この連載の末尾にいつもリンクしている伊達淳一氏と北村智史氏によるレビューには、動物園などで撮影した、SP-550UZによるすばらしい動物の作例が掲載されている。
筆者は犬猫を始めとした動物の撮影にさほど興味のあるほうではない。ちょこまかと予測不能で動き回る相手をちゃんと撮るのは面倒だからだ。そんな怠惰な筆者でも、SP-550UZを持つとなんとなく動物を撮ろうという気になる。
最初の作例は、猫撮りに興味の無かった筆者が、SP-550UZのおかげで撮れてしまった1枚。この写真のすごいところは、自宅(マンションの3階)のベランダから、20mほど離れたところにいる猫を、しかも手持ちで撮っていること。筆者はこのときまだパジャマを着ていて、しかも寝ぼけまなこだった。ウルトラズーム+手ブレ補正の本領発揮である。
※作例のリンク先のファイルは撮影した画像です。クリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。
※すべてプログラムAE、オートホワイトバランスで撮影しています。
※作例下の撮影データは、画像解像度/露出時間/絞り/感度/露出補正/実焦点距離を表します。
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3072×2304ピクセル / 1/200秒 / F4.5 / ISO125 / 0EV / 84.24mm
怠惰動物カメラマン開眼(?)の1枚。寝ぼけまなこで望遠端にしてもOK
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広角端で撮った状況説明の1枚。画面中央の青い車の上の猫を撮った。プライバシーに配慮して等倍画像は掲載しない
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3072×2304ピクセル / 1/320秒 / F4.5 / ISO100 / 0EV / 84.24mm
2匹とも目線いただきました。が、向こうのネコがボケてしまったしフレーミングもヘン
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こうなると「俺って動物も撮れるじゃん」と錯覚する。動物園まで行かなくても、通勤途上で動物カメラマンを目指したっていいじゃないか。が、実際にやってみると、眠っている猫やのんびり水面を泳ぐカモならともかく、SP-550UZの起動時間やAF、ズームの速度で、咄嗟のシャッターチャンスを狙うのは難しいと痛感させられることが多い。
そこを補うために思いつくのが、超望遠ズームと並ぶSP-550UZの特長である「連写機能」だ。動作の遅さを、数を撃ってカバーしようという魂胆である。
SP-550UZのファンクションメニューの「ドライブ」の項目を開くと、「単写」以外に「連写」、「高速連写1」、「高速連写2」、「高速連写2+プリキャプチャー」、「AF連写」、「ブラケティング」と、6種類もの連写機能が選べる。どれを選べばいいのかこれだけではよくわからないので、説明書の解説をもとにここで整理しておく。
| 連写速度 | 連写枚数 | 画質 | 備考 |
連写 | 約1.2枚/秒 | 7枚(HQ時) | RAW以外なら可 | 最初の1枚でAF/AEして固定 |
高速連写1 | 約7枚/秒 | 15枚 | 2,048×1,536(SQ1) | 画質重視 |
高速連写2 | 約15枚/秒 | 20枚 | 1,280×960(SQ2) | 連写速度重視 |
高速連写2+プリキャプチャー | 約15枚/秒 | 20枚 | 1,280×960(SQ2) | レリーズ前の5枚とレリーズ後の15枚を記録 |
AF連写 | 状況により変化 | 4枚(SHQ時) | RAW以外なら可 | 1枚毎にAF |
画質と連写性能のトレードオフで、5つの連写モードが用意されているというわけだ。ちなみに「連写」をJPEG最高画質のSHQでやると、4枚まで撮影できた。AF連写でも撮影可能枚数は同じ。
いずれにしろ連写モードでは、シャッターボタンが押されている間は画像をバッファに溜め込んで、バッファがいっぱいになったら一気にメモリまたはメモリカードに書き込むという動作をする。
そのため、バッファを解放している間、連写モードによって異なるが1~5秒間程度はカメラが操作を受け付けない。連写してすぐに次のアクションへ、とはいかないのが難点だ。また、画像確認ができなくなるので、どんな画像が撮れたかがわからないのも不安だ。「高速連写1/2」では、バッファに書き込んでいる間に最後の1枚が表示されているが、気になるのは連写した中に使えるカットがあるかどうかであって、やはり待つ間はちょっとイライラするのだが、このリズムに慣れればどうということはない。
「連写」では1枚撮るごとに一瞬画像が表示され、「高速連写1」では連写中に画像がコマ送り状態になり、「カシャカシャ」と“連写してるっぽい音”がする。「高速連写2」では、ちょっと画面がチラチラするだけになり、音もしないので、動作感がなく、どこまで連写しているのかがわかりにくい。が、これは慣れだ。画面右下隅の、バッファの空きを示すメモリゲージがいっぱになって、赤いメモリアクセスランプが点滅を始めたら、連写終了ということを理解すれば、どこで連写が終わったかわかる。
AFはフルタイム、動態予測もオンにしたが、こちらはやはり甘い。過大な期待は禁物である。
