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リコー GR DIGITAL【第3回】
素直なままで

Reported by ケニー・オブライエン


ワイコン、フード&アダプター、外部ファインダーのフル装備状態
 私にとってデジタルカメラの活躍するシーンは旅なので、さっそく連れ出すことにした。今回の目的地は函館である。理由は特にない。夜行列車で旅がしたくなり、選んだ列車が大阪発函館ゆきの「日本海1号」だったからだ。また、初めて訪れる場所ではないから、どこでどんなものを撮ろうというプランが立てやすいこともある。というわけで、函館を目指しているのに新横浜駅から「のぞみ」で出発するという、変わった旅になった。

 新横浜駅に早めに着いたので、トップスピードで通過する列車を撮ってみた。これまで、私が所有してきたコンパクトデジタルカメラではなかなか満足いく結果にならなかったが、やっと満足いくレスポンスが得られたのはGX8で、これなら動きのあるものでも狙った場所で止められるようになった。

 GR DIGITALのレリーズタイムラグは0.1秒。新横浜駅を高速で通過する「のぞみ」を思いどおりに止めることができた。これでまもなくはじまる旅が楽しくなりそうな気分になった。GR DIGITALには松下電器の2GB SDメモリーカードを入れている。推奨メディア容量は1GBまでだが、問題なく記録できることは確認ずみだ。ただしこれは自己責任で。

 28mm相当というのは車中でとても使いやすい。ときどき車窓から停車駅の光景をスローシャッターで撮ったりもした。起きたらすでに青森に停車中で、夜行列車の旅は終わりかけていた。天気はみぞれで最悪だったが、津軽海峡をトンネルでくぐると、北海道側は快晴だった。ISO感度を64に変え、函館の日没まで撮り続けた。

 普段は絞り優先AEにセットしている。AFは「マルチ」にしているが、天気がよければ「スナップ」でもいいかと思う。ピントが2.5mに固定されるので、ある程度絞られていれば合焦を待たずに撮れる。

 それにしても、GR DIGITALのGRレンズはすばらしいのひとこと。28mm相当の広角レンズながらタル型の歪みはほとんど見られず、直線は直線らしく写る。周辺部の流れもほとんど見られない。GX8のレンズにも満足していて、それでリコーのレンズにほれ込んだ。銀塩GRのレンズには少しクセがあり、またそこが好まれていたと聞くが、GR DIGITALのレンズにクセらしいクセは感じない。

 GR ENGINEがつくりだす色は、ずばり言い切ると「素直」。「自然」と感じる人もいるかもしれない。派手ではなく、妙につくり込まれてもいない。いま見た色が、そのまま写っている。つまり、いわゆる「記憶色」ではないのだろう。私にはこのほうがありがたい。いま見たものがなるべく忠実に写っている状態が理想だ。ホワイトバランスを変えることもほとんどしない。また、GR DIGITALにはRAWモードもあるため、現像時にいろいろいじればいいと思っている。

 GR DIGITALが届いたばかりのころは、ほとんどRAWモードで撮っていた。ただし1GBのSDメモリーカードで66枚しか撮れない。また撮影後の書き込みに10秒以上かかるので、テンポの良い撮影は不可能。RAWモードで撮影するとJPEGも同時に保存されるので、時間がよけいにかかっているのだろう。最近は3,264×2,448ピクセルのJPEGで撮り、ここぞというときにRAWモードにしている。これが現実的な使いかただろう。


上段左からワイコンのフード、アダプター、下段がワイコン アダプターを装着するには本体側のリングを取り外す 金属接点はワイコンなどの装着時に外部測距部がケラれるため。測光をCCD-AFのみに制御する

 函館で有数の観光名所であるハリストス正教会は、28mmでも建物全体が収まらなかった。そこで編集部に借りたワイドコンバージョンレンズ一式を取り出し、GR DIGITALに装着。GX8のときは着脱がネジ込み式で面倒だったが、GR DIGITALではアダプターにネジ込んでおけば、本体側のマウントはバヨネットなので着脱が簡単なのだ。

 アダプターを取り付けるには、鏡胴根元のリングを取り外さなければならない。初めはワイドコンバージョンレンズを使い終わるとリングをいちいち戻していたが、そのうちリングをバッグにしまい込んだ。花形フード、ワイドコンバージョンレンズ、アダプターを合体させたままジャケットのポケットに入れておき、必要ならすぐに取り出してボディに装着する。これがとても具合がいい。アダプターにはマウント時にボディ側の接点と接続する電極があり、AFがワイドコンバージョンレンズ対応になるうえ、Exif情報の焦点距離も5.9mmから4.4mmになる。

 それにしても、GR DIGITALにワイドコンバージョンレンズとアダプター、花形フードに外部ファインダーまで装着すると、まったく別物になってしまう。この状態でまた知人に見せたいと思う。きっと「また買ったんですか」ということだろう。以前、GX8のレポートのときに「ワイコンいらずか?」と書いておきながら、今回は予想外に使っている。GX8のワイドコンバージョンレンズは買っていないが、GR DIGITALのは返却期限が来たら個人で買うだろう。

 私の使いかたでは、ワイドコンバージョンレンズ使用時にも背面液晶モニターを見ながら撮っている。外部ファインダーも試しに使ってみたが、使い慣れないこともあって、すぐにバッグにしまった。いつの間にか液晶モニターに鼻の脂がついていてなかなか取れず、これも不満の一因だ。GR DIGITALの液晶モニターは晴天下ではかなり見にくい。それでも私は左手で日よけをつくって、液晶モニターだけでなんとかしようとしている。

 「日本海1号」が函館駅に到着したのは、午前11時27分。1,000km以上走り続けても定刻に到着するのが日本の鉄道のすごいところだ。北海道の日没は早い。そろそろ手ブレが気になるようになってきて気づいたが、函館に着いてからひたすらGR DIGITALで撮影していて、観光どころか食事すらしていなかった。


作例

※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/焦点距離です。


 ワイコンを取り付けると、Exifに記録された焦点距離が5.9mmから4.4mmに変化する。アダプターに設けられた接点の効果だろう。


寝台特急「日本海1号」函館ゆき
ワイコンなし / 3,264×2,448 / 1/18秒 / F2.4 / EV0 / 154 / オート / 5.9mm
夜遅い富山駅に停車中
ワイコンなし / 3,264×2,448 / 1/18秒 / F2.4 / EV-1 / 154 / オート / 5.9mm

ハリストス正教会
ワイコンあり / 3,264×2,448 / 1/500秒 / F6.1 / EV0 / 64 / オート / 4.4mm
カトリック元町教会
ワイコンあり / 3,264×2,448 / 1/440秒 / F6.1 / EV0 / 64 / オート / 4.4mm

高田屋嘉兵衛資料館
ワイコンあり / 3,264×2,448 / 1/164秒 / F6.1 / EV-1.0 / 64 / オート / 4.4mm
函館港にて。日本船なのに船腹にロシア語が。北海道らしい
ワイコンなし / 3,264×2,448 / 1/270秒 / F6.1 / EV0 / 64 / オート / 5.9mm


URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/gr/digital/
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( ケニー・オブライエン )
2005/12/05 01:00
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