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ニコン D50【第4回】
こどもスナップモードを試す

Reported by 本誌:田中 真一郎


 D50ならではの機能としてよく取り上げられるのが「こどもスナップモード」だ。説明書によれば「子どもの表情をいきいきと」撮るためのモードなのだそうで、「肌の色を美しく表現すると同時に、服装や背景も鮮やかに仕上げる」ということになっている。

 そこで、こどもスナップモードをプログラムAEやポートレートモードなどと比較してみた。撮影時の天候は曇り。落ち着きのないモデルゆえ、厳密な比較撮影になっていないが、ご容赦いただきたい。


※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプションの撮影データは、画像解像度(ピクセル)/露出時間(秒)/絞り値(F)/露出補正値(EV)/ISO感度/レンズ焦点距離(35mm判換算、mm)です。


【プログラムAE】
3,008×2,000 / 1/160(秒) / 6.3 / 0 / 200 / 36
【こどもスナップモード】
3,008×2,000 / 1/250(秒) / 5.6 / 0 / 220 / 36

 プログラムAEとこどもスナップの違いとしてすぐにわかるのは、カラー設定が「モードIIIa」から「モードIa」になることだ。ニコン デジタル一眼は、D70sまでは頑なに工場出荷時設定をモードIaとして、「素材性重視」の絵作りを基本としてきた。このために、他社製のデジカメと比べると「ぱっとしない」という評価をされることもあったのだが、D50ではユーザー層を考慮したのか、ぱっと見のよさを重視してきた。工場出荷設定がモードIIIaとなったのもその表れのひとつだが、こどもスナップモードではなぜかモードIaに設定される。

 実際、こどもスナップよりもプログラムAEのほうが地面のレンガ色やシャツの黄色の出方が派手だ。一方で肌の色はこどもスナップのほうが自然で、プログラムAEに見られるような暗部のくすみなどは見られない。


【プログラムAE】
3,008×2,000 / 1/50(秒) / 3.5 / 0 / 400 / 27
【こどもスナップモード】
3,008×2,000 / 1/60(秒) / 3.5 / 0 / 560 / 27

 上記は室内で撮影したもの。こどもスナップではISO感度を積極的に上げて、シャッタースピードの低下を防ごうとしてくれるようだ。ただしこれは、プログラムAEでも「感度自動制御」を設定しておけば、シャッタースピードが設定した値以下になるときは自動的にISO感度が上がるようになっている。感度の上げ方が変わっているのかもしれないが、筆者がこれまで試した限りでは違いがわからなかった。

 このほかには、AFモードがAF-Aになる。これはAF-CやAF-Sに変更したくてもできないが、AF-Aのままで困ったという経験はない。

 AFエリアモードは至近優先ダイナミックになって、なるべく近くの被写体にフォーカスを合わせようとする。こちらはシングルにもダイナミックにも変更できる。子どもを撮る時はたいてい、被写体となる子どもに近づいているものだけど、子どもより手前にどうでもいいものが入ってしまうことだってあるから、これはありがたい。


こどもスナップモードやポートレートモードには、左肩のモードダイヤルで切り替える こどもスナップモードやポートレートモードでは、AFモードが選べない 同様に仕上がり設定やホワイトバランス、ISO感度設定なども既定値に固定される

【ポートレートモード】
3,008×2,000 / 1/500(秒) / 4 / 0 / 220 / 36
 さて人物撮影用のモードとして「ポートレートモード」というのも用意されている。こちらもカラー設定がモードIaに、AFモードがAF-Aに、AFエリアモードが至近優先ダイナミックになるので、こどもスナップとあまり変わらないように見える。しかし、肌の色の出方に若干の違いが見られ、こどもスナップのほうがやや黄色がかって、すこし派手めに見えるように思われる。同じモードIaでも画像処理を変えているのだろうか。個人的には肌の表現はポートレートモードが好ましく思えた。

 プログラムラインだが、プログラムAE、こどもスナップ、ポートレートの順に絞りが開くようになっているようだ。汎用性重視で被写界深度優先のプログラムAE、背景のボケ重視のポートレート、被写体が動きがちなので被写界深度と背景のボケをバランスさせたこどもスナップ、と考えるときれいにハマるが、掲載していない例では必ずしもここまできれいに揃っていないこともあるので、なんとも言いようがない。


画像表示操作の話の続き

十字キーの操作方向はコマンドダイヤルに関係があった?
 前回、画像表示の操作時に、十字キーの上下と左右の操作がこれまでのニコン デジタル一眼とは逆になった、という愚痴を書いた。D50からは、それまで上下キーに割り当てられていた再生画像の送り/戻しが、左右キーに変わったのだ。今回もしつこくこのことを書いてみる。

 なぜこのように変更されたのかという理由らしきことがわかったのだ。D50では、本体背面右上のコマンドキーを左右に回転させることで、画像の送り/戻しができるようになっていることを発見したのである。十字キーの左右で送り/戻しをするのは、コマンドキーと操作方向を合わせるためではないかと思われる。

 説明書にはコマンドキーによる画像の送り/戻しのことがちゃんと書いてあるのだが、D100ユーザーである筆者には画像表示時にはコマンドキーは拡大縮小にしか使わない、という思い込みがあったので、これまで気が付かなかった。

 どうして気づいたのかというと、撮影直後にシャッタースピードや絞りをコマンドダイヤルで変えようとしても、変えられないことがあったからだ。

 工場出荷時設定では「撮影画像確認」という機能がONになっている。ONになっていると、撮影直後に撮影した画像を液晶モニタに表示してくれる。約20秒間、またはシャッターボタンを半押しするまでは表示され続けているのだが、これが表示されている間はコマンドダイヤルで露出関連の操作ができない。コマンドダイヤルを操作すると、画像が送り/戻しされてしまうのだ。だから、シャッターボタンを半押しして画像表示をキャンセルしてやってからでないと、露出を変えられらない。

 コマンドダイヤルによる画像の送り/戻しは非常に快適で、たいへん便利だと思う。が、シャッターボタンを半押ししないと露出を変えられない、というのが非常にまだるっこしく感じられるのも事実だ。撮影画像確認時はコマンドキーの画像送り/戻しをキャンセルできて、十字キーの操作方向もカスタマイズできるといいな、と思った次第。

 なお、D2Xでは十字キーの操作方向をカスタマイズできるそうだ。操作を統一したかったら、D50に合わせるしかない。今のところは。



URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/digital/slr/d50


( 本誌:田中 真一郎 )
2005/07/21 01:28
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