パナソニック LUMIX DMC-TZ3【第5回】どこを撮っても絵になるイタリア村

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パナソニック LUMIX DMC-TZ3【第5回】
どこを撮っても絵になるイタリア村

Reported by 奥川浩彦

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　ゴールデンウィーク直前の掲載なので、筆者の地元名古屋の撮影スポットをご紹介しよう。2周年を迎えた名古屋港イタリア村だ。

　イタリア村は、イタリアの街並みを再現し、レストランやショップもイタリアっぽいお店が多数並ぶショッピングモール。水路にはベネチアから輸入したゴンドラ(手漕ぎの舟)が行き来し、映画「ローマの休日」でも有名な「真実の口」があったり、フェラーリグッズのお店があったり、市場には何種類ものパスタやオリーブオイルが売られていたりする。イタリア各地を幕の内弁当に詰めた感じの街となっている。

　先週は天候が不安定で、晴れた日を狙って撮影に出掛けたが、あいにく風が強くゴンドラは運航していなかった。今回は10倍ズームの望遠を活かすシーンは少なかったが、28mmの広角は大いに威力を発揮してくれた。LUMIX DMC-TZ3(以下TZ3)の広角は、28mmの画角の魅力に加えて歪曲収差が極めて少ない。カメラ内で補正して出力していると思われるが、歪みのない画像はやはり気持ちがいい。細い路地に入ってフレーミングをした瞬間の気持ちよさが伝わる感じだ。

　風を避けて建物の陰に入ると、入口のアーチ越しに塔が写せることに気付いた。しゃがみこんで壁にもたれながら撮影した。左側の壁が真っ暗にツブレるかと思い、ストロボをスローシンクロにして露出補正を変更しながら何枚か撮ってみたが、不自然に明るい。PCで確認したらストロボなしの方がバランスよく撮れていた。

　次に、望遠端でのボケを活かした光景を探してみた。街路灯を撮ってみたが、対象がやや大きく遠い。上手く背景をボカすことができなかった。この街路灯の大きさは人の頭くらいだろうか。もう少し小さなモチーフをと思って撮ったのが、ゴンドラを係留するための柱の上に付いている丸い球だ。この球の大きさはこぶしくらいで、マクロモードに設定して撮影した。被写体としてはやや物足りないが、背景はいい感じでボケてくれた。

　10倍ズームの望遠によりボケを活かした撮影をする場合、望遠端の開放F値がF4.9というのは微妙なところだろう。小さな被写体は問題ないが、人物のバストショットの場合は被写体から離れるか、焦点距離を広角側に振るしかないので、背景を綺麗にボカすことは難しそうだ。

　風が強いため水面にはさざ波が立っていた。20年以上前、広告で使われた浅井慎平氏が水面の反射を撮った写真を思い出した。水面全体を肉眼で見ているとあまり感じないが、望遠で切り取ってみると液晶モニターに映る絵は悪くない。風の様子を見ながら、空の青と建物の色が波に反射するタイミングを狙ってみた。

作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算の焦点距離を表します。


イタリア村の入口。マイナス補正で青空を強調。風は強かったが快晴だ 3,072×2,304 / 1/250秒 / F8 / -1EV / ISO100 / WB:オート / 28mm	路地に入り28mmで撮影。歪曲収差が少ないのは気持ちいい 3,072×2,304 / 1/320秒 / F3.3 / -0.33EV / ISO100 / WB:オート / 28mm


空が白トビしないようにマイナス補正して撮影 3,072×2,304 / 1/500秒 / F3.3 / -0.66EV / ISO100 / WB:オート / 28mm	右のモチーフが入るように手を上げて撮影。同じ場所で一眼レフで撮ると、筆者の背が低くてフレームアウトした 3,072×2,304 / 1/200秒 / F3.3 / -0.33EV / ISO100 / WB:オート / 28mm


望遠端で撮れる被写体を探して無理矢理撮影。被写体までの距離が遠く、背景のボケはイマイチ 3,072×2,304 / 1/1,000秒 / F4.9 / -0.33EV / ISO200 / WB:オート / 280mm	こぶし大の被写体を望遠マクロで撮影すれば、背景は綺麗にボケる。人物撮影だと、顔がフレームアウトしそうな距離だ 3,072×2,304 / 1/160秒 / F4.9 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 280mm


風を避けて隠れた建物の入口から塔を撮影。左の壁にストロボを当ててみたが不自然だったので、ストロボなしを選択 3,072×2,304 / 1/1,300秒 / F3.3 / -0.33EV / ISO100 / WB:オート / 28mm	強風によるさざ波を望遠端で切り取る。肉眼で普通に見ているとこうは見えない 3,072×2,304 / 1/160秒 / F4.9 / -0.33EV / ISO100 / WB:オート / 280mm

　翌日は曇りだったが、風がなかったので夜景の撮影に出掛けた。TZ3の手ブレ補正を活かして、ISO感度を上げて露出補正をマイナスに振れば手持ち撮影ができるシーンもあるが、せっかくの景観なので三脚を用意し、シーンモードを夜景にして撮ってみた。夜景モードに設定すると、感度は自動的にISO100に固定され低ノイズな画像になる。

　最初の撮影は隣の立体駐車場の屋上からだ。以前、混雑した際に空いていた駐車スペースが最上階しかなく、その時見つけた撮影ポイントだ。この日は平日の夜だったので1階に車を駐め、1台も駐まっていない屋上へ上がった。下から撮ると高い建造物はハの字になるが、高い所から水平に撮ることで、比較的真っ直ぐに撮影できる。塔の右側には名古屋港ポートビル、左の遠方には名港トリトンが小さく写っている。

