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ニコン D40【第6回】
サブ機としてのD40

Reported by 本誌:田中 真一郎


 小型軽量でお気軽がウリのD40だが、まがりなりにもD200、D80らニコンデジタル一眼シリーズと(ほぼ)同じマウントを持つレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ。兄貴分たちのサブ機にしたら便利そうだ。というわけで、今回はD200やD80とともに、サブ機としてのD40を考えてみる。D2Xも交えたかったのだが、機材が間に合わなかったので今回は除外している。

 ボディのつくりも機能も兄貴分たちとはまったく違うD40ゆえ、操作感には大きな違いがあるのではないかと心配していたのだけど、これは杞憂であった。たしかにD200とはまったく操作体系が異なるし、わりと似ているD80ともモードダイヤルやボタンの配置が異なる。


左からD80、D40、D200。3者3様の操作系
 しかし、頻繁に扱う再生ボタンやマルチセレクターなどの操作や配置はほぼ同じだ。メニューも設定項目の数こそ違え、操作ロジックは一緒。比較したのが2日程度の短い時間だったせいもあるかもしれないが、筆者はあまり違いが気にならなかった。違和感を感じたのはメディアの取り出し方や、セルフタイマーのセットの仕方の違いくらいか。

 問題になるのは絵のほうだ。センサーも画像処理も違うから、D40、D80、D200でまったく同じ絵が生成されるということはありえないのだけど、それでも色やシャープネスはなるべく揃えられたほうがうれしい。

 D40、D80、D200は、「仕上がり設定」メニューでユーザーが絵作りをコントロールできるようになっている。いずれの機種でも仕上がり設定には「標準」、「ソフトに」、「鮮やかに」、「より鮮やかに」、「ポートレート」、「白黒」というプリセットが用意されていて、さらにユーザーが好みのシャープネスや彩度などを設定できる「カスタマイズ」もある。

 そこで、まず仕上がり設定の「標準」を比べてみることにした。作例はすべて、AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-70mm F3.5-4.5 G (IF)を使用。絞り優先AE / F8 / ホワイトバランス:晴天 / 焦点距離70mmに設定し、ISO感度はD40が200、D80とD200が100となっている。

※作例のリンク先は撮影した画像です。等倍の画像を別ウィンドウで開きます。


D40
D80
D200

 ご覧のように、てんでバラバラな絵が出てきた。とくに目立つのが色調の違い。D40は全般に彩度が高く派手目で、黄色味がかかる傾向があるようだ。D80も似ているが、黄色味がかるようなことはない。D200は彩度、コントラストともに低く、D40やD80に比べて地味な印象の絵だ。

 Nikon View 6やPicture ProjectなどのソフトウェアでExif情報を眺めてみると、まず「カラー設定」という項目に気が付く。これがD40では「モードIIIa」、D80では「モードIa」、D200では「モードI」となっている。

 モードIやIaは自然な色合いを、モードIIIやIIIaは色を鮮やかに再現する、ということになっているから、D40はぱっと見でもわかりやすい、ちょっと派手な絵を作り出す設定になっているようだ。

 また「標準」では、「彩度」、「階調補正」、「輪郭強調」が「オート」に設定されるため、機種ごとに違うパラメータが適用されている可能性が高い。

 そこで、今度は「カスタマイズ」で、階調補正をノーマルに、彩度と輪郭強調を標準に、色合い調整を0に統一した。カラー設定も統一を、と思ったら、D200はモードI、モードIIIから選べるのに対し、D40/D80ではモードIa、モードIIIaとなっている。aの有無が気になるが、とりあえずD200をモードI、D40とD80をモードIaにして撮影したのが次だ。


D40
D80 D200

 D40の黄色味がかる傾向は変わらないし、D200はやはりD40やD80よりも地味だ。うーむ。上記の場所ではここまでやって時間切れだったので、別な場所でD200をモードIIIに、D40とD80をモードIaにして簡易テストしてみたのだが(簡易なので作例なし)、D200が地味な傾向は変わらない。白黒モードでもまったく違った絵になってしまう。


D40 D80 D200

 短時間での簡単なテストでは、すべての設定の組み合わせを試すことができなかったが、総じてD200が地味な絵を作り出していて、D80やD40と色調が揃うような組み合わせは見つけ出せなかった。

 これを統一しようと思ったら、RAWで撮影して現像時に色を合わせるような処理をするとか、JPEGでもレタッチ作業が必要になるようだ。絵作りの統一はハナからあきらめるか、後処理に時間をかけるしかないということか。

 こうなるとキヤノンのピクチャースタイルのように、異機種間でも色の統一を図りやすい仕組みがうらやましくなる。先に書いたように、センサーも画像処理もコンセプトも違う製品同士が、まったく同じ絵を作り出すということはありえないだろうし、D40が上級機のサブになるようなことは想定されていないのだろう。それでも、同じ会社の製品同士なのだから、もうすこし似た調子で揃えられるといいなと思うのだ。

 さて、作例は東京の神楽坂。メインストリートから1本入ると、入り組んだ石畳の路地に料理屋がひっそりと並ぶ……と書こうと思っていたら、ドラマの舞台になったせいなのか、平日の昼間から観光客らしき人がたくさん路地を歩いているのであった。そういえばメインストリートでは、そこかしこのスピーカーからドラマのテーマソングが繰り返し流れていた。なお、レンズ名がExifに記録されていない作例があるが、ご想像通り、これはマニュアルフォーカスレンズで撮影したものだ。その正体は次週に。

※作例のリンク先は撮影した画像です。等倍の画像(3,008×2,000ピクセル)を別ウィンドウで開きます。
※すべて、D40で、JPEG・FINE / ISO200で撮影しています。
※画像下のデータは露出モード / 絞り / シャッター速度 / 露出補正値 / ホワイトバランス / 実焦点距離 / レンズ名です。
※レンズ名の「18-70mm」はAF-S DX Zoom Nikkor ED 18-70mm F3.5-4.5 G (IF)、「18-55mm」はAF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6 G IIです。


マニュアル / -- / 1/500秒 / 0EV / オート / -- / -- マニュアル / -- / 1/500秒 / 0EV / オート / -- / --

絞り優先AE / F5.6 / 1/80秒 / -1EV / オート / 24mm / 18-70mm
絞り優先AE / F5.6 / 1/250秒 / -1EV / オート / 18mm / 18-70mm

マニュアル / -- / 1/1,000秒 / 0.33EV / オート / -- / --
絞り優先AE / F5.6 / 1/100秒 / 0EV / 晴天 / 19mm / 18-55mm

絞り優先AE / F5.6 / 1/250秒 / 0EV / 晴天 / 18mm / 18-55mm


URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d40/
  ニコンD40関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2006/12/05/5182.html


( 本誌:田中 真一郎 )
2007/01/31 20:45
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