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キヤノン EOS 5D【第4回】
お散歩用軽量ズームレンズを試す

Reported by 本田 雅一


 今回の主題は“普段使いのための軽量・お手軽標準ズーム”。

 “5Dなんて高いカメラを使うんだから、もっと気合い入れろ! 気合い!”と言われそうだが、日常的に芸術作品ばかりを撮ろうなどと思いつつカメラを構えているひとが、どれほどいるというのだろう。Lレンズもいいけれど、重くて大きいレンズは、それだけで持ち歩く時に気合いがいる。

 ずっと昔は標準域で単焦点レンズ以外となると、プライベートでも、お仕事の画質があんまり関係ないレポート用の写真も、EF 28-70mm F2.8 Lばかり使っていたが、今ではもっと心も重量も軽いレンズを使うようになった。


デジタル対応した255gの軽量ズーム

 標準域のEFズームは、カメラを買い換え(買い足し)するごとに増える事が多いものだ。画角1.6倍相当のD30以降は、さすがに28mm始まりのズームレンズを買い足していくことはなくなったが、銀塩時代に購入して今でも残っているレンズだけでも、EF 28-70mm F2.8L USM、EF 28-105mm F3.5-4.5 USM、EF 28-135mm F3.5-5.6 IS USMと似たような焦点域で3本。これに友人に貸し出し中のEF 24-85mm F3.5-4.5 USMを合わせると4本。5Dと同時に買ったEF 24-105mm F4L IS USMもあるから、全部で5本となる。

 そのうち、こうした旧来からのフルサイズ対応標準ズームも5Dでのテストを行ないたいが、そろそろ同じようなレンズばかりは整理して、単焦点のコレクションでも増やしたいところだ。

 上記のように筆者は以前からレンズは完全純正派。レンズメーカーさんには本当に申し訳ないが、昔々の“レンズメーカー製は安いけど……”というイメージを、そのままモロに引き摺っていたというのも、その理由のひとつだ。

 筆者はカメラを使うことを職業としてはいないし、レンズコレクターでもないから、通常は自分で購入する範囲のレンズしかわからない。そんな事も、レンズメーカー製レンズにちょっと臆病になっていた理由だろう。

 前回のレポートでは、低価格の広角レンズでは問題になりやすい逆光条件での撮影結果を掲載していなかった(同一条件では撮影していなかったため)が、昔のような安いコーティングで画面が真っ白になるほどフレアだらけといった極端な事はなかった事を付記しておきたい。もちろん、超広角だけにある程度のゴーストは出るが、どのレンズもフェアなレベルで特に気にはならなかった。


お散歩用として気張らずに

28-70mm F2.8-4 DG
 こうした低価格の軽量レンズは、カメラ店でのセット販売用として使われる事が多いが、シグマのこの手のレンズは望遠は良いけれども、標準域はイマイチという印象を持っていた。しかし同社のレンズはデジタル対応になって、同じスペックでもずいぶん良くなったという話を聞いていたため、ものは試しでお散歩用軽量レンズとして使ってみようと思ったわけだ。

 軽量なのにはもちろん理由がある。フィルター径58mm、マウントも銀色にペイントされたプラマウント(シグマではこれとAPOではない70-300mm F4-5.6 MACROだけ)でレンズ構成もシンプル。非球面は1枚使われているが、安価なレンズだけに異常分散ガラスなどの特殊硝材も使われていない。しかし、鏡胴はつや消し塗装がされており、意外に表面の質感は悪くない印象だ。付属レンズフードは花形ではなく通常の円形だが、ズームの繰り出しがワイド端で長くなり、テレ端で短くなるタイプなので、焦点距離が長くなるほどフードの効果が高まる。

 なにしろ2万円のレンズ。期待せずに使ってみたのだが、想像していたよりはずっと悪くない。ワイド端のF2.8ではちょっとした逆光気味のシチュエーションで画面全体にフレアが出やすいが、F4まで絞ればそこそこ使える。開放側のF2.8は、あくまで「室内撮影でのプラスα」と思えば、さほど気にならない。サンプルは完全に画角内に太陽を入れているが、こうした構図で撮らなければいいだけ。

※キャプション内のデータは露出時間(秒) / レンズの焦点距離(mm)です。
作例はすべて絞り優先AE、露出補正なし、感度はISO100、オートホワイトバランスで撮影しています。


1/400 / F4 / 28
1/640 / F2.8 / 28

1/80 / F8 / 28
1/40 / F11 / 28

 逆光に強いとは言えないが、ちょっと気遣ってやれば十分。それどころか、周辺の流れもさほど多くなく、極端な逆光以外のシチュエーションではコントラストも結構高い。

 解像度に関してはシグマのレンズによくある中心部周辺はカリカリだけど、四隅ではやや甘くなるといったタイプではなく(もちろん、四隅はある程度は落ちるが)、真ん中の解像度は必要十分で割に均一に周辺まで持続するタイプ。確かにやや歪曲が気になる場面もあるが、あくまで価格を考えた上での甘めの印象だが、なんだ結構悪くないじゃないという感じなのだ。

 F4始まりのレンズとして使ううえで不足はない。それでいて室内撮影時には、F2.8を使って1段分のシャッター速度を稼げると考えるのがいいだろう。高級ズームや単焦点レンズ以外に、もう1本、お散歩用に気張らずに使えるものを探しているなら、持っていてもいいレンズだと思う。


1/60 / F8 / 53 1/200 / F2.8 / 28

1/1600 / F2.8 / 31
1/60 / F8.0 / 70

1/400 / F5.6 / 31

12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL HSM
 といった事を考えながら、このレンズとシグマつながりで12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL HSMを持って散歩に出かけた。12-24mmに関してはかなり絞り込んだ時の画像しか掲載したことがなかったため、今回は絞りをF5.6で撮影している。

 見ての通り周辺は流れるが、これはこういうレンズという事でいい、と思うのだがどうだろう? 魚眼でもないのに12mmというのは、一眼レフ用では例がないだけにユニークで、もうそれだけで他に代え難いレンズだ。

 ちょっと油断すると足下がうっかり映ってしまうほど広い画角は、広角マニアじゃない筆者でも面白いと感じる(たまにこのレンズを付けて取材先の人に覗かせたりすると、みんな見たことのない風景にゲラゲラと笑うほど)。こんなレンズが作れるのも、レンズメーカーだからこそと言えるのかもしれない。


1/160 / F5.6 / 12
1/250 / F5.6 / 12

1/80 / F5.6 / 12

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( 本田 雅一 )
2005/12/02 18:18
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