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オリンパス E-410【最終回】
八王子から高尾へ――8mm F3.5 Fisheye編

Reported by 安孫子 卓郎


ED 8mm F3.5 Fisheyeを装着したE-410
 新宿から始まったこの連載。とうとう今回で目的地の高尾へとたどり着く。計算上は直線5km平均で簡単に歩けるだろうと高をくくっていたのだが、実際に歩いてみると予想以上に疲れる企画だった。都心部では路地が多くて寄り道が長くなり、郊外では駅の間隔が長くなり、気温も高くなって体力を消耗した。

 まあそれでも、そこそこ歩いてこれたのは、やはりE-410と軽量のシステムのおかげである。もちろん弩級のフラッグシップ機とF2.8のズームをつけて歩き回るカメラマンもいるわけで、軽ければ良いというものではないが、今回に関しては心から「軽くて良かった」という思いが強い。もちろんヘビー級システムだったら、こんな企画はそもそも考えなかったわけだけれど。

 八王子からは主に線路の北側を歩いた。八王子は都会である。人口も多いし、繁華街も多い。居酒屋やスナックの多さは、今回歩いたルートの中では一番かと思えるくらいだ。同時に歴史のある街でもあり、神社仏閣なども多い。

 7月27・28日は西八王子祭りがある。阿波踊りとよさこいで盛り上がる祭りだ。8月3・4・5日は八王子祭りで、こちらは神輿が繰り出される。日本中が夏祭りのシーズンではあるが、八王子一帯も被写体は多いので、こちら方面もチェックされていると良いだろう。

 ただ駅と駅の中間は、郊外だけに新しい住宅街が多い。したがってぶらぶらと歩いてまわるよりは、スポットを決めて訪ね歩く方が良いだろう。今回はJR高尾駅を目指したが、京王線だともう一駅ふもとに近い高尾山口駅がある。そこからケーブルカーかロープウェイで山頂を目指してみるのもよい。ケーブルカーの終点にはビアガーデンがあり、夏場は東京の夜景を見ながらのビールを楽しめる。

 今回はED 8mm F3.5 Fisheyeを持ち出した。対角線画角が180度の魚眼レンズである。筆者はAPS-C用の対角線魚眼レンズも持っている。アスペクト比が3:2の対角線魚眼と4:3の対角線魚眼を比べれば、画角的には4:3のフォーサーズの方が多少損な気もしないではないが、使ってみると使いやすくて気に入っている。スクエアに近い方が魚眼レンズに向いているのかなという気もする。

 また、魚眼レンズとしては周辺部の流れ方も少なく、描写がしっかりしている。最短撮影距離もレンズ前2cmと短い。結構気に入っているレンズなのだが、被写体的には都心部の方が魚眼向き被写体が多かったかなという気はする。路上スナップに使うのであれば、郊外のゆったりした通りよりも、都心のごちゃごちゃした狭い路地の方が活躍するだろう。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


ED 8mm F3.5 Fisheye / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 8mm
ED 8mm F3.5 Fisheye / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO800 / WB:晴れ / 8mm

ED 8mm F3.5 Fisheye / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 8mm
ED 8mm F3.5 Fisheye / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 8mm

ED 8mm F3.5 Fisheye / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F11 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 8mm
ED 8mm F3.5 Fisheye / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F10 / 0EV / ISO400 / WB:晴れ / 8mm

ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 40mm ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 40mm

ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F5.5 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 137mm
ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 150mm




E-410に似合うレンズを探せ(第8回)

――オリンパス「OM 28mm F3.5」――



 E-410は極めて小さくおしゃれなカメラなのに、似合う単焦点レンズが無いので、その魅力が活かしきれない。では、マウントアダプターが豊富なフォーサーズを活用して、何か似合うレンズは無いものか。ということで探し始めたこのコーナー。最終回は、最も平凡ともいえる「OM-System G.Zuiko Auto-W 28mm F3.5」をつけてみた。

 28mmをフォーサーズで使うと、画角は焦点距離にして2倍の56mm相当。50mmを超えるので長いよな、と思いがちだが、50mm F1.4が標準レンズの地位を固めたのは、それほど古い話ではない。少し前までは、55mm F1.8とか、58mm F1.4であるとか、57mmや52mmなど、さまざまな焦点距離が標準レンズとして使われていた時期もある。そう思えば、「56mm F3.5で最短撮影距離30cmの準マクロレンズを標準にしよう」と考えても、そう違和感は無いだろう。

 F3.5と無理がないので写りもよい。被写界深度もあるからMFでも比較的安心してピントが合わせられる。おまけに流通価格も手ごろである。ちょうどE-410とE-510のキャンペーンとして、OMアダプターのプレゼントも始まっている。この機会にオールドレンズも使ってみたいという人には、入門編としていかがだろうか。

 OMの28mmなら28mm F2が良いとそそられはするが、逆にさりげなくF3.5のレンズをつけているのも、通っぽくて、むしろおしゃれですらある。


OM 28mm F3.5 / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 28mm
OM 28mm F3.5 / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 28mm

