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オリンパス E-330【第1回】
やっぱり絶賛したくなるライブビュー

Reported by 安孫子 卓郎


 世界初・唯一のフルタイムライブビュー機能を持つデジタル一眼レフカメラ「E-330」の長期レポートを担当させていただくこととなった。しばらくの間、おつきあいのほどお願いしたい。

 こういった連載、あるいは単独のレビュー記事でもそうだが、だいたい良い面から書き始め、メーカー発表に即した内容で構成し、最後に一言「でもあそこが気になるよ」という形で落ちを付けることがよくある。初めからケチを付けては話が進まないからだ。

 もっとも、現在発売されているデジタル一眼レフカメラは、どれも問題なくよくできている。連写速度や組み合わせるレンズシステムなどで差は出るものの、どの機種もほとんどの撮影ニーズに応えられる性能は確保している。E-330もそうだ。スポーツ写真にベストだとはいえないが、「どうしても連写で撮りたい」と言うわけでなければ、だいたいの撮影はまかなえる。その上で、プラスαとしてライブビューを実現しているのだから、初回はもう絶賛したくなるというものだ。

 ここでライブビューか光学ファインダーの二者択一になってしまうと、とたんに特殊なカメラになるだろう。しかし、ほかのデジタル一眼レフカメラのように光学ファインダーでも問題なく使える。従来のデジタル一眼レフカメラがが3回転ジャンプなら、E-330は4回転ジャンプだ。多少細かい演技で減点されても総得点は高い。従ってどうしても絶賛したくなるので、イレギュラーだが第1回目に気になる点を書いておきたいと思う。

 まず、やはりAFポイントが3カ所しかなく、それも中央に寄っていることだろう。さらにその選択方式が煩わしい。E-500にあったAFの選択ボタンがなくなり、E-500で便利だった分だけ余分に面倒に感じる。次に、液晶モニターが動くのはありがたいものの、上下方向のみで左右に動かないのは残念。

 それにAモードでの視野率が92%とかなり低い。常々、95%くらいあればまあいけると思っているが、92%だと「あれっ」と思うくらい余分に写り込むことがある。デジタルカメラだと撮りながらの修正で対処できるが、Aモードでも視野率95%はほしいと思う。


 フォーサーズシステム全体の問題としては、明るい単焦点レンズのラインナップがないことだ。素子が小さいためISO感度を上げにくく、逆に同じ画角を得るのに短い焦点距離で被写界深度が深くなるフォーサーズは、明るい単焦点レンズこそが、その弱点を補い、かつメリットを活かすアイテムになる。またレンズ交換を気兼ねなく行なえるダストリダクションのメリットも、単焦点レンズで活かすことができる。

 それと、ワイドマクロが可能となる薄い中間リングだ。14mmで使えれば、ほぼすべてのユーザーがワイドマクロの恩恵にあずかれる。11mmに対応する中間リングを作れば、14-54mm F2.8-3.5と焦点距離がかぶるのでなかなか買いにくい、11-22mm F2.8-3.5の販売にも寄与するだろう。またストロボの多灯発光に対応していないことも残念。X接点のことではなく、純正のクリップオンストロボをつなげて多灯発光させるようなシステムがほしいという意味である。

 このようにE-330自体にも、システムとしても不満を持っている筆者だが、それでもなお、世界で唯一のライブビュー機能の魅力は大きい。E-330を持って出かけるときは、他の一眼レフを超える「わくわく感」に包まれながらの楽しい撮影を行なっている。という4回転ジャンプの話は、来週から。

※作例のリンク先ファイルは、撮影画像をコピーおよびリネームしたJPEGファイルです。
※写真下の作例データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


ライブビューのメリットを活かすレンズの一つが魚眼。身を乗り出すとレンズに自分や自分の影が映り込みやすいので、手を伸ばして撮影したいからだ
8mm F3.5 Fisheye / 3,136×2,352 / 1/250秒 / F9 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 8mm
下から見上げるアングルが撮りやすいのもライブビューのメリットだ。アングルファインダーでも使いにくいので、従来はノーファインダーでしか行えなかったものである
8mm F3.5 Fisheye / 3,136×2,352 / 1/125秒 / F10 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 8mm

魚眼を使うと周囲の状況がよくわかる。アズマイチゲだが、場所が冬枯れの雑木林だということがわかる。説明的な写真ではなく、それでいて状況の理解にも及ぶ。レンズ前2cmまで接近できるのも、ネイチャーカメラマンには大きな魅力
8mm F3.5 Fisheye / 3,136×2,352 / 1/200秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 8mm
ビル街に植えられた水仙。下から見上げれば、立派な背景を得て見違えるようになる。光学ファインダーだとマクロレンズで背景をぼかしがちにするところ。野に咲く花と差別化できるのも、ライブビュー機能が生んだ発想だ
14-54mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/125秒 / F5 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm

安いレンズだが解像感もボケ味も十分。これでもう少し最短撮影距離が短ければ、大ヒットするのに惜しいところだ
40-150mm F3.5-4.5 / 3,136×2,352 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 150mm
一般的なデジカメの場合、白黒猫の白い毛は頻繁に白飛びする。しかし、E-330は階調をコントロールした描写を見せる
14-54mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/400秒 / F10 / -0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 14mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-esystem.jp/products/e330/
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(E-330)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#e330


( 安孫子 卓郎 )
2006/03/14 00:55
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