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最終回はやや路線を変更し、*ist Dシリーズの最新型、*ist DS2を中心に取り上げてみたい。*ist Dから数えて3世代、4製品目となる機種だ。また、新製品のDA 50-200mm F4-5.6 EDも試してみた。| 
 |  | 左から*ist DS+50mm F2.8 Macro、*ist DL+18-55mm、*ist DS2+50-200mm。いずれもそっくりで、型番のマークを見ないと見分けが付かない。さすが軽量路線だけあって、3台持ち歩いても比較的楽 |  
 この3機種、有効610万画素のCCDなどごく基本的な仕様は同等。これを踏まえ、まずはDLとDS2の違いを見てみる。
 
 DLのファインダーはペンタミラー、ナチュラルブライトマットIIスクリーンで、視野率96%、倍率0.85×(50mm F1.4・∞)、視度調整機構付き(-2.5~+1.5m-1)、フォーカシングスクリーン固定式。DS2はペンタプリズム、ナチュラルブライトマットフォーカシングスクリーン、視野率95%、倍率0.95×(50mm F1.4・∞)、視度調整機構付き(-2.5~+1.5m-1)、フォーカシングスクリーン交換式となっている。
 
 簡単にいえば、DLのペンタミラーはペンタプリズムより低価格だがやや見え方が劣る。その分をマットスクリーンを改良して補っているということ。また倍率が0.85倍とやや小さいが、これはファインダーの中が実際より小さく見えることを示している。もし等倍(1.0倍)であれば、両目を開いてファインダーの中と外をいっぺんに見たときに、違和感なくつながって見える。ただし倍率はズームの焦点距離によって変わるので、等倍のカメラでも焦点距離は調整する必要がある。DS2のほうが0.95倍でやや大きいので、要はDS2のほうがファインダーはよく見えるということだが、使っていて大差があるかといえば、実用上それほどではない。
 
 また、測距点がDS2の11点に対し、DLは3点と少ない。それ以上に差が付くのがDLにおけるスーパーインポーズの省略で、DLでは任意選択もできないし、どの測距点を使っているのかもわからない。このあたりが初心者層をターゲットとしていると見た決め手である。それに対してDS2は、中央に3×3の9つのクロスセンサーを配置。外側にさらに2つのAFポイントを設けている。数の問題もあるが、DS2のAFセンサーの配置は比較的広くおかれており、このあたりはかなり好感が持てる。他社製品の場合、数が多くても中央に集中している機種もある。
 
 
本体重量はDLが470gと、DS2の505gより35g軽い。単三電池を使用するので撮影時重量は一概にいえないが、アルカリ電池4本なら追加重量は90g程度、ニッケル水素充電池4本なら100g程度。CR-V3を2本なら70g程度なので、さらに軽くできる。また、「DA 40mm F2.8 Limited」は90gなので、これを付ければ最軽量だ。| 
 |  | *ist DS2。*ist DLとの外見上の違いは、青い製品バッジ(DLは赤)くらいしかない |  
 次にDS2とDSの比較。最大の違いは2.5型液晶モニターの採用になる。画素数はどちらも21万画素で同じだが、DS2の2.5型はDSの2型よりはっきり大きくて見やすい。表示される文字サイズも大きいので、メニューの見やすさは液晶サイズの差以上にある。あとはマイナーなチェンジで、P/Tv/Av/M/Bモード時にMENUからAF.SとAF.Cの切替が可能になったこと。再生時のデジタルフィルターは、白黒、セピア、ソフト、スリムの4種類のままだが、ソフト量を3段階に調整できるようになったこと。感度設定にAUTOが追加されたことなど。
 
 DS2とDSの書き込み速度の差については、筆者の環境でその差はよくわからなかった。
 
 使用したのはKingMax40倍速(7MB/secと思われる)の512MBと、松下電器PRO HIGH SPEED(20MB/sec)の512MB。以下はMF、1/250秒、F2.8、太陽光で連写した速度。*ist DLのみバッファが少ない関係で、*ist DS2および*ist DSと、*ist DLではテストした撮影コマ数が異なるので注意。
 
RAW書き込み速度
|  | 松下電器 | KingMax |  
| *ist DS2(RAW5枚) | 14.5 | 12.8 |  
| *ist DS(RAW5枚) | 14.6 | 12.9 |  
| *ist DL(RAW3枚) | 9.2 | 8.3 |  
 
JPEG書き込み速度
|  | 松下電器 | KingMax |  
| *ist DS2(JPEG10枚) | 4.3 | 3.8 |  
| *ist DS(JPEG10枚) | 4.7 | 3.9 |  
| *ist DL(JPEG5枚) | 3.3 | 2.6 |  
 手計測なので数値は参考程度に見てもらいたいが、有意差を感じるほど速くなったとはいえないだろう。ただ、1枚あたりになおすとRAWでも2~3秒、JPEGなら0.5秒もかからずに書き込んでいるので、無限連写を期待するのでなければ、まず問題はない。このレポート中でも、書き込みに関する不満は一度も感じることはなかった。
 
