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ソニー サイバーショットDSC-T9【第3回】
屋内や夜景でも優秀なオートモード

Reported by 元麻布 春男


コンパクトデジカメの宿命で、レンズとストロボの間隔が狭いDSC-T9。赤目が発生しやすい
 DSC-T9を購入して2カ月近くが経った。進歩の速いデジタルカメラのこと、この間も新製品が次々にリリースされているが、T9と完全に競合するカメラは意外と現れていない。すなわち、高感度、光学式手ブレ補正、VGAムービー、薄型フォルムの4点を網羅した競合製品はないと思う。3つまでカバーした製品なら、それこそたくさんあることを考えると、T9の独自性はいまだ保たれているように思う。

 さて、2カ月近く使って分かったことは、本機のオートモードが案外良くできている、ということだ。基本的にT9は、オートで使うカメラである。最初からマニュアルフォーカスやマニュアル露出は用意されていないし、シャッター速度や絞りを撮影者が決定する撮影モードもない。用意されている撮影モードは「オート」と「プログラム」、そして夜景をはじめとする7つのシーンセレクションモードだけ。シーンセレクションも、どうしてもオートではカバーしきれない状況に対応するため、という側面が強いから、オートがしっかりしていてくれなくては困るのだ。

 ちなみに「プログラム」は、T9で最も自由度の高い撮影モードで、ホワイトバランスやISO感度、露出補正やストロボ発光量の調整などが可能だが、この撮影モードを多用しなければならないようではいけないカメラなのだと個人的には思っている。本機を「オート」に設定すると、メニューから調整できるのは連写モードの設定のみ。ホワイトバランスやISO感度の調整はおろか、露出補正すら許されない。画像サイズの設定と十字キーに割り当てられたストロボモードとマクロモード(これらは電源を切っても設定が保持される)はさすがに変更できるが、逆にいえば変更可能なのはこれだけ。誰もがレンズバリアを開いてシャッターを押せば、「失敗のない写真」(あえて「作品」とは言わない)が撮れる必要がある。

 もちろん、今時のデジタルカメラで、晴天の戸外で失敗作が撮れるものはないだろうが、夜景や屋内となると、必ずしもそうとは限らない。ブレブレの写真になったり、とんでもないホワイトバランスになったりするカメラは今でもそう珍しくはない。

 その点、このDSC-T9はかなり優秀で、夜景や屋内でも破綻することは少なかった。遭遇した最大の問題は、いわゆる「赤目」現象が発生しやすいことだ。ただこれは、本機に限らず、レンズとストロボの間隔が極端に狭い小型のカメラではある意味避けられない。暗いところで人物を撮影する場合は、プリ発光を行なう赤目軽減機能を積極的に活用したい。

※作例のリンク先は撮影画像をコピーし、リネームしたJPEGファイルです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


無線LANチップメーカー、アセロスの発表会に出席した大澤社長。ホワイトバランスを電球、ISO感度を400に設定
2,816×2,112 / 1/15秒 / F4.3 / 0EV / ISO400 / WB:電球 / 19mm
こちらはオートまかせ。比べると赤みが強いが、実際の会場の雰囲気が残っている
2,816×2,112 / 1/13秒 / F4.3 / 0EV / ISO320 / WB:オート / 19mm

パリならぬラスベガスのエッフェル塔(もちろんイミテーション)。撮影モードはオートで、シャッター速度は1/8秒まで落ちているが、何とか失敗にならなかったのは手ブレ補正のおかげ
2,816×2,112 / 1/8秒 / F3.5 / 0EV / ISO320 / WB:オート / 6.33mm
Itanium Server Allianceの発表会に出席した米Intel Corp.のパット・ゲルシンガー副社長。会場はかなり薄暗いことに加え、赤みの強い照明だったため、プログラムモードでホワイトバランスをタングステンに設定した。残念ながらすべてオート任せとはいかない
2,816×2,112 / 1/15秒 / F4.3 / 0EV / ISO320 / WB:電球 / 19mm


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-T9/
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  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 元麻布 春男 )
2006/03/01 16:16
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