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オリンパス E-500【第3回】
軽量ボディにぴったりの35mmマクロ

Reported by 安孫子 卓郎


35mm F3.5 Macroを装着したE-500
 昔、フイルムの頃、筆者は焦点距離60mmと90mmのマクロレンズを愛用していた。ニコンの60mmは、50mmより10mm長いだけ、タムロンの90mmは100mmよりも10mm短いだけなのに、50mmと100mmマクロの組み合わせよりも手頃なワーキングディスタンスで使いやすかったのだ。

 私の周囲では、APS-C撮像素子のデジカメを使う人たちの中で、50mmのマクロレンズが使いやすいと人気になっている。1.5倍換算で75mmになるわけだが、オリンパスの「35mm F3.5 Macro」も換算70mmになる。60mmから90mmの間に入るあたりというのは、撮りやすい手頃なマクロ域といえるのかもしれない。

 この秋にオリンパスが発売したレンズには「ED 35-105mm F2」というすごいレンズがある。重さ2kg弱のこのスーパーレンズを付けても、E-500は全く遜色ない働きをしてくれるのだが、気軽に撮影する、というわけにはいかない。世界最軽量のボディも、それに似合うレンズがなくては真価は発揮されない。その意味で多くの人が待ち望んでいただろうレンズが、 「35mm F3.5 Macro」である。わずか165gしかなく、価格も37,275円と体力にも財布にも優しいのがうれしい。初めて箱を手にしたとき、思わず空かと思ったくらい軽い。店の人も空かと思ったそうだ。


実験ではなくあくまでイメージ(笑)。家庭用秤にて計測すると、E-500+35mm F3.5 Macroで約710g、缶ビール1本約370g×2=約740gだった
 軽量低価格のレンズとなれば、一般的には「ちゃちな作りで写りもそこそこ」となりがちだ。しかし、このレンズはなかなかのもので、質感はさすがにそこそこだが、描写力は相当の実力。2倍の値段でも批判されないくらいの写りをする。しかも単体で等倍、35mm判サイズなら2倍に相当する拡大能力があり、中間リングを併用すれば3倍相当以上の拡大接写が行なえる。フイルムの時代にはマクロ専用の特殊レンズなどを使用してやっと実現できた倍率が、低価格で手軽に味わえるのである。

 ただし、等倍近い倍率というのは、撮りやすい倍率ではない。まして2倍、3倍となれば、これはかなり難しい。手ブレが大変におきやすくなる倍率なのだ。被写体ブレの影響も大きくなる。つまり10cmの範囲を写して1mmブレたなら、1%のブレになるわけだが、1cmの範囲で1mmブレれば10%になるわけで、拡大率が高いほど手ブレも被写体ブレも大きく影響するわけだ。

 35mmと焦点距離が短く被写界深度が深いため、開放で撮影しても比較的ピンボケは起こりにくい。35mmだから1/35秒以上のシャッタースピードでよいなどと考えず、等倍など拡大率が高い場合には1/350秒でも1/500秒でも、速ければ速いほどよい。もちろん三脚を使えば、もう少し遅くても大丈夫である。

 これから冬場で花の季節ではなくなってしまうが、春先になるとこの軽量システムで花ウォークなども大いに楽しめることだろう。そのときにはあまりよりすぎず、適度な距離で撮影することをお奨めしておこう。


1.2倍のマグニファイヤーアイカップ「ME-1」。E-500とE-300に取り付け可能
 なお、12月発売予定のマグニファイヤーアイカップ「ME-1」を先行して借りることができたので、さっそくE-500に装着してみた。中央部の見え具合はなかなか良く、周囲の撮影情報などもきちんと確認できる。フォーサーズではファインダーが小さくて困っている人も多いので、ME-1の発売は朗報だろう。ただアイポイントは短くなるため、眼鏡を使用していると使いにくい。眼鏡使用者はあらかじめ確認してから購入することをお勧めする。

 筆者も購入予定だが、常用するかどうかは微妙だ。というのは、中央部は確かによく見えるが、周辺部ではマグニファイヤーの拡大レンズの影響で歪みが大きくなってしまうからだ。これはME-1だけの話ではなく、この手のアイテムの場合は多かれすくなかれやむを得ないところだろう。フイルムの時代、マグニファイヤーといえば「ファインダーの中央部を拡大してピントを見やすくする」ものであったはず。ところがデジタルになってファインダーの視野そのものが小さくなり、全視野をカバーできる製品が話題を呼んでいる。

 EシステムボディのAFポイントは中央に3カ所しかないため、AFで撮影する人にとって、ME-1は快適に使用できるアイテムだと思う。反面MFを使い、視野の端できっちりピントを合わせたい場合には、必ずしも使いやすくはないだろう。撮影スタイルに合わせて、購入を判断するのがよさそうだ。

※今回の作例はすべて35mm F3.5 Macroで撮影しています。
※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。
※作例データは、記録解像度/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランスを表します。


F8まで絞り込むと相当な被写界深度となり、拡大マクロも撮りやすくなる。シャッタースピードを稼ぐためにISO200に増感。それでもブレ気味なので、手持ちなら1/1,000秒くらいほしいところ
3,264×2,448 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:太陽光
ISO400に増感。冬場は花が少なくなるが、マクロだと面白い造形を見つけることもできる。冬場は形に注目するのが良さそうだ
3,264×2,448 / 1/125秒 / F5.6 / -1EV / ISO400 / WB:太陽光

スズランの実。葉はすっかり枯れているが、実はまだ被写体として頑張ってくた
3,264×2,448 / 1/160秒 / F3.5 / -1EV / ISO200 / WB:太陽光
日陰の赤い椿の花なので、-1.3EVの補正。開いてもきれいな花ではあるが、開きかけはさらに魅力的だ
3,264×2,448 / 1/40秒 / F5.6 / -1.3EV / ISO100 / WB:太陽光

ミツマタのつぼみ。2つのつぼみのバランスを考え、葉とともに造形的な美しさを狙った
3,264×2,448 / 1/200秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO400 / WB:太陽光
これは三脚で撮影。とりわけスローシャッターというわけではないので、簡易なものでよいから三脚を使うほうがさらによい
3,264×2,448 / 1/640秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:太陽光


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報(E-500)
  http://olympus-esystem.jp/products/e500/
  製品情報(35mm F3.5 Macro)
  http://olympus-esystem.jp/products/lens/35_35M/
  製品情報(ME-1)
  http://olympus-esystem.jp/products/accessory/optical_adapter/index.html#me-1
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 安孫子 卓郎 )
2005/12/16 01:12
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