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ペンタックス *ist DL【第3回】
夜の屋台スナップは明るい単焦点で

Reported by 安孫子 卓郎


FA 43mm F1.9 Limited(シルバー)を装着した*ist DL
 今回は花火大会の前後のお話。とにかく花火大会というやつは混雑する。帰りの電車は超満員で、車で行けば大渋滞とひどいことになるが、それでも行きたくなるものだ。よくあるのがグラウンド、河原、海辺などで行なわれる形式で、観客席のないところがまだ多く、会場の定員も設けられていない。何万人でも何十万人でも、くればくるだけ詰め込むから大変である。

 とりあえず、場所取りをしなくてはならない。ほかのイベントでもそうだが、筆者は最低2時間前の到着を目安にしている。1時間前では場所がないことが多い。かといって、3時間以上だと待つのがつらい。

 たとえば、前回掲載した相模湖湖上祭花火大会の場合。開催地の相模湖町には、神奈川県内からの交通の便がないに等しい。JR中央本線が通っているので、八王子や立川など東京からの人出が大半で、残りは山梨方面からが多い。だいたい毎年8月1日に行なわれているようだが、今年は明治神宮の花火大会と重なったためだろうか、例年よりも人出は少なく、混雑はあったものの比較的楽だった。

 現地に到着後、湖の上に並べられた有料の観覧席(2,000円)を予約して、時間まで湖畔をぶらついてみる。天候は曇り時々晴れ。夕方でやや涼しくはなってきたものの、日差しのある場所を歩く気にはならない。木陰を選んでいるため、明るさをチェックしながらの撮影である。

 セットレンズのDA 18-55mm F3.5-5.6 ALは軽くて使いやすいのだが、いかんせん暗い。ワイド側はよいとして、テレ側のF5.6は、低感度だと手ブレする危険性がある。夕方の撮影では、うっかりするとブレブレになることもあるので、できる限りワイド側を使い、さらに暗くなってきたらISO400に増感するように気を配った。といっても会場の近場をうろついていただけなので成果は少なし。

※作例のリンク先は、撮影画像をコピー後、リネームしたものです。
※作例データのキャプションは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出制御モード/露出時間/レンズF値/露出補正値(EV)/ISO感度/35mm判での焦点距離(mm)です。


レンズセット付属の18-55mm F3.5-5.6で打ち上げ前のスナップ
DA 18-55mm F3.5-5.6 AL / 3,008×2,000 / プログラムAE / 1/400秒 / F8 / 0 / 200 / 27
湖畔を散歩する犬を写させてもらった。黒なので露出が引っ張られ、背景は飛び気味
DA 18-55mm F3.5-5.6 AL / 3,008×2,000 / プログラムAE / 1/60秒 / F5 / 0 / 200 / 27

ユリと送電線。最初ストレートに撮影したが、物足りなかったので内蔵ストロボで日中シンクロを試みる
DA 18-55mm F3.5-5.6 AL / 3,008×2,000 / プログラムAE / 1/180秒 / F14 / 0 / 200 / 27

 花火が終了。相模湖駅までの間、夜店などをスナップすることにした。そこで、レンズをFA 43mm F1.9 Limitedに付け替える。このレンズは実にすばらしく、43mmと比較的短い焦点距離にもかかわらず、なめらかな美しいボケを見せる。フォクトレンダーのウルトロン28mm F1.9(ライカLマウント)と並ぶ絶品レンズだと思っているが、*ist DLに装着すると焦点距離が1.5倍(64mm相当)になるため、スナップ用にはやや長い。必要な光景を写し取ろうとすると距離を取らなければならず、間に人が入ることも多くて困る。もう少し焦点距離の短いレンズとしては、FA 31mm F1.8 AL Limitedがあるが、高くてまだ買えずにいる。


FA 43mm F1.9 Limited(シルバー)

 セットレンズを使わなかったのは、明るいレンズがほしかったからである。レンズが暗いなら増感すればよいと思いがちだが、増感すれば白飛びが激しくなり、夜店など光源が直接入る撮影には向かなくなる。できるだけ低い感度で撮影したほうが好ましい。手ブレ補正レンズもよいが、明るいレンズでシャッター速度を稼げればもっとよい。

 ISO感度は400で、どうしても暗い場合に800にしている。*ist DLは1600でも比較的ノイズが少ないが、増感するほど白飛びが激しくなるので、できるだけ低い感度を設定した。ちなみに撮影モードはプログラムAE。測距位置がわからないカメラで、かつ被写界深度の浅いレンズなので、余裕があれば絞りたいという意味だ。

 第1回に書いた*ist DLのバッテリーだが、当初使用した東芝製のアルカリ電池4本で、花火撮影の途中まで計293枚の撮影ができた。山中湖畔の夜景や花火の撮影は長時間露光であり、ノイズリダクション処理も行っている。ノイズリダクションはかなりバッテリーを消費していると思われるので、おそらく通常の撮影ならば300枚以上は可能だろう。


タングステンの明かりをオートで補正したいが、夜店の雰囲気は残したい。オートかデーライトで迷うシーンだ。こんな時、*ist DLでは不可能だが、色温度をケルビン単位で直接指定する小技が効く
FA 43mm F1.9 Limited / 3,008×2,000 / プログラムAE / 1/400秒 / F2.8 / 0 / 400 / 64
子どもが通りかかるのを待って撮影したいが人通りが多く、ほとんどのカットで間に人が入った。やはりスナップはワイドに限る
FA 43mm F1.9 Limited / 3,008×2,000 / プログラムAE / 1/125秒 / F2.8 / 0 / 400 / 64


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報(*ist DL)
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-dl/
  製品情報(FA 43mm F1.9 Limited)
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/lens/index35_normal.html#01
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(*ist DL)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#istdl
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 安孫子 卓郎 )
2005/08/12 00:08
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