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カシオ EXILIM ZOOM EX-Z1000【第3回】
梅雨入りの下町

Reported by 本誌:伊達 浩二


 週末は晴れないなぁと言っていたら、東京は9日に梅雨入りしてしまった。この週末も小雨がちの天気だ。

 晴れ間を待っていてもしょうがないので、散歩にでかけた。江東区の「深川江戸資料館」を目的地にしながら、道々で雨に濡れた花を撮って歩こうという目論見だ。この季節は紫陽花(あじさい)がシーズンだが、見慣れた植木も雨で洗われて、意外な表情を見せてくれることがある。

 雨の日はカメラを濡らさないように気を遣うのだが、コンパクトなEX-Z1000は、ポケットから、さっと出して、さっと撮れるので好ましい。また、描写が素直なので、花びらや葉の形が崩れてうるさい画面になることがない。画素数の多さだけでなく、その描写の力で、花を撮りたくなるカメラだ。EX-Z1000が得意とする分野といえるだろう。

 深川江戸資料館は、最近の郷土資料館などに多い「情景再現、生活再現展示」の嚆矢で、吹き抜けになった地下の空間に、江戸の町の一角が再現されている。

 この展示場は、朝から夜までの情景が照明と音声で再現される、周期は25分だ。だんだん明るくなってくる中を物売りの声が流れて朝が始まり、昼の雑踏から、少しずつ日が落ちて静かな夜が到来する、という具合だ。照明効果を生かすために、会場全体も暗めだ。

 幸いなことに撮影も禁止されていないので、カメラの高感度撮影のチェックには最適だ。ただ、照明効果を生かすためにも、江戸の雰囲気をこわさないためにもストロボは使いたくない。最近、三脚を持ち込む人が多くなったためか、「人の迷惑にならないように撮影しましょう」という掲示が見られるようになったのが気がかりだ。見学者の邪魔にならないように気を遣わないと、いくつかの公共施設のように三脚禁止あるいは撮影禁止になることが憂慮される。

 なお、今回の撮影ではすべて手持ちで三脚は使っていない。もちろん、きちんとした絵を撮る上ための三脚の利点はわかっているのだが、コンパクトカメラで三脚を使うユーザーはあまり多くないと思っているからだ。本格的な夜景は別にして、一般的な撮影では、三脚なしで撮れてほしいと思っている。高感度による多少のノイズは我慢するが、少なくともL判で印刷したり、PCの画面で全体を縮小して見るぐらいのレベルには絵になっていてほしいものだ。

 EX-Z1000は、通常の設定ではISO800まで設定できるが、ベストショット機能で「高感度」を選択することでISO3200まで上がる。高感度モードの目的は「ストロボ無しでも、暗い場面を明るく撮影します」となっており、ほぼ目的は達成されるが、ゲインアップのためのノイズは大きい。ただ、真っ暗に写ってしまったり、ストロボで無味乾燥な写真になってしまうよりは、この方がずっと良いとは思う。

 ちなみにEX-Z1000では、ストロボを弱めに焚く「ソフトストロボ」が用意されている。撮り比べてみると、こちらの方が周囲の状況を取り入れた感じに写るので、活用したい。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/ISO感度/露出補正値/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


水滴が落ちそうになっているところを狙った。CCDは1/1.8型と大きめなので、後ろがきれいにボケている
3,648×2,736 / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 38mm
紫陽花。中央の細かい部分がよく出ている
3,648×2,736 / 1/125秒 / F5.4 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 114mm

水滴の描写が美しい
3,648×2,736 / 1/100秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 38mm
街路樹のそばでカタツムリを見つけた。何枚か撮ったが手ブレが止められなかったのでストロボを使用
3,648×2,736 / 1/60秒 / F5.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 114mm

山門。緑の葉は実物より冴えた感じ。葉の形が崩れにくいのは美点。門柱を見るとタル型が出ているのがわかる
3,648×2,736 / 1/125秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 38mm
雨に濡れて、屋根のある場所に逃げ込んだ猫。怯えてにらんでいる
3,648×2,736 / 1/160秒 / F5.4 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 114mm

地蔵菩薩。濡れたお顔の描写が良い感じ。感度が上がっているので壁面がざらついた感じになる
3,648×2,736 / 1/160秒 / F4.3 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 78mm
自動車のように硬質な描写も得意だ
3,648×2,736 / 1/200秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 38mm

深川江戸資料館の展示場全景。この位置に立つとセンサーが働き、屋根の上の猫が鳴く
3,648×2,736 / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 38mm
ベストショットの「高感度」作例。屋台の障子の部分の照明効果が撮れている。等倍ではツライがL判印刷ならなんとか
3,648×2,736 / 1/25秒 / F2.8 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 38mm

ストロボの強弱。通常のストロボ撮影
3,648×2,736 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 38mm
撮影メニューでソフトストロボを選択。真っ白にならずに周囲の雰囲気が残る
3,648×2,736 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 38mm

川端に置かれた猪牙舟。ストロボを使用
3,648×2,736 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 38mm
オートモードで撮影すると多少雰囲気が出る
3,648×2,736 / 1/15秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 38mm

ベストショットの「高感度」で撮影。かなりノイズが乗ってしまう
3,648×2,736 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 38mm


URL
  カシオ
  http://www.casio.co.jp/
  製品情報
  http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_z1000/

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( 本誌:伊達 浩二 )
2006/06/14 01:23
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