　昼間と同じ建物の入口で壁ギリギリに三脚を立てて塔の撮影をしていると、通りがかったおじさんが「全部入ります?」と聞いてきた。どうぞと液晶モニターを見せると「28mmですか?」と鋭い発言が返ってきた。「詳しいですね」と答えると「カメラ屋です」。ということで、しばらく雑談となった。左の壁は室内からの照明で、昼間よりバランスよく写っている。

　風がなかったので、水面はそこそこ鏡面のように景色を反射している。水路は橋のイルミネーションが反射してリングのようになり、遠くの橋までトンネル状になっている。昼間の画像よりいい感じだが、全体が右に傾いているのが残念。前日、強風によるさざ波を撮った場所に立ってみると、建物がシンメトリーに映っていた。今度は望遠でなく、水面の境目を中心にして、上下対称に撮ってみた。景色は刻々と変わる。写真は生き物だと感じる一瞬だ。

　昼間と同じ街路灯を望遠端で撮影してみた。そのまま撮ると街路灯の明かりが強く、露出補正は＋2EVにしても背後の塔は真っ暗だ。三脚をパーンして、街路灯と同じ距離にある壁でフォーカスと露出を合わせ、露出補正は逆に-2EVにしてバランスをとってみた。


誰もいない駐車場の屋上から撮影。塔の右に見えるのは名古屋港ポートビル 3,072×2,304 / 1秒 / F3.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 30mm	昼間と同じ場所で撮影。左の壁は昼間よりバランスよく写っている 3,072×2,304 / 0.6秒 / F3.3 / -0.33EV / ISO100 / WB:オート / 28mm


水面の反射のお陰で水路がトンネル状に。傾きが残念だがレタッチすればと自分に言い訳 3,072×2,304 / 2.5秒 / F4.3 / 0.33EV / ISO100 / WB:オート / 55mm	さざ波を望遠で切り取った画像と同じ場所で撮影。写真と自然の深い関係を感じる 3,072×2,304 / 3.2秒 / F4.3 / 1EV / ISO100 / WB:オート / 55mm

同じ距離の壁でフォーカスと露出調整をしてシャッターボタンを半押しのままパーンして撮影
3,072×2,304 / 1.6秒 / F4.9 / -2EV / ISO100 / WB:オート / 280mm

　昼間は昼間の魅力があり、夜は夜で美しい。昼間はそれほどカメラスペックがなくてもそれなりに撮れるし、三脚があれば夜も美しい写真が容易に撮れるであろう。現在は入場料(入村料)も無料になり、交通費だけで撮影できるのも悪くない。生演奏を聴きながらパスタを食べたり、イタリアブランドの買い物も楽しめる。

　今回はイタリア村にフォーカスして撮影したが、今年は名古屋港開港100周年で、名古屋港水族館も子供料金を割引している。遊園地もありゴールデンウィークにはそれなりの混雑はすると思うが、大人から子どもまで楽しめるスポットなので、近郊の方はもちろん、名古屋に遊びに来る方は是非お立ち寄りいただきたい。


ポートレートモードで撮影。多少ボケが違うかと思ったが、プログラムAEと差はなかった 3,072×2,304 / 1/500秒 / F4.8 / -0.33EV / ISO100 / WB:オート / 170mm(ポートレートモード)	柵から手を伸ばし、できるだけ低いアングルにして広角端で撮影 3,072×2,304 / 1/200秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 28mm

地面すれすれのローアングルで撮影。タイヤがフレームから切れたので、3:2に変更。リヤタイヤの空気が抜けてるのが残念
3,216×2,144 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 28mm


HOTELの文字が西日で壁にシルエットになっていたので、ズームして切り取ってみた 3,072×2,304 / 1/640秒 / F4.8 / -0.33EV / ISO100 / WB:オート / 170mm	左側の建物には、レストランやショップが多数出店している 3,072×2,304 / 1/1,300秒 / F4.1 / -0.66EV / ISO100 / WB:オート / 45mm


手前の花を意識しながら16:9で水路と塔を撮影。白い花びらが露出オーバーに 3,328×1,872 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 28mm	同じ橋から焦点距離を変えて撮影。絵としては夜の方が綺麗か 3,072×2,304 / 0.7秒 / F4.2 / -0.66EV / ISO100 / WB:オート / 48mm


脚立に乗ってもう少し高い位置から撮りたかった 3,072×2,304 / 1.6秒 / F4.7 / 0.66EV / ISO100 / WB:オート / 112mm	街路灯を意識しながら街並みを撮影。オートブラケット機能はこの手の撮影には便利 3,072×2,304 / 0.4秒 / F3.3 / -0.66EV / ISO100 / WB:オート / 28mm


街路灯を意識して撮影 3,072×2,304 / 0.8秒 / F3.9 / -0.66EV / ISO100 / WB:オート / 40mm	左右対称を意識し、入口をすぐ下から撮影 3,072×2,304 / 1/4秒 / F3.3 / 0.33EV / ISO100 / WB:オート / 28mm

■ ＵＲＬ
　パナソニック
　 http://panasonic.co.jp/
　製品情報
　 http://panasonic.jp/dc/tz3/
　名古屋港イタリア村
　 http://www.italiamura.com/
　気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
　 http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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・パナソニック、28mmからの10倍ズームモデル「LUMIX DMC-TZ3」（2007/01/31）

（奥川浩彦）
2007/04/25 19:23

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