OM 28mm F3.5 / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 28mm
OM 28mm F3.5 / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 28mm

OM 28mm F3.5 / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 28mm
OM 28mm F3.5 / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 28mm

OM 28mm F3.5 / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 28mm
OM 28mm F3.5 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 28mm




まとめに代えて

 最終回ということで、E-410について筆者が現在感じていることを率直に記そうと思う。お付き合いいただきたい。

・やはり手ブレ補正機構が欲しい


手ブレ補正機構を搭載したE-510。29日発売
 E-410の魅力は何かといえば、やはり小型軽量につきる。現役ビジネスマンをリタイアされたベテランカメラマンの方々には、コンパクト機の高倍率ズームが人気である。その最大の理由は軽いというところにあるようだ。E-410には手ブレ補正がないのが残念だが、ED 14-42mm F3.5-5.6とED 50mm F2 Macroあたりの組み合わせで使う分には、軽快さに加えて、コンパクトとは比較にならない画質の良さが得られる。

 もちろん女性カメラマンにも、この小ささは魅力的なはず。手の小さい女性にはちょうど良い大きさかもしれない。登山やハイキング、旅行、そして犬の散歩にも、E-410はベストな小型軽量機ということができよう。「ボディに重量がある方がバランスが取れる」という人もいるが、レンズ側でホールドすれば、総重量が軽いに越したことは無いというのが筆者の考えである。

 さらにこのボディに何を望むかと考えれば、E-510に搭載された手ブレ補正機構ではないだろうか。次期E-420(?)には、ぜひ手ブレ補正を搭載してもらいたい。画素数、多点AF、連写速度などは上位機種に望み、このシリーズは小型軽量路線を追及してほしい。ただ手ブレ補正は必要である。

 F2.8の単焦点レンズとのセットならまだしも、現在のオリンパスはF5.6のズームとセットにして販売している。F5.6のレンズとのセットなら手ブレ補正はきわめて重要であり、次の機種では多少大きくなったとしても、手ブレ補正付きにしてほしいと思う。


・写りはいいけど……

 本レポートを含めて、さまざまな媒体でE-410とE-510の仕事をさせていただいた。そのため個人的な使用で使う以上の頻度で、ここ数カ月間ED 14-42mm F3.5-5.6とED 40-150mm F4-5.6を多用している。

 描写そのものにはおおむね満足しているのだが、頻繁に使ってみて感じたのは、「ひ弱なレンズだなぁ」ということ。まずマウント部がプラスチックマウントで、リアキャップのロックがゆるい。カメラバッグの中から出したり入れたりすると、なんとも不安定である。

 またフードの取り付け部も今ひとつだ。すれてくるというか、しまりが悪くなってきた。実用上問題がおきるところまでは行かないが、あまり心地よくないしまり具合になってきている。描写力は値段を超えて優秀であるが、使い心地は値段なりである。


ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F3.5-4.5

・ライブビューの使いこなしポイント

 E-410、E-510とも、ライブビュー機能はほとんど使用していない。どうしてもE-330と比べると、使い勝手も悪くアングルの自由度も低い。そのため、あえて使う気がしないのだ。

 ただ、ライブビューがない機種と比べれば、時に役に立つこともある。覚えておきたいのはAE/AFロックボタンである。ライブビュー時にこのボタンを押すことで、AFが働いてフォーカスロックをかけられる。これでライブビューでも構図の自由度が高まって、使い勝手が向上するのだ。ぜひ覚えておいて活用したい。


・レンズシステムについて

 筆者なりにEシステムによるおすすめのレンズ構成を考えてみた。まず広角側はED 8mm F3.5 Fisheye。ついで11-22mm F2.8-3.5、Summilux 25mm F1.4。ED 50mm F2 Macroの4本で、ここまではすんなり決まる。

 本当はこの上に85mmや100mmの単焦点レンズがほしいところなのだが、残念ながら適当なレンズが無い。シグマの105mm F2.8 Macroくらいである。11-22mmも良いけれど、暗くなってくるともっと明るいレンズがほしいわけで、14mm F2くらいのレンズがあればもっと良いのだろうなと、残念である。

 確かに単焦点レンズが売れないということはわかる。何万本も売れる時代ではない。しかし、30万円するED 35-100mm F2の代わりに、重さと価格が半分の100mm F2の単焦点を作ったとすれば、結果はどうだろう。果たして単焦点は売れないという議論がなりつただろうか。

 ダストリダクションを活かす単焦点、明るいレンズが作れるフォーサーズ、素子が小さくて増感に不利のあるフォーサーズをカバーする単焦点レンズの充実。新規ユーザーだけではなく、他社ユーザーに買い替え・買い増しをしてもらえる特徴あるボディなどが、Eシステム第二章の大きなポイントであるだろう。期待を込めて、いったん筆をおく。






URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報(E-410)
  http://olympus-esystem.jp/products/e410/
  製品情報(ED 8mm F3.5 Fisheye)
  http://olympus-esystem.jp/products/lens/8_35F/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(E-410)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm#e_410
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(E-410)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#e410


( 安孫子 卓郎 )
2007/06/27 00:48
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