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松下電器 LUMIX DMC-LX1【第4回】
手ブレ補正の安全圏は?

Reported by 中村 文夫


 私はふだんカメラの内蔵ストロボをほとんど使わない。もちろんパーティなどで記念写真を撮るときは例外だが、その理由は正面から光が当たるので立体感が乏しくなるうえ、被写体の後ろに見苦しい影が出てしまうから。要するにひと目でストロボを使ったことがわかる不自然な写真になってしまうからだ。

 原因は小さなカメラボディに、これまた発光面の小さなストロボを内蔵しているから。これはデジタルカメラに限ったことではなく、コンパクトカメラにストロボが内蔵されたときから、つきまとっている問題だ。

 これを解決するには、ストロボの発光面を大きくすると同時に、発光部を撮影用レンズから離すしかない。だが小さなボディにストロボを内蔵する以上、無理な相談である。結局のところ、ストロボをできるだけ使わないというのが私の導き出した結論なのだ。

 ストロボを使わないときに問題になるのが、カメラブレだ。この点デジタルカメラは撮影途中でISO感度が簡単に変更できるので、ISO感度を上げればシャッタースピードを速くなり、とても有利だ。もちろん最も大切なことは、カメラをきちんと構えることだが、LX1には手ブレ補正機能が付いているので安心して撮影ができる。


手ブレ補正にモード1とモード2の2種類がある。もちろん補正機能をOFFにすることもできる
 LX1は2種類の手ブレ補正モードを内蔵している。モード1は常時手ブレを補正するモード。望遠撮影時に構図を決めて撮影するときに便利なモードだ。これに対しモード2はシャッターが切れる瞬間に手ブレを補正する。モード1はカメラを急に動かしたとき、ほんの少し遅れて画像が動くので、場合によっては船酔いのような映像になってしまうが、モード2は画面がすばやく反応するので不自然さはない。さらに電池の消耗も少ないらしいので普段はモード2を使うとよいだろう。

 手ブレしやすい状況ということで、今回は室内で作例を撮影することにした。とにかくストロボはOFF。と言ってもLX1の場合、ストロボをポップアップさせない限り、ストロボは発光しない。

 まず撮影モードをAUTOモードにセット。カメラを構えたら液晶モニターにF2.8、1/4秒という表示が出た。言い忘れたがLX1はシャッター半押しにするとモニター画面の下にF値とシャッタースピードの表示が出る。

 特に16:9のアスペクト比のときは、黒帯の部分に表示が出るのでとても使いやすい。なおオートモードの場合、ISOは自動的にセットされる。後で確認したらISO200になっていた。手ブレ補正はモード2を選択。ちょっと心配だったが、でき上がった写真は手ブレの影響もなくシャープに写っていた。

 下の2つはどちらも手ブレ補正ONで撮影したもの。左は両手できちんと構えて、ストラップを首にかけたまま腕をめいっぱい突き出し、ストラップをピンと張った状態で撮影している。右は適当に構えて手ブレした例。いずれにしても手ブレ補正機能は100%手ブレを防ぐものではない。あくまでも補助的な機能と考えることが大切だ。ちなみにオートモードだとホワイトバランスはオートになる。白熱電球の赤みが残り、なかなかよい雰囲気に写っている。


手ブレ補正ONでしっかり構えた例
3,840×2,160 / 1/4秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 28mm
適当に構えて手ブレしてしまった失敗例
3,840×2,160 / 1/5秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 28mm

3,840×2,160 / 1/5秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 30mm

 もちろん、手ブレ補正機能といえども、極端にシャッタースピードが遅いと補正しきれない。私が使用した感想だと1/8秒までが安全圏で、1/4秒になると要注意。1/2秒以上になると歩留まりが悪くなり、それ以上だと全滅といった感じ。もちろんレンズの焦点距離や撮影者の経験など、いろいろな要素が絡んでいるので、この数字は参考値として解釈してほしい。


1/2秒と遅いため、手ブレ補正ONでも手ブレは防げなかった
3,840×2,160 / 1/2秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / 60mm
ISOを200にアップ。1/8秒になり手ブレが防げた
3,840×2,160 / 1/8秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO200 / 60mm

 今回のテーマから脱線するが、内蔵ストロボについて少し述べたい。最初に私はストロボはほとんど使わないと宣言しながら、実は補助光としては、ずいぶんお世話になっている。

 たとえば輝度差の激しい条件の場合、高輝度に露出を合わせると低輝度が黒くつぶれてしまう。反対に低輝度に合わせると高輝度が飛ぶ。これはダイナミックレンジが限られたCCDの特性上、どうしようもないことだ。しかし補助光を使って輝度差を少なくすれば、この問題が解決できる。こんなときに大活躍するのが内蔵ストロボだ。

 LX1のストロボはコンパクトタイプのデジカメにしては珍しいポップアップ式。ポップアップさせない限り絶対に発光しないので、設定を間違えてストロボを誤発光させる心配は皆無。さらに発光部を指で隠す失敗も防げる。なおポップアップ時は少しだけ撮影用レンズから距離が離れるが、発光部の位置に起因する問題は解決できない。

 内蔵ストロボの撮影可能範囲はワイド端、ISOオート設定時で60cmから4.1m。ガイドナンバーは公表されていないが、計算で求めることができる。ワイド端のレンズの開放F値は2.8なので4.1×2.8≒11。つまり単純計算したときのガイドナンバーは11だ。だがストロボ使用時はISOオートだとISO400まで上がるので、ISO100に換算するとガイドナンバーは約5.6。ガイドナンバーとしては頼りない数字だが、補助光としては十分な光量だ。というわけで、皆さんも逆光などのシーンで、コンパクトデジカメの内蔵ストロボを積極的に試してみてはいかがだろうか。


ストロボOFF。暗い室内に露出が合い、外の風景が露出オーバーになってしまった
3,840×2,160 / 1/10秒 / F4 / 0EV / ISO80 / 28mm
ストロボON。障子にストロボ光が当たったことで輝度差が少なくなり外光と室内のバランスが取れた
3,840×2,160 / 1/50秒 / F2.8 / -0.8EV / ISO80 / 28mm


URL
  松下電器
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/lx1/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 中村 文夫 )
2005/10/28 16:10
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