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ニコン D200【第3回】
高感度ノイズを検証してみた

Reported by 河田 一規


レンズはタムロンSP AF90mm F2.8 Di MACRO
 デジカメ関係で最近よく話題となるトピックのひとつに「高感度時のノイズ量」というのがある。

 ご存じの通り、デジタルカメラは感度を上げるほどノイズが増え、画面がザラついてくる。感度ごとのノイズ量は機種によって異なり、同じ感度でもノイズが多い機種もあれば、逆に少ない機種もある。

 感度を上げてもノイズが少なければ、手ブレや被写体ブレを抑えるために積極的に高感度を多用することができるし、ノーストロボで撮影できる範囲も広がるわけで、高感度時のノイズはなるべく少ない方が望ましいというわけだ。

 ではD200の高感度ノイズはどうなのか?

 というわけで、現時点ではもっともD200のライバル的存在となるであろうキヤノンEOS 20Dと感度ごとに比較してみることにした。

 ちなみにD200には高感度時用のノイズ除去機能があり、これを入れておくとISO400以上の高感度時にノイズを低減させることができる。ただし、あまり強くノイズ除去を効かせてしまうと、その副作用としてディテールの描写が甘くなってしまうという弊害があるため、D200ではノイズ除去を「強め」、「標準」、「弱め」、「しない」の4段階から選べるようになっている。

 今回は4段階すべてのモードで試してみることにしたので、ノイズ除去の強弱によってどのようにディテールが変化するのかもご覧いただきたい。なお、前述の通り、ISO400以下の低感度域ではノイズ除去機能はオンにならないため、除去機能オン時の比較画像はISO400未満のみを掲載した。


「撮影メニュー」から高感度ノイズ除去を設定することができる 買ったままのデフォルト状態では「NORMAL ノイズ除去する (標準)」が選択されている

 作例は、D200、EOS 20D共にレンズはタムロン90mmF2.8マクロを使用。
全カットとも、絞り優先AE、F5.6、-1/3EV補正、マニュアルホワイトバランスに設定している。


D200(ノイズ除去・標準)

ISO400 ISO800

ISO1600 ISO3200相当

D200(ノイズ除去・弱め)

ISO400 ISO800

ISO1600 ISO3200相当

D200(ノイズ除去・強め)

ISO400 ISO800

ISO1600 ISO3200相当

D200(ノイズ除去・しない)

ISO100 ISO200 ISO400

ISO800 ISO1600 ISO3200相当

EOS 20D

ISO100 ISO200 ISO400

ISO800 ISO1600 ISO3200相当

 まずはD200のデフォルト設定である「ノイズ除去・標準」とEOS 20Dの比較だが、画面下方の黒い台板部分に浮いたノイズを比較する限り、全感度ともEOS 20Dの方が高感度ノイズは少ない。D200もISO100~400くらいまではかなり優秀で、EOS 20Dとも僅差だが、それよりも感度が高くなるに従ってEOS 20との差は広がる一方であることが分かる。

 では、D200の「ノイズ除去・強め」とEOS 20Dではどうかというと、それでもISO800以上ではEOS 20Dの方が低ノイズである。むむむ……EOS 20D恐るべし!

 あと、EOS 20Dは感度が高くなっても色味がほとんど一定なのに対し、D200はISO1600位から青みが強くなるのも気になるところである。

 この結果を見る限り、さすがにオンチップで画素の1つ1つにノイズリダクション回路を持つEOSのCMOSだけあって、こと高感度特性に関してはD200よりEOS 20Dの方が一枚上手というのが正直なところだ。

 ただ、D200も同社の従来機種に比べるとノイズレベルは確実に低くなっており、実用的に問題を感じるほどノイジーでないことは確か。どのくらいまで高感度ノイズを許容できるかは完全に個人の判断だけど、この結果を見てもボクはそれほど落胆はしていない(EOS 20Dも持ってるし)。D200の場合、ISO400は充分に常用範囲と言えるのではないだろうか。

 次に、D200のノイズ除去モードを変えたときの描写変化だ。一般的にこの手の画像処理的なノイズリダクションは、効果を強くするとディテール描写が不自然になり、輪郭が曖昧になったりする傾向がある。D200の場合も「ノイズ除去・強め」では明らかにその傾向が見られ、高感度ノイズは少なくなるものの、画面全体のシャープネスが低下してしまう。

 一方、「ノイズ除去・標準」ではシャープネス低下はほんのわずかで、ノイズ低下効果との兼ね合いを考えると、もっとも実用的に思える。さすがにデフォルトモードだけのことはある感じだ。さらに効果の弱い「ノイズ除去・弱め」でも「ノイズ除去・しない」に比べると、確実にノイズは少なく、それでいてディテールの不自然さはほとんどない。

 というわけで、常用モードとしては「ノイズ除去・標準」もしくは「ノイズ除去・弱め」のどちらかが良さそうである。


作例

※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。
※写真下の作例データは、レンズ/記録解像度(ピクセル)/絞り値/露出時間(秒)/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


D200は感度が1/3ステップで設定できるため、シャッター速度との兼ね合いで最適なISO感度を選べる。ISO320くらいなら高感度ノイズはほとんど気にならない。
AF-S 17-35mm F2.8 / 3,872×2,592 / F5.6 / 1/30 / -0.7EV / ISO320 / WB:オート / 17mm
AF-S 17-35mm F2.8 / 3,872×2,592 / F5.6 / 1/20 / ISO400 / WB:オート / 17mm





( 河田 一規 )
2006/01/25 17:02
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