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キヤノン IXY DIGITAL 800 IS【第1回】
「シリーズ伝統の基本性能+手ブレ補正」に期待

Reported by 奥川 浩彦


 EOS 20Dの長期レポート以来、およそ1年ぶりに本レポートに寄稿することになった。これから約2カ月の間、お付き合い願いたい。

 筆者のデジカメは、一眼レフがEOS 20D、コンパクトデジカメが2005年春に「IXY DIGITAL 320」から買い替えた「IXY DIGITAL 55」だった。IXY DIGITAL 55はBCNランキングでも2005年4月から9月まで最も売れたデジカメで、2005年を代表するコンパクト機といえよう。一眼レフは20年以上キヤノンを使い続けているのが、コンパクトデジカメに関しては過去に他社の製品も使用しており、キヤノンに特別な思い入れはない。

 2005年、レビューなどで使用したデジカメのうち、筆者が最も気に入ったのは松下電器の「LUMIX DMC-FX9」だった。手ブレ補正の性能は素晴らしく、お奨めのデジカメはと聞かれると「FX9かFX8」と答えていた。自分でも買い替えようかと考えたが、IXY DIGITAL 55に比べてAFが遅い、ホワイトバランスがイマイチ、全体を通してカメラとしてややオモチャ的なところがある、という理由で見送っていた。

 従来のIXY DIGITALシリーズは、LUMIXシリーズのような手ブレ補正もなく、富士フィルム「FinePix」シリーズのように高感度に強いわけでもなく、極めて普通の仕様ながら、デジタルカメラとしての基本性能は優れていた。そのIXY DIGITALシリーズにようやく手ブレ補正が搭載されたので期待して購入した。購入価格は大手カメラ量販で49,800円、ポイント還元は7,470ポイントだった。

 製品スペックや過去の製品との違いについては、本誌にもレビューが掲載されているのでそちらを参照いただくとして、筆者が手にした第一印象は……重い。IXY DIGITALシリーズは元々頑丈そうなボディとあって、決して軽いとは言い難かった。その上で手ブレ補正に加え、光学4倍ズームレンズを搭載したIXY DIGITAL 800 ISは、バッテリーとSDメモリーカードをあわせると200g近くになる。


背面の液晶周りが黒になり、電源ON/OFFスイッチが上部から背面に移動された 3色に分かれた新デザイン。個人的には従来のシルバー1色が好き

付属品一式。16MBのSDメモリーカードは、そろそろ内蔵メモリに変更してもらいたい 充電器は小型で持ち運びしやすい。従来通りコンセントに直接挿す方式を採用

 ボディデザインは3色に別れており、背面の液晶モニター周りが黒になっているのが特徴的だ。デザインは人それぞれの好みだが、個人的には「IXY DIGITALは四角い」というイメージがあり、最近の丸みを帯びたデザインは好みではない。

 付属品は従来のIXY DIGITALとほぼ同じ構成だ。充電器もコンパクトでコンセントに直接挿すタイプ。ケーブルがないので、旅行などで持ち運ぶには携帯性に優れる。気になったのは16MBのSDメモリーカード。他社の多くの機種が内蔵メモリをデジカメ本体に持つようになっている。使い道の薄い16MBを同梱するより、忘れることがなく緊急時に使える可能性が高い内蔵メモリの方が好ましいと思う。

 今回はIXY DIGITAL同士を比較してみた。対象は、筆者が1年前に購入した55と、知り合いからお借りした「IXY DIGITAL 700」(2005年秋発売)だ。コンパクトなボディで携帯性に優れるのは55、一番大きく感じるのは僅差で700、800 ISは700と比較してCCDが小さくなったとは言え、手ぶれ補正と4倍ズームを搭載してこのサイズに収めたのはそれなりに評価できる。

 操作してみて最初に迷ったのは電源ON/OFFのスイッチの位置だ。IXY DIGITALといえばシャッターの横と思いこんでいたので、背面上部に移動したスイッチが最初は見つからなかった。一度気付けばすぐに慣れるし、どちらが適正かもわからないのでその後は特に違和感はない。それ以外の操作は従来機を踏襲しており、IXY DIGITALユーザーならほぼ説明書なしでも使えると思う。

 比較用のIXY DIGITAL 700を所有しているのは某周辺機器メーカーの女性広報で、700を選んだ理由の一つは「持ちやすかったから」といっていた。3機種を実際に持ってみると、確かに700は持ちやすい。理由はモードセレクターのスイッチが親指にフィットして安定感が高まるためだ。本体自体は重めなので、女性にとってはこのグリップ感が好印象だったのはうなずける。


左からIXY DIGITAL55、800IS、700。一番大きく感じるのは700 ファンクションボタンの周りは似ているが、モードセレクトは各機種で異なる

最もグリップ感がよかったのはIXY DIGITAL700。モードセレクターのスイッチが親指にフィットする 左からIXY DIGITAL55、700、800ISのバッテリー。800 IS用は700用より小型化された

 筆者はコンパクトデジカメをいつもカバンに入れて持ち歩いている。気楽にスナップ撮影をしたり、メモ代わりに使ったり、仕事で使ったりと重宝している。それなりの絵が必要なときは一眼レフを使用するが、さすがに毎日持ち歩くことはない。コンパクトはいつも持ち歩けるという点で一眼レフより優れており、シャッターチャンスに強い。

 実際に今回の作例はたまたま仕事で泊まった横浜の風景だ。ホテルの回りを散策して、手ブレ補正の感触を確認した。手持ちで何枚か撮ってみたが、手ブレ補正の効果はやはり凄い。シャッター速度1/3秒で撮れたのはかなり偶然だと思われるが、広角端なら1/8秒はかなり使えそうだ。このレポートも昼間より室内や夜景の作例が自ずと増えそうな感じだ。

 EOS 20DのレポートではF1、水鳥、マラソン、ゴルフ、ライブハウスなど、被写体別に撮影した内容を報告したが、800 ISは毎日持ち歩くので、20Dの時とは違った視点のレポートをお伝えしたいと思っている。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


深夜の横浜中華街を手持ちで撮影。52mm相当、シャッター速度1/4秒でもブレなかった
2,816×2,112 / 1/4秒 / F3.2 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 8.6mm
光源は暗めの街路灯のみ。シャッター速度1/3秒でもブレずに撮れた。ISO400はそこそこノイズあり
2,816×2,112 / 1/3秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 5.8mm

45mm相当、シャッター速度1/3秒だと普通はブレる
2,816×2,112 / 1/3秒 / F3.2 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 7.5mm
露出補正を-1に変更。シャッター速度1/6秒に変更してブレを止めた
2,816×2,112 / 1/6秒 / F3.2 / -1EV / ISO200 / WB:オート / 7.5mm

暗いシーンでもISO200まではノイズも少なく安心して撮れそうだ
2,816×2,112 / 1/15秒 / F3.2 / -1EV / ISO200 / WB:オート / 8.6mm
ISO800だとさすがにノイズが多い。それに加え「朝陽門」の文字の立体感や表現力にも差がある
2,816×2,112 / 1/60秒 / F3.2 / -1EV / ISO800 / WB:オート / 8.6mm


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/ixyd/800is/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 奥川 浩彦 )
2006/05/11 19:59
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