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リコー Caplio GX100【第2回】
一期一会だから

Reported by ケニー・オブライエン


 GX100をオンラインショップのかごに入れさせたのは、GR DIGITALで撮った、悔いが残る2枚の写真だった。GR DIGITALが悪いのではない。私の撮りかたが悪かっただけだ。だが旅は一期一会である。GX100ならこの2枚も悔いが残らないレベルで撮れたはずなのだ。

 最初の1枚は、ほとんど望遠を使わない私でも、中望遠が必要になったシーンでのものだ。高さがある台座に載った像を撮るときは、像に寄ることができないので、広角単焦点ではきびしい。GR DIGITALにはデジタルズーム機能があるではないかといわれても、私はあれの写りが好きではないのだ。

 私は旧ソ連に行くことが多い。そしてあちこちでレーニン像に出会う。ソ連崩壊後もレーニン像は残されているのだ。しかしスターリンの像が現存するのは、私が撮ったものだけだといわれている。私が生まれるかなり前に、たくさんあったはずのスターリン像は、生地を除いてすべて撤去されたらしい。

 それだけめずらしいものなので、もう少し寄って撮りたかった。状況説明的なものを載せたが、28mmでは像のみを撮るのは無理だった。

 もう1枚の失敗は、GX100のEVFが魅力的に見えた原因となったものだ。アルメニアのエチミアジンで、真ん中の母親にせがまれて撮ったものだ。右の息子の靴先が切れてしまった。きちんと液晶モニターでフレーミングして撮ったつもりだが、レリーズボタンを押す瞬間にカメラを少しだけ動かしてしまったのだろう。天気が中途半端な晴れで、液晶モニターが見づらかったこともある。EVFで見続けながら撮れば、この失敗はなかったはずだ。失敗に気づいたのは、エチミアジンを数時間歩きまわって、オープンカフェでビールを飲んでいる最中だった。けっこう気に入っている写真なので、かなり悔しい。


※GR DIGITALで撮影
本名イオシフ・ヴィサリオノヴィッチ・ジュガシヴィリ。最もソ連らしい被写体のひとつだろう
Gori, Republic of Georgia
※GR DIGITALで撮影
カフカス地方では、写真を撮ってくれと、ときどきいわれた。そしてその写真を送ってくれといわれることはない。撮られるのが好きなのだろうか
Echmiadzin, Republic of Armenia

EVFの表示 こちらは液晶モニターの表示。液晶モニター同様にEVFも視野率100%なのが魅力

 さて、ニュー・イングランドでGX100を試しはじめた話に戻ろう。私は可能なかぎり最低感度のISO80にし、ファインの3,648×2,736ピクセル、絞り優先AE(Aモード)で撮っている。2,736×2,736ピクセルのスクェアモードでは、ある日にまとめて撮った。5月2日に最初のファームアップが実施されたが、私はアメリカにいて、しかもパソコンを持っていかなかった。そのためアメリカでの撮影は、すべて4月20日現在のファームウェアだ。

 GX100では、最低感度がISO80だ。GR DIGITALのISO64より持ち上げられている。私が人生で最初に使ったカラーフィルムはコダカラーだった。当時は単位が「ASA」で、コダカラーは80だった。フジカラーやサクラカラーといった日本製がASA100だったので、親がくれたフィルムとはいえ、幼かった私には「数字」が小さくて劣る感じに思えた。80という感度で撮るのはそれ以来だ。

 ろくに取り扱い説明書を読まずに使い始めたGX100だが、GR DIGITALと操作系がほぼ同じということで、自分の慣れを過信した失敗を招くことになる。説明書は機中で読もうと思っていたら、ほとんど寝てしまった。乗り継いだワシントンD.C.のダレス空港は国際線からの保安検査場が貧弱で大混雑し、抜け出したころには私が乗るボストンゆきのファイナル・コールが流れていた。あわただしかったので取り扱い説明書のことはすっかり忘れ、ボストン・ローガン空港からレンタカーで初日の宿泊地であるロード・アイランド州プロヴィデンスに向かってしまった。

