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パナソニック LUMIX DMC-L1【最終回】
テレコンとマグニファイヤーを試す

Reported by 中村 文夫


E-330(左奥)とDMC-L1(右奥)。手前左はマグニファイアーアイカップのME-1、右はテレコンバーターEC-14(右)
 今のところ、ライカDレンズ(Leica D Vario-Elmarit 14-50mm F2.8-3.5 ASPH.)はDMC-L1とセット販売されているだけだ。そのためレンズとボディを単体で購入することは不可能。いずれ単品でも出荷される予定だが、まだパナソニックから正式発表はない。そうこういっているうちに、ライカからDMC-L1をベースにしたと見られる「デジルックス3」が発表になった。だが、こちらもレンズとボディはセット販売。いったいライカDレンズの単体販売は、いつ始まるのだろう。

 そこで最終回となる今回は、一日も早く単体販売が始まることを願って(笑)、ライカDレンズをオリンパス「E-330」に組み合わせてみることにした。さらに、DMC-L1で利用できるアクセサリーとして、オリンパス製テレコンバーター「EC-14」、マグニファイアーアイカップ「ME-1」もテストしてみた。


ライカDレンズ+オリンパスE-330


 ライカDレンズをE-330に装着した場合、ライカDレンズにある絞りリングは、いったいどうなるのか。実は、これが一番気になっていた。だが私の期待は見事に裏切られた。E-330は、絞りリングの存在を完全に無視してしまう。絞りリングをA位置から外してもE-330は全く反応せず、あくまでも、絞りリングのないレンズと同じ扱いになる。せっかくライカDレンズを組み合わせても、他のフォーサーズレンズと同じように、ボディ側の電子ダイヤルで絞りを変更することになる。

 絞りリングが使えないにも関わらず、ライカDレンズを装着したときのE-330の操作性は非常に良い。というのは、E-330の場合、マウントの下部が傾斜しているので絞りリング周辺に余裕ができ、絞りリングの操作がしやすいのだ。もちろん絞りリングを操作しても何も起こらないが、ライカはE-330用にライカDレンズをデザインしたのではないかと思えるほど手にフィットする。レンズの単体売りが始まるまでに、何とかファームウェアのバージョンアップで絞りリングが使えるようにできないものか。


ライカDレンズをE-330に装着した状態 どの位置に絞りリングがあってもE-330は完全に無視。常にA位置にあるもののと認識する

E-330のボディはマウントの下部が斜めにカットされているので、絞りリングの操作がしやすい。だがリングを回しても何も起こらない

●DMC-L1とE-330の比較

 せっかくDMC-L1とE-330が揃ったので、ライカDレンズを使って撮影画像を比較してみた。画像データを見れば分かる通り、両機種とも仕上がりの傾向は良く似ているが、どちらかというとうE-330の方が発色が派手めで、シャープさも少し強調されている。やはりDMC-L1とE-330では、ユーザー層に合わせてチューニングが変えてあるようだ。

  • 作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
  • 一部の作例については、作例データの一部項目を別の行で強調表示しています。


DMC-L1で撮影
3,136×2,352 / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 14mm
E-330で撮影
3,136×2,352 / 1/50秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 14mm

テレコンバーターEC-14を使う

テレコンバーターEC-14。マスターレンズとボディの間に取り付け焦点距離を1.4倍にするコンバージョンレンズ。F値は1段暗くなる
 撮影用レンズとボディの間に取り付けるリアコンバーターは、画面の中心部を拡大することでレンズの焦点距離を伸ばす仕組みになっている。マスターレンズ側に欠点があると、それも拡大してしまうので、高性能レンズに組み合わせないと高画質が得られない。当然、ディストーションも残るので、どちらかという望遠系の単焦点レンズ向きだ。したがってライカDレンズとの組み合わせは、ベストの組み合わせとは言い難い。

 だが、パナソニックのホームページに掲載されている動作確認表を見ると、EC-14の欄には○印が付いている。それに将来パナソニックが絞りリング付きの望遠レンズを発売したときに、使えるかどうかを確かめる意味で、検証を行なうことにした。

 当然のことだが、テレコンバーターを組み合わせても、ライカDレンズの絞りリングは何の問題もなく使うことができた。この場合のF値表示は合成F値を表示。つまり絞りリングをF4に合わせると1段暗いF5.6の表示が出る。さらにExifの焦点距離表示にも、合成した焦点距離が表示される。しかしテレコンバーターを使用したという表示は出ないので、焦点距離やF値の数字から類推するしかない。また手ブレ補正機能も正常に作動する。

 広角側と望遠側で撮り比べをしてみたが、広角側では、やはりシャープさが損なわれるようだ。これに対し望遠側は画質の低下が少なくて済む。またテレコンバーターは、画質の低下を避けるため、開放より1~2段絞りを絞って使うのがセオリーだが、このレンズの場合、絞りの変化による差は、それほど顕著に現れなかった。さらにF16以上に絞ると回折現象のため画質の低下が目立つようになる。もしライカDレンズにテレコンバーター組み合わせることがあれば、開放からF11までの間で撮影すると良いだろう。


EC-14を取り付けた状態 EC-14を取り付けても、絞りリングは作動する。コンバーターの厚みの分、絞りリングが嵩あげされるので、リングの操作がしやすくなる

●DMC-L1、ライカDレンズ、EC-14の組み合わせで撮影

 広角側の14mmで撮影。合成焦点距離は19.6mmだ。この焦点距離はライカDレンズのズーム域に含まれるので、あまり意味はないが、とりあえず実験してみた。やはり広角側では全体に像が甘くなる。絞ってもそれほど改善されない。


