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オリンパス E-410【第5回】
武蔵小金井から国立へ――高感度ノイズ編

Reported by 安孫子 卓郎


装着レンズはLeica D Summilux 25mm F1.4
 前回ホールドの話で、グリップがなくても平気だと書いたが、雨の日は別だと気づいた。撮り方にもよるが、左手で傘を差して撮影していると、重みはひたすら右手にかかる。首からぶら提げていると雨にぬれるので、常時右手で持つからかなり握力が必要になる。傘を差しながら撮影する場合は、しっかりしたグリップがある方が、楽に撮影ができそうだ。

 さて今回は、武蔵小金井を出て国分寺、西国分寺、国立へと向かう。もともと国立という名は、国分寺と立川の間にあるから国立と名がついた。その後、武蔵野線開通にあわせて西国分寺駅ができたので、それに習えば西立か、西国立になりそうなものだが、相変わらず国立である。東京近辺の方はご存知だと思うが、「くにたち」と読む。「こくりつ」ではない。ここに昔「国立音楽大学」があったが、現在は立川市の北部、玉川上水駅近くに移転している。名前は「くにたちおんがくだいがく」である。都立大学は移転したが、駅の名前は「都立大学駅」。向ヶ丘遊園が閉園しても「向ヶ丘遊園駅」の、逆パターンというわけだ。

 学校つながりで武蔵小金井からは線路の北側を歩く。狙いは国分寺に移転してきた早稲田実業をみること。ご存知、ハンカチ王子こと斎藤佑樹選手でブームになった学校だ。ここも2001年に移転してきた学校であるが、国分寺実業に変更されることなく、変わらず早稲田実業である。ここから国分寺駅に続く通りは「大学通り」という。昨年夏のハンカチ王子ブームのときは、「早実通り」に変更しようという話もあったそうだ。ハンカチ王子も、その後半年で卒業してしまったわけだから、変更しなくて正解だろう。ハンカチ王子が1年生だったら、ひょっとするとこの通りの名前も変わっていたのかもしれないという、名前にまつわるいくつかのお話。

 ところで今回は、E-410の高感度撮影をテストする目的もあって、夕方出発して暗くなる時間帯を選んで歩いてみた。この長期レポートでは「気軽に持ち歩く撮影」というコンセプトがあるので、三脚はなし。ISO1600に増感し、明るいレンズで補おうということで、「Leica D Summilux 25mm F1.4 ASPH.」で撮影した。

 まず画質について書くと、E-410の増感時画質はかなり改善されており、実用的な目的においては、問題のない画質だと思われる。「実用的な目的」というのは、「ISO1600が必要となる暗い場面で撮影し、Web用に縮小して鑑賞する、もしくはA4サイズに印刷する」ことを想定している。もちろん100人十色で、すべてのニーズをカバーしているわけではなく、晴天日中でも増感したい人もいれば、等倍で鑑賞したい人もいるだろう。「速いシャッタースピードがほしいから増感し、シャッターチャンス優先で撮影するからトリミングする」ようなスポーツの撮影でも問題は起きるかもしれない。しかしまあ、E-410というカメラの位置づけを考えれば、上記のような設定で画質判断をしても、8割、9割のユーザーニーズはカバーしていると考えての、「十分な画質」という判断である。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランスを表します。


ノイズリダクションOFF
D Summilux 25mm F1.4 / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F1.4 / 0EV / ISO1600 / WB:晴れ
ノイズリダクションOFF
D Summilux 25mm F1.4 / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F1.4 / 0EV / ISO1600 / WB:晴れ

ノイズリダクションOFF
D Summilux 25mm F1.4 / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F1.4 / 0EV / ISO1600 / WB:晴れ
ノイズリダクション標準
D Summilux 25mm F1.4 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F1.4 / 0EV / ISO1600 / WB:晴れ

ノイズリダクション強
D Summilux 25mm F1.4 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F1.4 / 0EV / ISO1600 / WB:晴れ
ノイズリダクション標準
D Summilux 25mm F1.4 / 3,648×2,736 / 1/1,250秒 / F1.4 / 0EV / ISO1600 / WB:晴れ

 実際にノイズリダクションをOFFにした場合と、強にして撮影した画像で、A4サイズでプリントして肉眼鑑賞距離で見比べてみると、特別な差異は感じられない。確かにオフにするとノイズが多いのかな、という気もしないでもないが、1,000万画素もあるので、ディスプレイでは透過光だから輝点として光って見えても、印刷すると反射光だからノイズも見えなくなってしまう。逆にノイズリダクションを強に設定していると、解像感は多少損なわれるが、1,000万画素もあるから印刷密度が高くなり、解像感も十分出る。ちなみにA3ノビを想定して、390万画素ほどにトリミングしてプリントしてみたが、確かにノイズは目立つようにはなるものの、A3ノビの鑑賞距離を持って自然に見る分には、問題の無い程度である。もともとがA4印刷に1000万画素はオーバースペック気味なので、多少トリミングしても差し支えは少ないだろう。