 GX100の操作で3回に1回やってしまうのは、絞り調節の逆操作だ。私はキヤノンFDレンズやライカレンズを使ってきたので、自分側から見て絞りリングの時計回りで絞りが開くと身体が学習してしまっている。GR DIGITALではこの回転方向で大丈夫だった。その後ファームアップで逆回転が追加されたが、私は最初の設定のままだ。なのでGX100でも初期設定ではGR DIGITALかと思いきや、時計回りで絞られていくのだ。逆設定は、ない。

 デジカメWatchのインタビューによると、今後ファームアップで機能拡張していく予定はないということで、とても残念に思う。

【お詫びと訂正】記事初出時、ADJ.レバーに登録した機能の確定にレリーズボタン半押しが使えないとの記述がありましたが、設定により使えるようになります。お詫びして訂正させていただきます。


鏡胴を収納した状態だと、前玉がここまで来る。よく触ってしまうので、レンズクリーナーが必携となった
ボタンがGR DIGITALと比べてほんの少しせり出しているので、操作性がいい

1/133秒 / F7.2 / -0.3EV / 5.1mm
「Photo at Big Pink」。調べた住所だけではたどり着けなかった。伝説のウッドストックには近い
Saugerties, New York
※すべて記録画素数は3,648×2,736ピクセル、AWB、ISO80、絞り優先AEで撮影しています。
※サムネール下のデータはシャッター速度/絞り/露出補正値/実焦点距離です。
※サムネールをクリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。


 再生状態で少し拡大し、さらにOKボタンを押すと、最大まで拡大表示ができるのは、GR DIGITALと同じだ、と思っていた。発売直後にAFが不安定だといううわさが流れたせいか、私が買った機種もそうなのかと少し不安があった。旅の直前は忙しかったので、ほとんど試し撮りができなかったのだ。そしてその現象が出たと勘違いしたのが、「Big Pink」での撮影だった。

 この作例が撮りたくて、CDをわざわざ持っていったのだ。The Bandが1966年に出したアルバム「Music From Big Pink」のジャケット裏に写っている家。ジャケットの表側は、ボブ・ディランが描いた絵だ。今回の旅の計画をたてるために、いろいろなものを読んでいたら、ニュー・イングランドからは少しだけはずれるが、寄れないこともないと思って、マンハッタンから車で2時間ほどの「Big Pink」に行ってみた。

 24mmで、ジャケットを入れつつ家を遠景にし、パンフォーカスにする。撮って拡大表示で確認する。あまり長居したくないので、すばやく撮ってすばやく確認する。ちょっとフォーカスが甘いのか? と思ったのは、私の大きな勘違いだった。よく見ると、「16X」と表示されているではないか。GR DIGITALではこの操作で一気に8倍まで拡大されるのだが、GX100では16倍なのだ。

 まぬけな話で終わってしまったが、GR DIGITALを知らずにGX100を買った人にはあまり関係ないことだろう。ボタン類は押しやすく改良されているし、より操作しやすくなっている。画質の話は次回に。


1/270秒 / F4.6 / 0EV / 5.1mm
「建国の父」たちが上陸した場所
Plymouth, Massachusetts
1/97秒 / F4.6 / 0EV / 5.1mm
上陸地点といわれる「プリマス・ロック」。世界三大がっかりポイントは、ブリュッセルの小便小僧、コペンハーゲンの人魚姫、シンガポールのマーライオンといわれる。アメリカの三大がっかりポイントをきめるなら、「プリマス・ロック」は必ず入るだろう
Plymouth, Massachusetts

1/760秒 / F4.4 / 0EV / 15.3mm
波止場の鳩。とっさに撮って、遠景の描写は不満足
Plymouth, Massachusetts
1/570秒 / F6.8 / 0EV / 6mm
「建国の父」たちが乗ってきた「メイフラワー号」。こうやって撮ると、イギリスに帰ってしまいそうだ
Plymouth, Massachusetts

1/350秒 / F6.5 / 0EV / 5.1mm
コネティカット大学(UConn)構内。州立大学の構内はどこも広い。24mmだと肉眼で見た広さよりも誇張できる
Storrs, Connecticut


URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/caplio/gx100/

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( ケニー・オブライエン )
2007/05/24 01:46
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