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松下電器 LUMIX DMC-LX1【最終回】
16:9をもっと広角に! ワイコンを自作する

Reported by 中村 文夫


今回製作したワイコン(左)といつものDMC-LX1
 とにかくLX1の最大の魅力は16:9の横長画面だ。 2カ月にわたりLX1を使ってみて、すっかり横長画面の虜になってしまった。最近では一眼レフのファインダーを覗くと何だかもの足りなさを感じるほど。相変わらず低輝度に弱かったり、思ったより手ブレ補正機構の効果がなかったりと、欠点を挙げればキリがないが、16:9のアスペクト比は、これを補って十分にのお釣りが来る。松下電器もせっかく16:9サイズのCCDを作ったのだから、これらの欠点を克服した新製品を開発してほしいものだ。

 LX1にはズーム比4倍のズームレンズが付いている。しかし最終回のレポートを書くに当たり、撮影した画像をざっと見返したところ、ほとんど最広角側で撮影していた。もちろん望遠側で撮影しても、面白い効果は得られるが、やはり16:9の画面は広角向きであることに間違いない。

 とにかく使い込むにつれ、もっと広い画角が欲しくなってきた。レンズが固定式のLX1の画角を広くするためには、ワイドコンバーターが必要だが、松下電器はLX1用コンバーターを発売していない。そこで既製のワイドコンバーターの中から、LX1に使える製品を探し出すことにした。

 まず、手元にあったニコンクールCOOLPIX用のワイドコンバーターをLX1のレンズにあてがってみたところ、画面の両サイドが大きくケラレてしまった。次にリコーGR DIGITAL用のワイドコンバーターで試してみたが、16:9のアスペクト比だと四隅がケラレてしまう。どうやらコンパクトタイプのデジカメ用に設計されたワイドコンバーターで、LX1の横長画面をカバーするのは無理なようだ。

 そこで気を取り直して、イメージサークルの大きい35mm銀塩カメラ用の製品をガラクタ箱の中から引っ張りだした。まずオリンパスLシリーズ(レンズ固定式一眼レフ)用のコンバーターでテストしたところケラレはまったく認めらない。これならLX1に使えそうだ。だが問題はカメラ本体に取りつける方法だ。

 LX1の鏡筒前枠には、コンバーター取り付け用らしき溝が切られているが、松下電器はこれを利用して取り付けるアクセサリーの類を一切用意していない。ライカのホームページを見るとLX1と同等品であるD-LUX2用として、スポッティングスコープ用のアダプターが用意されている。恐らくカメラ本体の溝は、このために設けられているのだろう。ワイドコンバーターをLX1に取り付けるには、このアダプターを改造するのが、いちばん良さそうだが現時点では手に入らない。そこで手持ちのガラクタを組み合わせて急遽アダプターを製作した。


LX1の鏡筒前枠には段があり、浅い溝が切れている。恐らくライカがD-LUX2用として販売しているスポッティングスコープ用アダプターのためだろう ワイコンの材料。左下から反時計回りに、49mmフィルター枠、49→52mmステップアップリング、ニコン製接写リング(製造中止品)、オリンパス製HQコンバーター0.8×(製造中止品)、紙製フレアカッター、52→49mmステップダウンリング LX1に自作ワイコンを取り付けた状態。鏡筒前枠にかぶせてあるだけなので、撮影時は手で押さえて撮影する

 使用した材料は、49mmのフィルターとニコン用接写リングの部品、49→52mmのステップアップリングと52→49mmステップダウンリング、そしてボール紙だ。

 49mm径のフィルターからフィルターを取り去り、枠だけにするとLX1の鏡筒前枠にちょうどはまる。ただし、この組み合わせだとワイド端専用にある。また、間に合わせの工作なので、きちんとボディに固定することはできないが、手で押し当てれば使用可能だ。

 実際に撮影した画像をみ見てもらえばわかる通り、ワイドコンバーターを取り付けると画角がいちだんと広がり、パノラマ感の強い写真が撮れた。コンバーターの倍率は0.8倍なので、35mm判に換算すると計算上ヨコ20.4mm/タテ24mmに相当する。

 使用したワイドコンバーターは、LX1用に設計されたものではないので、画質の低下が懸念されたが、案ずるより産むが易し。確かにPCのモニター画面で見ると全体にコントラストがやや低めで、拡大すると色収差が目立つが、実際にプリントしてみると解像力は意外に高く、実用上何ら問題はない。またよりよい結果を望むなら、撮影時に絞りを絞り込むとシャープさが増す。

 とにかく今回のテスト結果は期待以上。せっかくカメラ本体がアダプター取り付け可能な仕様になっているのだから、ぜひ純正アクセサリーの発売してほしい。また望遠側はどうでもいいから、広角域をもっと広げた超広角レンズ付きの新製品も期待したい。超広角レンズには周辺光量不足がつきものだが、レンズ設計でこの問題が解決できなくても画像処理ソフトを内蔵すれば解決できるはず。デジタルカメラには銀塩カメラにない特技があるのだから、ぜひこれを活かした「使って楽しい製品」を開発してほしいものだ。

※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。

※写真下の作例データは、ワイコン(あり・なし)/記録解像度(ピクセル)/シャッター速度/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


画角の変化

ワイコンなし / 3,840×2,160 / 1/30秒 / F3.2 / 0EV / ISO80 / オート / 8mm ワイコンあり / 3,840×2,160 / 1/30秒 / F3.2 / 0EV / ISO80 / オート / 8mm

絞りによる変化

ワイコンあり / 3,840×2,160 / 1/640秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / オート / 6.3mm ワイコンあり / 3,840×2,160 / 1/320秒 / F4 / 0EV / ISO80 / オート / 6.3mm

ワイコンあり / 3,840×2,160 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / オート / 6.3mm ワイコンあり / 3,840×2,160 / 1/80秒 / F8 / 0EV / ISO80 / オート / 6.3mm

ワイコンなし / 3,840×2,160 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / オート / 6.3mm


URL
  松下電器
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/lx1/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 中村 文夫 )
2005/11/28 00:02
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