F4(開放)
3,136×2,352 / 1/200秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 19.6mm
F5.6
3,136×2,352 / 1/100秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 19.6mm

F8
3,136×2,352 / 1/60秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 19.6mm

 次に望遠側50mmで撮影。合成焦点距離は70mmだ。広角側に比べ像がシャープ。F16以上に絞ると回折現象のため像が甘くなる。


F4.9(開放)
3,136×2,352 / 1/160秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 70mm
F5.6
3,136×2,352 / 1/100秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 70mm

F11
3,136×2,352 / 1/50秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 70mm
F16
3,136×2,352 / 1/13秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 70mm

70mmを35mm判の画角に換算すると140mm。合成F値はF4.9と、それほど大口径ではないが、被写体までの距離が近ければ、被写界深度の浅い表現ができる。ズームと思えないほどボケ味は自然だ
3,136×2,352 / 1/80秒 / F4.9 / 0EV / ISO200 / WB:曇り / 70mm

マグニファイアーアイカップME-1を使う

 DMC-L1の光学ファインダーは像が小さく、ピントが合わせにくいことは前にも述べた。だがオリンパスが発売しているマグニファイアーアイカップ「ME-1」をアイピースに取り付けると、ファインダー像を1.2倍に拡大できる。

 ただ、DMC-L1のアイピースは、もともとかなり出っ張っているので、ME-1を取り付けると、さらに出っ張りが増し、カメラを構えたときの安定感が損なわれる。またアイポイントも短くなるので、メガネを使用していると全視野が見えにくくなる。特に視野外右側にある撮影情報を確認する際は、眼の位置をずらさなければならず、メガネ使用者には、あまりお勧めできない。

 なお視野が拡大されるので、マニュアルフォーカス時にピントが合わせやすくなることを期待したが、L1のフォーカシングスクリーンは素通しに近く、ピントが少しくらい外れていても、眼の調節機能がカバーしてしまう。特にマウントアダプターを使って大口径レンズを使うときなどは、ライブビューの拡大機能を使うか、撮影した画像をモニターでチェックしながら撮影した方が良さそうだ。


マグニファイアーアイカップME-1。ファインダー像を1.2倍に拡大することができる ME-1をDMC-L1に取り付けた状態。ただでさえ出っ張っているアイピースがさらに出っ張ってしまう

●ME-1を使ってF1.2で撮影

 ME-1を使えば、正確なピント合わせができるのではないかと思い、大口径レンズで撮影してみた。だがピント合わせのしにくさは、像の大きさではなく、フォーカシングスクリーンの特性によるもののようで、ピントが合ったと思っても、撮影した画像をモニターでチェックするとピンボケ。結局ピントを少しずつずらしながら撮影するのが、いちばん良い方法だった。


マウントアダプターを介してSMCペンタックス 50mm F1.2をL1に装着 SMCペンタックス 50mm F1.2で撮影。ピントは指針の先に合わせている。全部で8カット撮影し、その中からベストを選んだ
3,136×2,352 / 1/60秒 / F1.2 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm

まとめ

DMC-L1はデジカメ版のブリッジカメラ?
 最初のうちは、DMC-L1をデジタル一眼レフカメラとして認識していたので、どうしても一眼レフと比べてしまい、欠点ばかりが目に付いた。だが、使っているうちに、「DMC-L1は一眼レフではない」と思うようになってきた。要するにコンパクトデジカメと一眼レフの中間。昔、フィルムカメラに、ブリッジカメラというジャンルがあったが、まさにL1は、ブリッジカメラのデジタル版だ。

 ただフィルムを使うブリッジカメラと大きく違う点は、レンズ交換ができること。その意味では、一眼レフに近いかも知れない。要するに光学ファインダーを使って一眼レフ風に、液晶モニターを使ってコンパクトカメラ風にと、1台のカメラで2種類の撮り方ができることがポイントなのだ。DMC-L1が初のレンズ交換式デジカメとなるパナソニックとしては、新しいジャンルのカメラを提案したのだろう。いわば、一眼レフとコンパクトの「良いとこ取り」といえる。あくまでも私見だが、次機種では一眼レフらしさを追求したモデルと、初心者用のコンパクトタイプに分かれたラインナップも見てみたいところだ。


最後に

 今回のテーマとは直接関係ないが、ライカDレンズとライカR用レンズのボケ味を比較してみた。開放F値が違うので厳密な比較はできないが、ボケの傾向は非常に似ている。


レイコールのマウントアダプターを介してライカRズミクロン 50mm F2をDMC-L1に装着

ライカDレンズ。焦点距離50mm、開放で撮影
3,136×2,352 / 1/50秒 / +0.33EV / ISO100 / WB:オート / 50mm
ライカRズミクロン 50mm F2。F2開放で撮影
3,136×2,352 / 1/80秒 / F0.0 / -0.33EV / ISO100 / WB:オート / 50mm


URL
  パナソニック
  http://www.panasonic.co.jp/
  製品情報(DMC-L1)
  http://panasonic.jp/dc/l1/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(LUMIX DMC-L1)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#l1


( 中村 文夫 )
2006/09/20 21:00
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