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リコー GR DIGITAL【第1回】
非「銀塩GR」ユーザーとして

Reported by ケニー・オブライエン


愛用しているストラップは、本来は携帯電話用。肌触りがいいのでこれを使い続けている
 「それって、デジカメですか?」。そう来たか。知人にGR DIGITALを見せたときの反応である。こちらとしては届いて以来、ワクワクしながら日々触っているというのに。たしかに銀塩GRを知らなくても、GR DIGITALを銀塩コンパクトカメラと勘違いする人はいるだろう。「デジカメだよ、ほら」といって背面の液晶モニターを見せても、反応は良くない。私はそこでGR DIGITAL自慢をあきらめた。

 私は銀塩GRユーザーではない。友人が愛用しているGR1sを持たせてもらったことはある。しかしそれで撮影したことはないし、ポジやプリントも見たことはない。なのでGRに特別な思い入れはなかった。

 それでもGR DIGITALは、発表された内容だけで魅力的に思えた。
GRとの比較からではなく、ここ半年ほど愛用しているCaplio GX8との比較からだ。

 GX8は発売当日に入手し、これまでに日本を含めて8カ国で3,000枚以上撮影した。このコーナーでも8回にわたってレポートしたが、「旅のデジカメ」としてかなり気に入ってはいる。だが、どんな製品でもそうだと思うが、気に入らない部分も当然出てくる。

 GX8の不満のトップは、ノイズが多いことだ。私はあまりレタッチなどやらないのだが、GX8の色ノイズを消そうと挑戦したことがある。結果として妙な粒状感が増えるだけで、満足いく出来にはならなかった。レンズは悪くない。むしろズームレンズとしてはかなり優秀だと思っている。ノイズがのりにくい条件での描写はかなり気に入っているのだ。ああ、これでノイズさえ少なければ……。

 さらに、これまでGX8で撮った写真の90%は、ズームの広角端だった。GX8を買ったもともとの動機が、広角端28mm相当のレンズにあった。というわけで、いまどきコンパクトデジタルカメラで珍しい、単焦点レンズがGR DIGITALの購入をためらわせることはなかったし、さらにいい写りになってくれるという期待もあった。

 決定的だったのは、ノイズの少なさを謳う「GRエンジン」の存在である。実写作例などは見ていなかったのだが、少なくともGX8よりはよくなっているだろうと勝手に考えた。

 モノとしての質感などは、発表当日のデジカメWatchの記事を見てもよくわからない。しかし、決して悪くはなさそうだ。28mmレンズがさらによくなり、GRエンジンがノイズを低減、金属外装の質感も高そう――翌日、ヨドバシドットコムで予約が始まっていたのを確認し、カゴに入れた。


左が初回予約特典、右が純正
 このとき私は大失敗をやらかしている。本体とともに純正皮ケースもカゴに入れたのだ。その後、別件のついでに改めてヨドバシドットコムの予約履歴を見ると、「GR DIGITAL予約者にはオリジナルケースをプレゼント」とある。予約した当初、この記述はなかったはず。うーん、オリジナルケースってどんなものだろう。写真がないので判断ができない。まあいいや、と放置しておいた。

 GR DIGITALは発売当日の午前中に配達された。荷物は2個口になっており、片方は純正ケースのみ、もう片方はその他すべてだった。GR DIGITALの箱を開けてみると、純正とまったく同じケースがころがり出てきた。しまった! だがよく見ると、エンブレムの色が違う。予約特典のケースのエンブレムが銀色なのに対し、純正のほうが黒くてかっこいい。そこで私は純正のパッケージを開けてしまったのだ。開けて5分後に気づいた。開けなければ返品できたのに……。私の周囲でGR DIGITALを買う人がいたら、エンブレムが黒でないほうを進呈しようと思っている。

 すでに編集部で試作機を触っているので初対面のドキドキはないものの、すぐに単四型オキシライド乾電池を入れて動かしはじめた。GR DIGITALは専用リチウムバッテリーのほかに、単四型乾電池が利用できる。実はここがいちばん心配だったところだ。私としてはボディがひとまわり大きくなってもいいから、GX8と同様に単3型が使えるようにしてほしかったのだ。

 電池は、同一ブランドを同一条件下で同負荷をかけた場合、容積が大きいほうが長持ちする。そのため単三型対応のGX8より、単四型対応のGR DIGITALのほうが電池がもたないのでは、という予感がするわけだ。たとえGR DIGITALがGX8より省電力設計になっていたとしても、発表段階ではそう感じた。


 実際にはどうだったか。専用バッテリーをチャージしている間にオキシライド乾電池で動作させていたのだが、1時間もしないうちに使い切ってしまった。いろいろと設定したりメニューを見たりしていただけで、撮影なんてほんの数枚だった。うーん、これは思ったよりもたないかもしれない。

