内発売希望のアレを「買ってくださいよぉ」と言われるのが落ちだろう。
それはさておき、そんなわけで、E-510はプログラムAEがメインモードになっている。とは言え、暗い場所でも絞って撮りたいときもあれば、明るいけど絞りを開けて撮りたいときもある。そういうときには絞り優先AEに切り替えたくなるが、今度は露出補正操作が面倒くさい。
だったら、マニュアル露出に切り替えちまえ、となるのだが、こちらはこちらで少々問題ありだったりする。コントロールダイヤルの回転方向が不自然だからである。
露出補正のときはコントロールダイヤルを上から見て反時計まわり(右手親指を左から右に動かす操作である)でプラス補正になる。液晶モニターに表示されるスーパーコンパネ上のバーグラフも右がプラス、左がマイナスになっているので、親指を右に動かしてバーグラフの指標が右に動いてプラス補正になるのは納得である。
が、マニュアル露出のときは、どういうわけか、それが逆になっていたりする。親指を右に動かすとシャッター速度が速くなる。露出補正ボタンを押しながらコントロールダイヤルを回すと絞り値を変えられるが、こちらも同様。親指を右に動かすと絞り込まれていく。つまり、露出がマイナス方向に変化するのである。当然、バーグラフの指標も左に動く(ちなみに、絞り優先AEやシャッター優先AEのときも、親指を右に動かすと絞り込まれたり、シャッター速度が速くなったりする)。
露出補正では親指を右に動かすとプラスなのに、マニュアル露出ではマイナスになってしまう。だから、よけいにややこしい。これに気づいたのが長期レポート最終回の原稿を書いている今というのも間抜けな話だが、なんだかなぁと思ってしまう仕様である。年内発売希望のアレも同じなんだろうか。ちょっと心配である。
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プログラムAE時のスーパーコンパネ画面。バーグラフは右がプラスで左がマイナス。コントロールダイヤルを回す親指を左から右に動かすとプラス補正になる
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マニュアル露出時のスーパーコンパネ画面。バーグラフの表示は露出補正と同じだけれど、コントロールダイヤルを回す親指を左から右に動かすとシャッター速度が速くなる。つまり、露出がマイナスになる。なんか不自然である
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気を取り直して次にいってみる。画像の消去が簡単にできるのも気に入っているところである。E-410は、RAW+JPEG同時記録で撮った画像の場合、初期設定の状態だと同時記録されたひと組のRAWとJPEGを個別に消去するようになっている。1回の消去作業で消えるのはJPEGだけで、RAWも消すにはもう1回消去作業を繰り返さなくてはならない。「選択コマ消去」という機能を使えば、RAWとJPEGをまとめて消すこともできるが、その場合も、「OK」ボタンで選択→「消去」ボタン押し→上キーで「中止」から「実行」に切り替え→「OK」ボタンで消去、という手数が必要になる。面倒くさい。
どうしてこういう仕様になっているのかは謎だが、誰かにとって必要だからそうなっているのだろうと思い込むことにしている。が、それでも面倒なものは面倒だ。
その点、E-510はずっと楽。やはりRAWとJPEGを個別に消去する機能は残されているが、カスタムメニューの「RAW+JPEG消去」は初期設定で「RAW+JPEG」になっている(RAWを先、またはJPEGを先に消去することも可能)。これでひと手間減るのだが、セットアップメニュー(スパナの2のアイコン)の「実行優先設定」を「実行優先」に切り替えておくと、デフォルトのボタンが「中止」ではなく「実行」になる。「中止」から「実行」に切り替える手間が減らせるわけだ。
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カスタムメニューの「RAW+JPEG消去」はRAW+JPEG同時記録で撮った画像の消去の順番を決める項目。世間一般のカメラはRAWとJPEGがセットで消去となるが、オリンパスのはRAWだけとかJPEGだけとか消せる仕様になっている
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セットアップメニューの「実行優先設定」では、画像の消去やカードの初期化時に最初に選択されるボタンを選ぶ項目。「実行優先」にしておくと、「中止」から「実行」に切り替えるひと手間が省ける
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さらに、カスタムメニューの「ワンプッシュ消去」をオンにすると、「消去」ボタンを押すだけで、RAWとJPEGをまとめて消せる。
つまり、E-410で「OK」ボタンで選択→「消去」ボタン押し→上キーで「中止」から「実行」に切り替え→「OK」ボタンで消去という手間が必要なところを、E-510だと「消去」ボタンを押すだけですんでしまう。同じメーカーのカメラでこの差はなに? って感じである。
もちろん、ボタンひとつであっけなく画像が消えてしまうことに不安を感じる人もいるだろう(間違って消去ボタンに触って画像が消えちゃったなんてのは泣けるからね)。露出外しの心配がまったくない達人様なら画像の消去機能なんて必要ないのかもしれないが、露出が一発で決まらないのが当たり前の筆者にとって、簡単に画像が消せることはとても大事。いっぱい撮ってばんばん消すのが基本なのだから、画像の消去に手間がかかるのは嫌なのである(まあ、「試し撮り撮影」機能を使えという説もあるけど)。
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カスタムメニューの「ワンプッシュ消去」。筆者はかなり気に入っている機能。「消去」ボタンを押すだけでいらない画像が消せるからラクチン。でも、間違って必要な画像を消さないよう注意も必要だ
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「Fn(ファンクション)」ボタンに割り付けられる機能の中に「試し撮り撮影」がある。「Fn」ボタンを押しながらシャッターを切ると、カードに記録しないで撮影ができる。露出のテストなんかに使うのだが、筆者は「撮っちゃったほうが早いじゃん」と思ってしまうタチなので使ってない
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手ブレ補正の効きがいいとか、グリップが持ちやすいとか、十字キーに4つの機能が割り付けられているとかもE-510のいいところではあるが、筆者個人にとって、いちばんありがたいと感じている機能は、露出補正がしやすいことと画像の消去が簡単なこと。この2点だったりする。
E-510の新製品レビューのとき、「2万円出したら(E-410を)E-510に交換してあげるよ」と言われたらよろめきそうだと書いたが、その気持ちはいまだに変わっていない。E-410はE-410で小ささ軽さ、デザインのよさが気に入っているし、下取りに出して買い替えというのも考えてはいない。が、今の時点でどちらか一方を選べと言われれば、間違いなくE-510を買うだろう。
■ 作例
- 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
- 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出プログラム/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
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昭和記念公園内を走っているパークトレイン。1回300円だが、「どこそこになんとかが咲いてる」とか教えてくれるのでありがたかったりする
ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / プログラムAE / 1/200秒 / F5.1 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 106mm
