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富士フイルム FinePix F11【第5回】
Fクロームモードで料理写真に挑戦

Reported by 本誌:折本 幸治


 高感度でノイズが少ないFinePix F11を入手し、まず考えたのが外食時の料理を撮ることだった。ご存知の通り、多くの飲食店が料理を撮るには十分に明るい照明とはいえず、これまでノイズの問題でISO100程度が限界だったコンパクトカメラにとって、料理の撮影は厳しい条件といえる。ストロボはほかのお客に迷惑だし、三脚は(撮影帰りで持っていたとしても)その場でおもむろに準備するのは恥ずかしい。

 要はISO1600まで増感してもノイズがそこそこのFinePix F11なら、「その日何を食べにいったか記録」が可能になるのではと考えたのだ。というわけで、入手以来、コツコツと料理を撮り貯めた結果が今週のお題だ。

 集中的に撮ってみて気付いたのは、改めて「店内は暗い」ということ。テラスなどよほど明るくない限り、ISO1600でも1/60秒を下回ることが多い。もしISO800・1/60秒で撮れるなら、記憶しておくべき名店にめぐり合ったと思いたい。

 さらに同じ店でも、席によって光の加減が大きく異なる。昼間なら直射日光が差さない窓際がベストだが、陽光に加え、店内のタングステン系の照明が混じる危険も大きい。といっても一番の問題は、一般的な飲食店では好きな席に座れないことだろう。気に入ったポジションに先客がいることは多い。また、たとえそこが空いていたとしても、席はおおよそ店員が決めるもの。一応「こちらでよろしいですか?」と訊かれるものの、「いや、ここはメインライトに対してサイドがきついので」などと断るのは勇気が要るだろう。

 さて、FinePix F11の設定は、M(マニュアル)でワイド端、マクロモード、露出補正+1程度でうまくいくことが多い。店内が暗いので、ISO1600でも絞りはまず開放(ワイド端でF2.8)になるため、絞り優先AEにする必要はない。また、そのまま撮るとどうしても暗めに写るので、少しでもおいしそうに撮るのなら、ほとんどの被写体でプラス補正必須と考えてよいだろう。となると、露出補正が不可能なナチュラルフォトモードでは力不足だ。

※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像(ピクセル)/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/FinePixカラー/焦点距離を表します。


2,848×2,136 / 1/40秒 / F2.8 / EV0.7 / ISO1600 / WB:マニュアル / Fスタンダード / 8mm 2,848×2,136 / 1/60秒 / F2.8 / EV0 / ISO1600 / WB:マニュアル / Fスタンダード / 8mm

 ワイド端にするのは明るさを稼ぐため。しかしこれが曲者で、皿全体を撮ろうとすると、どうしてもパースペクティブが気になる。とりわけ、四角い皿だと気になる。パースペクティブに加えて、歪曲収差も加わっているのだろう。かといって席から立ち上がってレンズをズームさせると、とたんにシャッター速度が落ちる。というより、カメラを構えて席から立ち上がるのはちょっと恥ずかしい。結局、料理全体を撮るのをあきらめ、マクロで一部分を切り取ることにしている。出てきた料理全部を1枚に収めたい向きには対応できないが、一品ずつ撮るのもまた一興。同行者を待たせて顰蹙を買うことも多いが……

 幸い、FinePix F11はマクロモードで5cmまで寄れるので、一眼レフカメラ用のマクロレンズよりワーキングディスタンスの面で自由度が高い。画角的にもうまくハマることが多く、コンパクトデジカメが得意なワイドマクロの恩恵を、こんなところで享受できるとは思わなかった。ただし斜めや横から撮ると、開放のF2.8のためか被写界深度が浅く、料理の一部にしかピントが合わないことも。そのため、なるべく上から離して撮るのがコツのようだ。

 ホワイトバランスはマニュアルで合わせている。F11のオートホワイトバランスはタングステン系の赤みをあまり補正しないためだ。もっとも、マニュアルで合わせるといっても、私の場合はテーブルにある紙ナプキンやおしぼりで合わせているのであまり正確ではない。ちなみに、ナチュラルフォトモードではホワイトバランスも変更できない。

 もうひとつ、FinePixカラーをFクロームにすることが多い。デフォルトのFスタンダードに比べてFクロームは彩度が高く、コントラストも少し上がるなど、料理にはうってつけのカラーモードだ。もちろん、Fスタンダードに比べると階調が少々大雑把になるものの、ISO1600で撮っている時点で、その点は気にしないことにしている。ISO800やISO1600では色が薄まる傾向はあるものの、大きく印象が異なるものでもない。

 総合的な画質には大変満足している。さすがにプロがバンクやカポックなどを駆使した写真には敵わないし、マクロレンズを付けたデジタル一眼レフカメラのISO1600にもまだ追いついていない印象。望遠側のF値も暗い。しかし、これまで「しょせんメモだから」とうそぶいてきたコンパクトデジカメでの料理写真が、ここまできれいに撮れることに感激した。例によってISO1600でもノイズは少なく、個人的にはコンパクトと思えば階調、シャープネスとも驚異的。何よりも手軽に撮れる楽しさはコンパクトならではだろう。

 店内が比較的明るければ、思いのほか失敗も少なく、思いつくのは、カニを食べた手で、カメラがベタベタになった程度。ブログなどに食べた料理を掲載する方は多い。そうした用途にもFinePix F11はお勧めのカメラだ。


2,848×2,136 / 1/60秒 / F2.8 / EV1 / ISO1600 / WB:マニュアル / Fクローム / 8mm 2,848×2,136 / 1/80秒 / F2.8 / EV1 / ISO1600 / WB:マニュアル / Fクローム / 8mm

2,848×2,136 / 1/100秒 / F2.8 / EV0.3 / ISO800 / WB:マニュアル / Fクローム / 8mm 2,848×2,136 / 1/40秒 / F2.8 / EV0.7 / ISO1600 / WB:マニュアル / Fスタンダード / 8mm

2,848×2,136 / 1/50秒 / F2.8 / EV0.7 / ISO1600 / WB:マニュアル / Fクローム / 8mm 2,848×2,136 / 1/50秒 / F2.8 / EV0.7 / ISO800 / WB:マニュアル / Fクローム / 8mm

2,848×2,136 / 1/125秒 / F2.8 / EV0.7 / ISO1600 / WB:マニュアル / Fクローム / 8mm 2,848×2,136 / 1/60秒 / F4.3 / EV1 / ISO1600 / WB:マニュアル / Fクローム / 18.1mm


URL
  富士フイルム
  http://www.fujifilm.co.jp/
  製品情報(FinePix F11)
  http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/finepixf11/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 本誌:折本 幸治 )
2005/12/07 00:24
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