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キヤノン PowerShot G7【最終回】
最適な被写体を考える

Reported by 小山 安博


 昨年の10月末にPowerShot G7を購入してからすでに5カ月が経過した。その間、けっこうな枚数の写真を撮ってきた。主に仕事で使っているのだが、日々の記録やプライベートの撮影にも使ってきた。今回はこの長期レポートの最終回ということで、PowerShot G7でこれまで撮った写真を振り返ってみて、どんなシーンに最適なカメラかを考えてみた。


6倍ズームに手ブレ補正、顔検出などが魅力

 筆者の場合、G7を愛用するバッグに常に入れているので、撮りたいと思ったときにスッと取り出せるようになっている。基本的には何も考えずに撮りたいものを切り取るつもりで、プログラムAEを使って撮影する。そのため、G7のようにマニュアル撮影機能が、必ずしも必要であるわけではないのだが、それでもいざというときにマニュアル撮影が可能というのは心強いと思っている。

 それよりも、強力な手ブレ補正と光学6倍という使いやすいズームレンジが気に入っている。前述の通り、筆者はG7を仕事上の取材でよく使っている。通常の取材は、企業のスピーカーが壇上で新製品やサービスを、プレゼンテーションソフトを使いながら説明する、というパターンが多い。このスライド撮影をG7に担当させているのだ。


 G7であれば、前に座る記者の頭の上から手を伸ばしてスライドを撮る場合でも、液晶モニターの視野角が広いのでスライドが見えにくいということがないのがいい。後方の席に座ったときも、光学6倍ズームがあるのでスライドをきちんと撮れる。1/30秒もあればテレ端(35mm判換算で210mm)でも手ブレしない。

 一般的な用途でもハイアングルやローアングルで撮影する場合は多いが、とにかく液晶モニターの視野角の広さは、G7の不満点の「バリアングル液晶モニターの廃止」を補うだけの実力がある。

 ちょっとシャッタースピードが足りないな、と思ったときに、すばやくISO感度を変更できるISO感度ダイヤルもすばらしい。強力な手ブレ補正もあるので極力低感度で撮りたくなるが、それでも被写体ブレしそうな場合は、すぐにISO感度を上げてシャッタースピードを稼げるので、かなり快適に撮影できる。

 顔検出のフェイスキャッチテクノロジーも便利だ。仕事で使っていると、壇上の人物の顔にAFを自動的に合わせてくれるので、ピント合わせが楽だ。企業の提携などでは、両社の代表者が握手をするシーンを撮影することもある。こういう場合は目線をカメラに向けてもらうので、フェイスキャッチテクノロジーで握手をする2人の顔にきちんとAFが合ってくれるのもうれしい。

 普段の生活でもフェイスキャッチテクノロジーは大いに活躍する。人を2~3人一緒に撮る、というシーンはよくあるし、そういうときは、たいてい被写体の人は何らかのポーズを撮る(ピースをしたり)。そういうときに、手にピントがあったりピントが中抜けしたり、というミスがなくなる。中央1点AFにして、AFを顔に合わせてAFロックしてからカメラを動かして構図を決める、というやり方もあるが、顔を検出してくれた方がはるかに楽だ。

 ところで、プライベートの撮影ではG7のマニュアル撮影をすることはほとんどない。特にそのあたりにこだわらない撮影に使用しているからだが、それでもいざというときにマニュアル露出で撮影できる心強さがある。実際、シャッタースピードを遅くしてブレを演出する場合や、適正露出を無視してシャッタースピードを固定したい場合にも便利だ。

 スペックを見るだけだと、G7は万能選手の感がある。実際、使っていて困ることはあまりない。難しい撮影は一眼レフに任せることで使い分けをしているからというのも大きいが、普段の利用であれば確かに万能選手ではある。

※作例のリンク先のファイルは撮影した画像です。クリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。
※作例下の撮影データは、画像サイズ/露出時間/絞り/感度/露出補正値/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


3,648×2,736ピクセル / 1/200秒 / F4 / ISO80 / 0EV / WB:くもり / 7.4mm
3,648×2,736ピクセル / 1/50秒 / F4.8 / ISO80 / 0EV / WB:オート / 44.4mm