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被写体は秋っぽいけど、気温は30度超えてます。日なたで撮ってると、カメラとレンズがどんどん熱くなってくのがわかってちょっと怖い
シグマAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/640秒 / F4 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
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気温が高いせいもあってか、虫たちも活発。20コマぐらい撮って、目にピントが合ってるのがどうにか撮れた。日陰で再生して、ピントが合ってないのを速攻で消去
シグマAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
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盆栽の幹の部分の形がおもしろかったので。木漏れ日が当たっている部分は飛んでもいいやと思うことにした
シグマAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / マニュアル露出 / 1/640秒 / F4 / ISO100 / WB:晴天 / 150mm
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水の流れを飛ばさないように露出をバラしながら撮った中の1コマ。コントロールダイヤルだけで露出補正ができるから、段階露光も快適
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / プログラムAE / 1/100秒 / F11 / -1EV / ISO100 / WB:晴天 / 36mm
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東屋から窓越しの日本庭園。スポット測光に切り替えて露出を変えて6~7コマ撮って、残したのは2コマだけ。数打ちゃ当たるんだから、打たなきゃ損という気持ちで撮ってたりする
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / プログラムAE / 1/125秒 / F6.3 / +0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm
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スポット測光であちこちの明るさを見ながら露出を決めて、なんてときはマニュアル露出のほうが便利。でも、ダイヤルの回転方向が逆なんだよね
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / マニュアル露出 / 1/40秒 / F8 / ISO100 / WB:晴天 / 17mm
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空の色は秋っぽいのにくそ暑かったので木陰から。Exifが中央部重点平均測光になっているのは、スポットからデジタルESP測光に切り替えたつもりで間違ってたから
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / プログラムAE / 1/320秒 / F10 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm
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枯れてるのにけっこう撮ってる人が何人もいた。で、筆者も撮ってみた。空の白トビを抑えるために-0.7EV補正
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / プログラムAE / 1/125秒 / F7.1 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm
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ミツバチ(ハナアブかもしれないけど)はせわしなく移動するので追うほうは必死。20コマ以上撮って、ピントが合ってると言えるのはほんの数コマ。液晶モニターで見てだめなカットは空き容量確保のために即消去である
シグマAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / プログラムAE / 1/400秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm
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日が陰ったときに撮ったカット。明暗差の大きい条件だと、AEではちょっとしたフレーミングの違いで露出が大きく変わったりするのでマニュアル露出のほうが便利
シグマAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / マニュアル露出 / 1/500秒 / F4 / ISO100 / WB:晴天 / 150mm
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手前のヒガンバナの明るさをスポット測光で……と思ったところで、ようやく中央部重点平均測光になってるのを発見してしまう。間抜けである
シグマAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / マニュアル露出 / 1/50秒 / F4 / ISO100 / WB:晴天 / 150mm
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日が陰ってシグマの150mmではきつくなったので、ED 50mm F2 Macroに交換。結局、50mmを使ったのはこのカット(もちろん、バラしてますけど)だけだったりする
ED 50mm F2 Macro / 3,648×2,736 / マニュアル露出 / 1/40秒 / F2.8 / ISO100 / WB:晴天 / 50mm
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背景ボケの日が当たっているヒガンバナの色が浅くならずに、ピントを合わせたヒガンバナが暗く沈みすぎないように、なんていうと、露出をバラす幅も広くなる。オートブラケット機能を使わないのは、シーンによってバラす幅が違うから。というのは下手くそのイイワケですが
シグマAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / マニュアル露出 / 1/160秒 / F4 / ISO100 / WB:晴天 / 150mm
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■ URL
オリンパス
http://www.olympus.co.jp/
製品情報
http://olympus-esystem.jp/products/e510/
気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(E-510)
http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm#e_510
レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(E-510)
http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#e510
( 北村 智史 )
2007/10/01 00:04
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