 DLは従来のラインからはずれ、より初心者レベルの普及層を意識した製品であり、コンパクトデジカメの代わりにこちらを買ってもらおうという発想がある。携帯電話でもここにきて通話しかできない機種がシェアを伸ばしているように、豊富な機能を邪魔に思う層も確かに存在する。カメラも同じで、シンプルな機能を好むユーザーもけっこう数多くいるはずだ。そのような人たちにはDLを。実売価格も1万円程度DLが安い。より上級を目指す層にはDS2をという住み分けも考えられるだろう。
 
 ■ *ist DS2/DL/DS撮り比べ※掲載する作例は撮影画像をリネームしたものです。 ※キャプションの作例データは、機種/使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/35mm判換算での焦点距離を表します。
 
 
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| *ist DS2 / DA 18-55mm F3.5-5.6 AL / 3,008×2,000 / 1/800秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 27mm | *ist DL / DA 18-55mm F3.5-5.6 AL / 3,008×2,000 / 1/800秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 27mm |  
 
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| *ist DS / DA 18-55mm F3.5-5.6 AL / 3,008×2,000 / 1/800秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 27mm |  
 
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| *ist DS2 / DA 18-55mm F3.5-5.6 AL / 3,008×2,000 / 1/800秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / 27mm | *ist DL / DA 18-55mm F3.5-5.6 AL / 3,008×2,000 / 1/640秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / 27mm |  
 
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| *ist DS / DA 18-55mm F3.5-5.6 AL / 3,008×2,000 / 1/800秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / 27mm |  
 ■ *ist DS2作例 
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| 暗いレンズだがボケはなかなかきれい。背景が遠ければ短い最短撮影距離を活かしてボケを楽しむこともできるレンズだ *ist DS2 / DA 50-200mm F4-5.6 ED / 3,008×2,000 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 300mm
 | シロバナの彼岸花にスポットが当たり、背景がちょうど良く落ちてくれた。うっすらと出ている草むらもきれいなボケ方をしており、嫌みがない *ist DS2 / DA 50-200mm F4-5.6 ED / 3,008×2,000 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 300mm
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| 背景が明るいので+0.3EVの補正をかける。こういう場面でなかなかピンポイントにAFがあわないが、2~3枚撮ればこの程度にはピントがあう。どの機種を使うにしても同じだが、こういうときは連写ではなく、ピントを合わせなおしながら枚数を撮るのがよい *ist DS2 / DA 50-200mm F4-5.6 ED / 3,008×2,000 / 1/125秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO200 / 300mm
 | 鴨の中になぜか一羽のサギ。あまり見かけない不思議な光景だ。こういうときに50-200mmのような軽い望遠は重宝する。F2.8だと予備に持って行くには重すぎる。押さえで持つには小型軽量が一番だ *ist DS2 / DA 50-200mm F4-5.6 ED / 3,008×2,000 / 1/1,250秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO200 / 300mm
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| 開放F4-5.6のレンズながらボケはなかなかのもの。暗めのレンズとはいえ、これくらいの描写力があれば買いたい気になる *ist DS2 / DA 50-200mm F4-5.6 ED / 3,008×2,000 / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 300mm
 | 下に前ボケの葉が入り、後ボケとサンドイッチになった。-0.3EVしか補正していなが、ちょうどよい色合いが出ている。コンパクトデジカメだと-0.7~1EV程度の補正をかける場面なので、やはり一眼レフだけあってゆとりがある *ist DS2 / DA 50mm F2.8 Macro / 3,008×2,000 / 1/1,600秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO200 / 75mm
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| ルコウソウ。こういうときはどんなカメラでもAFはあてにならない。結局、MFでピントを固定し、体を前後させて何枚も撮影する *ist DS2 / DA 50mm F2.8 Macro / 3,008×2,000 / 1/1,000秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO200 / 75mm
 | 昼寝中の所、ちょっとおじゃまして目線をもらった。露出補正なしで適正露出に。AEの分割パターンを見ても中央部に重点が置かれており、周辺部の影響は受けにくいように思われる *ist DS2 / DA 50mm F2.8 Macro / 3,008×2,000 / 1/1,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 75mm
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 ■ 50-200mmと50mm Macroの比較最後にズームレンズの50-200mm F4-5.6とマクロレンズの50mm F2.8の比較。もちろん描写はD FA 50mm F2.8 Macroを開放で使うのが一番きれいだが、背景の花の位置に注目してほしい。50-200mmの200mm側にある下側の花が、50mm Macroでは後ろに隠れる。50mm Macroでも入れたかったが、ボケを生かしたいと最接近するとうまく入らない。焦点距離(画角)の違いは背景処理の違いにもつながる例。 
 
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| *ist DS2 / DA 50-200mm F4- Macro / 3,008×2,000 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 300mm | *ist DS2 / D FA 50mm F2.8 Macro / 3,008×2,000 / 1/800秒 / F5 / 0EV / ISO200 / 75mm | *ist DS2 / D FA 50mm F2.8 Macro / 3,008×2,000 / 1/2,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 75mm |  
 ■ URL
 ペンタックス
 http://www.pentax.co.jp/
 製品情報(*ist DS2)
 http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-ds2/
 製品情報(*ist DL)
 http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-dl/
 製品情報(*ist DS)
 http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-ds/
 レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(*ist DL)
 http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#istdl
 
 
 ( 安孫子 卓郎 )
 2005/09/30 00:49
 
  
 
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