 次に撮影の方だが、オリンパスのデジタル一眼レフカメラは、暗いところでのAFが苦手である。今回撮影してみて、多少改善されているのかなという気もしないではないが、レンズが明るいことに助けられている部分も多そうだ。F2.8のレンズとF1.4のレンズでは、入ってくる光の量が2段違うので、センサー感度も2段分救われることになる。その意味でも、25mm F1.4は、オリンパスの弱点をだいぶ助けてくれるレンズだと改めて感じた。

 手持ち撮影なので、光のある部分を選んでAFしていたこともあるとは思うが、今までのオリンパス機より良くなっている印象は受けた。ただし撮ってみると、AFが外れていることもある。明るいところでのAF精度は高いオリンパスだが、さすがに夜、被写界深度も浅いF1.4のレンズとなると、外す部分も見られたので、実際に使用する場合はAFをやり直しながら何枚も撮影しておく必要があるだろう。もっともこうした条件だと、どのメーカーの機種でもシャッター1回でOKとは行かない。


ノイズリダクション弱
D Summilux 25mm F1.4 / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F1.4 / 0EV / ISO1600 / WB:晴れ
ノイズリダクションOFF
D Summilux 25mm F1.4 / 3,648×2,736 / 1/2,000秒 / F1.4 / 0EV / ISO1600 / WB:晴れ

ノイズリダクション強
D Summilux 25mm F1.4 / 3,648×2,736 / 1/1,250秒 / F1.4 / 0EV / ISO1600 / WB:晴れ
ノイズリダクション強
D Summilux 25mm F1.4 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F1.4 / 0EV / ISO1600 / WB:晴れ




E-410に似合うレンズを探せ(その5)

――ペンタックス「smc Pentax-M 85mm F2」――



 「標準レンズ」というと「50mm」のイメージがあるが、標準レンズという考え方ができた当時はレンジファインダーの時代で、望遠レンズはピントの精度に問題があった。広角レンズは技術的問題が解決されておらず、一番作りやすいのが50mmくらいだったという時代背景がある。望遠でも広角でも自由自在という今日であれば、焦点距離にこだわらず、標準レンズとは「自分にとって使いやすい、常用するレンズ」という解釈をする方が馴染むのではないだろうか。

 今まで24mm、20mm、45mm、50mmととり上げてきたので、今回はさらに望遠で85mm F2というスペックを選んでみた。筆者が所有しているのはペンタックスとオリンパスとニコンだが、Nikkor 85mm F2は以前の連載の中でとり上げたことがあり、オリンパスは別に紹介しようと思っているレンズがあるので、今回はsmc Pentax-M 85mm F2とした。

 ペンタックスのレンズのうち、TakumarとつくレンズはM42のスクリューマウントで、Pentaxと名前がついているのはKのバヨネットマウントである(例外的に、M42からKへの過渡期においてTakumarブランドのKマウントレンズも存在した)。筆者の持っている範囲のNikkor、Zuiko、Pentaxレンズを全体として比較すると、ニコンはかっちり写って硬い印象、オリンパスはそこまで硬くないもののしっかり写るタイプで、ペンタックスはやわらかい(悪いという意味ではない)印象を受ける。そのためペンタックスは、花の撮影などには好まれて、多くの愛用者がいたわけだ。

 かっちり写るタイプのNikkorやZuikoにおいても、85mm F2というレンズは「ポートレート用」という位置づけから、軟らかくい独自の描写を持っている。ペンタックスも同じように考えて85mm F2を作ったのだと思われるが、もともとが軟らかめペンタックスで、さらにデジタルで使用しているため、一段と軟らかくなる。ただこれも好みの問題で、「効果の弱いソフトレンズ」という気持ちで使うとよさそうだ。

 オールドレンズはレンズの味を生かして被写体を選ぶことがポイントになる。同じ描写をするレンズが何本もあってもつまらないので、個性的なレンズで、花や女性ポートレートなど似合う被写体を選べば、愛すべきレンズとなるはずだ。85mmはオリンパスで使うと170mm F2相当でこの小ささである。どのメーカーを選ぶかは別にして、いずれか一本は、持っていてもよいと思う85mm F2である。


smc Pentax-M 85mm F2 / 3,648×2,736 / 1/2,000秒 / F2 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ
smc Pentax-M 85mm F2 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F2 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ

smc Pentax-M 85mm F2 / 3,648×2,736 / 1/1,000秒 / F2 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ smc Pentax-M 85mm F2 / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F2 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ

smc Pentax-M 85mm F2 / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F2 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ
smc Pentax-M 85mm F2 / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F2 / 0EV / ISO400 / WB:晴れ


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-esystem.jp/products/e410/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(E-410)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm#e_410
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(E-410)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#e410


( 安孫子 卓郎 )
2007/06/06 02:10
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