3,648×2,736ピクセル / 1/200秒 / F4 / ISO80 / 0EV / WB:くもり / 25mm 3,648×2,736ピクセル / 1/200秒 / F4.8 / ISO80 / +2/3EV / WB:くもり / 44.4mm

3,648×2,736ピクセル / 1/13秒 / F2.8 / ISO200 / 0EV / WB:オート / 9mm
3,648×2,736ピクセル / 1/40秒 / F5 / ISO80 / 0EV / WB:オート / 12.7mm

AFに難点……静物と記念撮影で実力発揮

 もちろん、難点を感じる部分もある。一番それを感じるのがAFスピードだ。GシリーズはもともとあまりAFが高速ではない。被写体がちょっと暗いと合いづらくなるのも難点だ。先ほど、仕事で壇上の人物を撮影するのにフェイスキャッチテクノロジーが便利と書いたばかりだが、プレゼンをする人は(特に日本人は)あまり動かないのでまだしも、動きながら説明する人だととたんにピント合わせが厳しくなってくる。また、細かい被写体を狙ってみると、きちんと合焦ランプが点灯してもピントが合っていない場合もあって、精度に関しても完璧とは言いづらい。

 AFスピードがあまり速くないので、動きの速い被写体をしっかりとらえるのはそれなりに難しい。コンパクトデジカメでデジタル一眼レフ並みのスピードを求めるのは無理があるのかもしれないが、それにしてもほかのコンパクトデジカメではもっと速いものも多い。

 高感度時の画質も、もうひとがんばりといった感じ。ISO800以降の画質がもうちょっと向上すれば、さらに使い勝手が向上しただけに、残念な部分ではある。

 また、35mmスタートというレンズも、やはり気になる部分。確かに仕事で使う分には高倍率が役に立つシーンが多いので、筆者自身は最優先ではないとしても、プライベートだと特に広角を使いたくなるシーンは結構あるものだ。「IXY DIGITAL 900 IS」で28mmの広角レンズが実現できたのだから、G7でもこれが実現していれば、さらにスキのないカメラになっていただろう。

 というわけで、G7が最も実力を発揮するのは、静物をじっくり撮影する場合と記念撮影だと思う。動かない被写体であれば、AFスピードが多少遅くても大して問題にはならない。ポーズを作ってもらうような人物撮影でも、被写体はそんなに動かないし、フェイスキャッチテクノロジーがその実力を遺憾なく発揮してくれるシーンでもある。時間は昼間か、照明がきちんとしているところがいい。動き回る子供や動物を撮影するのはちょっと難しいかなぁ、という印象だ。


マイクロソフトの取材でのスライド撮影例
3,648×2,736ピクセル / 1/60秒 / F3.5 / ISO200 / 0EV / WB:オート / 16.8mm
 ちなみに個人的なことを言わせてもらうと、G7はスライド撮影では完璧に近い仕事をしてくれる。今まで、いくつかコンパクトデジカメを使い、スライド撮影を試してきたが、G7ほどきちんと撮れるカメラは少なかった。これだけが理由ではないが、総じて満足のいくカメラだと思っている。


3,648×2,736ピクセル / 1/500秒 / F3.5 / ISO80 / 0EV / WB:オート / 14.8mm
3,648×2,736ピクセル / 1/100秒 / F4 / ISO80 / +2/3EV / WB:くもり / 16.8mm

3,648×2,736ピクセル / 1/125秒 / F4.8 / ISO80 / 0EV / WB:くもり / 44.4mm
3,648×2,736ピクセル / 1/20秒 / F4 / ISOオート / 0EV / WB:くもり / 7.4mm

3,648×2,736ピクセル / 1/10秒 / F4 / ISO80 / 0EV / WB:くもり / 22mm
3,648×2,736ピクセル / 1/5秒 / F4 / ISO80 / 0EV / WB:くもり / 25mm

3,648×2,736ピクセル / 4秒 / F4 / ISO80 / 0EV / WB:オート / 7.4mm
3,648×2,736ピクセル / 6秒 / F4 / ISO80 / 0EV / WB:くもり / 7.4mm

3,648×2,736ピクセル / 1/20秒 / F2.8 / ISO高感度オート / 0EV / WB:電球 / 7.4mm


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/powershot/g7/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 小山 安博 )
2007/04/02 14:21
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