こうして撮ってみると、やはり連写した中にはいいカットがある。とくに動いている動物を連写したものは、単写ではなかなか撮りにくい、躍動感のある写真を得られる。連写のしどころを掴んで、レタッチなどの処理を厭わなければ、面白い画像が容易に手に入りそうだ。
また、高速連写2の15fpsでの連写には、動画とはまた違った「パタパタアニメ」のような面白さがある。動物が止まったままでも、ちょっとしたしぐさを連写して並べてみるのも結構面白いと思う。
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3072×2304ピクセル / 1/250秒 / F4.3 / ISO80 / 0EV / 30.9mm
高速連写1で撮った中から1枚。もうちょっと寄りたかったところだが、ある程度トリミングしてシャープネスをかければ、いい感じになりそうだ
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2048×1536ピクセル / 1/320秒 / F5.6 / ISO400 / 0EV / 21.94mm
高速連写1で撮った中から1枚。集中力がなくて常にキョロキョロしている我が家の駄犬も、連写中には1枚くらい目線をくれたりする
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1280×960ピクセル / 1/1000秒 / F4 / ISO400 / 0EV / 10.26mm
走る犬のリードを持って併走しながら、片手で高速連写2で撮った中から5枚。パタパタアニメ感が楽しい
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コンパクトだからカメラマンも身軽に動けるし、背面液晶を使えば低いアングルもやりやすい。もちろん遠くの動物を引き寄せて撮ることもできるし、広角側では歪曲を利して「鼻デカ」風の写真も楽しめる。SP-550UZのおかげで、動物撮影の面白さに目覚めてしまった。
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3072×2304ピクセル / 1/80秒 / F4.2 / ISO125 / 0EV / 20.61mm
不精して立ったままでもかなり寄れる
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3072×2304ピクセル / 1/80秒 / F3.6 / ISO100 / -1EV / 11.47mm
暗い室内で、無理せずストロボで動きを止めた。場合によっては赤目になることもある
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3072×2304ピクセル / 1/2秒 / F2.8 / ISO400 / 0EV / 4.68mm
広角側を使えば鼻デカ風写真も
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3072×2304ピクセル / 1/80秒 / F3.5 / ISO50 / 0EV / 10.26mm
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3072×2304ピクセル / 1/400秒 / F4.5 / ISO100 / 0EV / 84.24mm
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3072×2304ピクセル / 1/400秒 / F2.8 / ISO50 / 0EV / 4.68mm
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3072×2304ピクセル / 1/100秒 / F4.5 / ISO50 / 0EV / 84.24mm
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3072×2304ピクセル / 1/200秒 / F4.5 / ISO125 / 0EV / 84.24mm
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3072×2304ピクセル / 1/160秒 / F2.8 / ISO50 / 0EV / 4.68mm
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3072×2304ピクセル / 1/640秒 / F4.5 / ISO50 / 0EV / 84.24mm
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■ URL
オリンパス
http://www.olympus.co.jp/jp/
製品情報
http://olympus-imaging.jp/digitalcamera/sp550uz/
■ 関連記事
・ 【伊達淳一のデジタルでいこう!】オリンパス CAMEDIA SP-550UZ(2007/04/05)
・ 【新製品レビュー】オリンパス CAMEDIA SP-550UZ(2007/03/29)
( 本誌:田中 真一郎 )
2007/04/27 01:21
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