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ペンタックス Optio A10【第5回】
夜景を撮る(ストロボ編)

Reported by 中里 和人


 一般的に夜の撮影では、ストロボを発光させることが多いと思われる。今回は夜景撮影の最終回。ストロボを使った夜の撮影に出かけてみた。

 ストロボの効能として、まずは暗くてはっきりしないものをクリアーに見せる効果が挙げられる。他にはストロボを焚くことで、今までにない新しい街や景色の見え方が現れることがある。

※作例のリンク先は撮影画像です。
※キャプションのデータは画像サイズ / 露出時間 / 絞り / 露光補正値 / ISO感度 / ホワイトバランスモード / 35mm判換算焦点距離です。


写真1
3,264×2,448ピクセル / 1/15秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / AWB / 38mm
 夜の街でストロボ撮影をする機会が訪れたのは、私がちょうど今開いている写真展「N町」の会場前だった。会場は本郷の東大前にある「ヴァリエテ本六」というギャラリー。築70年の渋い建物で、元は60年余り続いた古本屋さんだった。その店がリノベーションされ、ギャラリーとして生まれ変わって最初の展覧会が、今回の写真展となった。

 この設計と施工に携わったのが知り合いのOさんで、古いショーウィンドウの前でオープニングの日に撮ったのが、この写真。ストロボを焚いたことで、彼女の姿や花束が鮮明に写り、ウインド越しに見える店内背景もタングステン光で暖かなオレンジ発色をしている。ストロボを当てた人物と背景の明りのバランスも良く、ストロボを使用しても夜景に強いカメラだと実感できたのだった(写真1)。


 次に訪れたのは電気の街であり、今やオタク文化のメッカでもある秋葉原。街を歩くとアニメチックな看板がやけに目にとまる。メイド喫茶の手描き看板が誘いの手を差しのべていた。薄暗いメイドの絵がストロボ光にくっきり照らし出された(写真2)。

 その先の路地を曲るとアミューズメントセンターの前に等身大の女の子フィギアがにっこりウィンクしていた(写真3)。


写真2
3,264×2,448ピクセル / 1/40秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / AWB / 38mm
写真3
3,264×2,448ピクセル / 1/50秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / AWB / 38mm

 ちょうど新緑のまばゆい季節。箱崎ジャンクションの高架下でやわらかそうな緑の葉っぱを撮ってみた。ストロボでギラッと照らし出された葉が闇の中に奇妙な存在感を放っていた(写真4)。

 やや暗がりの支配する鳥越のおかず横丁。小雨に煙る路地に銀色のカバーに包まれた自転車が止まっていた。思わずストロボを当ててみたくなり撮影すると、かっこいいメタリックなオブジェが出現した(写真5)。


写真4
3,264×2,448ピクセル / 1/125秒 / F5.4 / 0EV / ISO400 / AWB / 114mm
写真5
3,264×2,448ピクセル / 1/40秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / AWB / 38mm

写真6
3,264×2,448ピクセル / 1/60秒 / F3.4 / 0EV / ISO400 / AWB / 55mm
 他にも発光に敏感に反応する物体に、道路標識がある。路上でよく見かける!)横断歩道あり!)の手をつないだ子供にストロボを当ててみると、標識は見事に闇の中の発光物体に変身した(写真6)。

 夜の街にストロボを当ててフラッシュアップさせてみると、いつもの見慣れた街が演劇の舞台に変わっていくようだった。

中里和人写真展「N町」
2006年5月6日~5月27日(日・祝休み)
12:00~19:00(最終日17:00まで)
ヴァリエテ本六
文京区本郷6-25-14
電話03-3811-7466
最寄駅:地下鉄南北線 東大前
   丸の内線/大江戸線 本郷三丁目駅



( 中里 和人 )
2006/05/19 17:09
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