 私はよく寒冷地に行くので、必ず予備のバッテリーを持ち歩く。GR DIGITAL予約時も、専用バッテリーをカゴに1つ入れた。だがこれだけでは心もとないかもしれない。非常時は単四型を使えばいいではないかというだろうが、この単四型というのが困る。日本ではかなり入手しやすいのだが、海外ではそうでもないからだ。単三型ならどこでも手に入る。ニューヨークやモスクワなら地下鉄車内にも売りにくる(無許可だが)。ところが、単四型は探さないと見つからない。ソウルでの私の定宿にあるコンビニも単三型しか陳列していない。

 非常用に単四型オキシライド乾電池をたくさん携行するのもためらわれる。空港によっては乾電池をかなり警戒しており、目覚まし時計まで調べられたことがある。乾電池を使用する機器は、日本以外での入手のしやすさを考えて単3型対応で統一しているのだ。GR DIGITALはまだ氷点下で試していないが、年明けに専用バッテリーを買い足している可能性は高い。

 デジタルカメラユーザーは、充電器を携行することが多いと思う。旅好きの私にとっても充電器はとても重要なポイントだ。小型であるにこしたことはないし、複数同時にチャージできるとなおよい。さらに電源ケーブルの長さなど少々うるさい。


GR DIGITALのバッテリーチャージャーと専用バッテリー 上がGR DIGITALのバッテリーチャージャーで、手前がGX8用。GX8の赤LEDはなくなった

 GR DIGITALの充電器は電源ケーブルがなく、引き起こし式プラグをコンセントに直接差し込める。これはいままで使ってきた電器のなかではもっとも収納サイズが小さくていい。だが私にとって素直に喜べない。なぜなら、ホテルによってはコンセントが奥まった場所など妙な位置にあり、充電器をそのまま忘れそうだからだ。

 私は旅先で忘れものをしたことがほとんどない。バゲージからあまりたくさん出さずに、しかも出したものは目が届く範囲にしか置かない。デジタルカメラやiPodの充電器は電源ケーブルを伸ばして目立つようにしている。夜中にトイレに行くときに蹴ってしまったことはあるが、忘れそうになったことは一度もない。しかしGR DIGITALの充電器は心配だ。といって延長ケーブルを持ち歩くのも不便だ。普通に使う分には問題ないが、旅先では変な心配が増えたことになる。

 8月に訪れたアルバニアの首都ティラナの空港では、GX8とiPodの充電器がX線検査で引っかかった。ラウンジで無料のビールを楽しんでいたら呼び出された。倉庫のような検査場に行くと、係官が私の充電器を両手にぶら下げて、「これは充電器ですか?」、「その通りです」。この国に滞在している間は、デジタルカメラを使っている人にまったく出会わなかった。

 たかが充電器というなかれ。これがあってこそ、デジタルカメラは活躍できる状態となる。ただ、GR DIGITALの場合、私の使いかたでは少し心配が発生した。こうしてGR DIGITALとのつきあいは始まったのだった。


作例

 GX8とほぼ同じ画角、ほぼ同じ露出で撮り比べた。GR DIGITALのシャドウ部は、GX8のそれよりノイズが低減しているのがわかる。絞りが若干違うのは、GX8の絞りの段数が3段階しかないため。

※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。
※写真下の作例データは、機種名/記録解像度/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/実焦点距離を表します。ホワイトバランスはすべてオートです。


GR DIGITAL / 3,264×2,448 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO64 / 5.9mm Caplio GX8 / 3,264×2,448 / 1/400秒 / F8.1 / 0EV / ISO64 / 5.8mm

GR DIGITAL / 3,264×2,448 / 1/20秒 / F4.5 / 0EV / ISO64 / 5.9mm Caplio GX8 / 3,264×2,448 / 1/20秒 / F4.7 / 0EV / ISO64 / 5.8mm

GR DIGITAL / 3,264×2,448 / 1/50秒 / F4.5 / 0EV / ISO64 / 5.9mm Caplio GX8 / 3,264×2,448 / 1/50秒 / F4.6 / 0EV / ISO64 / 5.8mm

GR DIGITAL / 3,264×2,448 / 1/290秒 / F4.5 / -0.7EV / ISO64 / 5.9mm Caplio GX8 / 3,264×2,448 / 1/189秒 / F4.7 / -0.7EV / ISO64 / 5.8mm


URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/gr/digital/
  リコー GR DIGITAL 関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/compact/2005/09/15/2305.html


( ケニー・オブライエン )
2005/11/21 00:06
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