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富士フイルム FinePix F10【第6回】
猫を撮る(その2)

Reported by 大原 雄介


 「もっと素晴らしい方法」とは何か?というと、「動画モードで撮影する」である。何かいきなり石が飛んできそうであるが、これはこれでデジカメらしい使い方だと思う。論より証拠、Movie1やMovie2を御覧いただきたい。この時期の猫に特有な愛らしさがしっかり伝わる事がお判りいただけよう。

Movie1
320×240ピクセル、30fps、AVI 1.0(Motion JPEG) 5秒
Movie2
320×240ピクセル、30fps、AVI 1.0(Motion JPEG) 10秒


 この手の動画撮影機能はそれほど珍しいものではない。このサイズのデジカメなら、色々機能に違いはあれど、大体動画撮影機能を持っている。にもかかわらず猫撮りに向いていると思うのは

長時間撮影可能
 512MBのxDピクチャーカードの場合、640×480ピクセルなら7分26秒、320×240ピクセルなら14分39秒の連続撮影が可能である。

レスポンスが速い
 シャッターを押した瞬間にすぐ撮影が始まり、もう一度シャッターを押すと(ハーフシャッターでも可)バッファからの書き込みが始まるわけだが、このバッファからの書き込みはせいぜい数秒間。つまりxDピクチャーカードにはほぼリアルタイムで書き込み出来ているため、撮影が終ってからすぐ次の撮影に掛かれる。

明るい
 これはちょっと説明が要るだろう。FinePix F10では動画モードにおける設定項目は解像度の切り替えしかない。従って感度とかは全部自動調整となるわけだが、このあたりでISO1600がフルに発揮されているらしい。Movie1/2は(珍しく)太陽光が当たっている時の撮影だったから明るさは十分なわけだが、暗い場合は自動的に感度を上げてくれるようだ。Movie3は、普段4匹が寝ているダンボールハウスの中で姉妹喧嘩している2匹の例だが、3フレーム目、6フレーム目、9フレーム目でそれぞれ感度が上げられており、結構暗いシーンにも関わらずかなり明るく写っているのが確認できる筈だ。

Movie3
320×240ピクセル、30fps、AVI 1.0(Motion JPEG) 9秒


マイクの感度が良く、ノイズが少ない
 Movie1で滑り落ちるとき、爪を立てたジーンズがバリバリ言う音とか、Movie2での他の猫の鳴き声あたりまでちゃんと拾ってくれるのはかなり好ましい。当然撮影中はコチラの物音も拾ってしまうので、変な音を立てないようにしなければならないが、わざわざ別にマイクなどを用意しなくても済むのは非常に嬉しい。

 まぁ当然、欠点もある。やはり接近するとフォーカスが合わないのはまぁ仕方が無い。動画モードではマクロが無いので、接近されるとボケてしまうのは致し方ないところか。ただ写真だと、ここまでボケると失敗ということになるが、ボケてるなりに鑑賞に耐えうるのはやはり動画のお陰であろう。

 もうひとつの問題はMJPEGを使っていること。MJPEGは簡単にエンコードできるからカメラ側の負荷が少なくて良いのだが、

CODECが一般的ではない
 Windows環境の場合、MJPEG Codecは、WindowsではDirectX 8.0a以降でサポートされているので、最新のDirectXを使えば一応見ることに問題はない。ただ、DirectX 8.0以前の環境だと何かしらCodecを入手しないと再生できない。Macintoshの方はこのあたり多少柔軟で、QuickTimeでMotion JPEGをサポートしているため、あまり意識しないで済む。Linux系の場合、MJPEG Tools( http://mjpeg.sourceforge.net/ )あたりから何かツールを落としてきて、別フォーマットに変換するという手間が掛かるが、一応ハンドリングは可能だ。

サイズがデカイ
 例えばMovie2は、たった10秒のMovieなのにサイズは5.8MB近い。何でこんなに大きいかといえば、フレーム毎に圧縮を掛けているからで、MPEG-1/2/4などに比べると極端に効率が悪い。この5.8MB、HDDに保存するなら別にそれほど困らないサイズだが、Webなどで公開するにはあまりにサイズが大きすぎである。

という問題がある。何らかのフォーマット変換を掛けたほうが、Webなどでの公開には適しているようだ。そんなわけで、3つほど試してみることにした。

●MPEG-1(MainConcept Motion JPEG Codec 3.2.4+TMPGEnc V2.524)
 筆者の環境(Windows 2000 Professional SP4+DirectX 9.0c)では、Motion JPEGを見ることはできたのだが、TMPGEnc( http://www.tmpgenc.net/ )でのエンコードは出来なかった。そこでMainConcept( http://www.mainconcept.com/ )Motion JPEG Codec 3.2.4を組み込んで、250KbpsのMPEG-1(音声は32KbpsのMPEG-1 Audio LayerII)にしてみた。

Movie4 (MPEG-1変換後)
320×240ピクセル、30fps、MPEG-1 15秒 493KB


●DivX(TMPGEnc V2.524+DivX Pro 5.2.1 for Windows)
 ネット系では広く利用されているのがDivX( http://www.divx.com/divx/divxpro/ )。ビットレートは250Kbpsに設定し、Portable Profile、2-pass、低速エンコードとし、更に心理視覚モデルを低速でセットした。音声はMP3で32Kbpsモノラルである。

Movie5(DivX変換後)
320×240ピクセル、30fps、DivX 15秒 554KB


●WMV9(Windows Media Encoder 9)
 Windowsでは標準であるWMVフォーマット。今回はMicrosoftからWindows Media Encoder 9を入手( http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/9series/encoder/default.aspx )し、VHS品質ビデオ(250Kbps CBR)とCD品質オーディオ(CBR)に設定の上、2パスエンコードを使って変換した。

Movie6(WMV9変換後)
320×240ピクセル、30fps、WMV9 16秒 860KB


 さて、結果を見比べていただけると判るが、画質には色々議論はあるにせよ、1MB未満までサイズが落ちてかなり現実的になったと筆者は感じている。個人的にはDivXが一番好きだが、このあたりは好みもあるだろう(再生にもDivX Codecを入手しないといけないのが、ちょっと面倒なところだ)。とにかく記録したMovieをそのまま配布するのは迷惑なので、何かしら別フォーマットにエンコードしなおすのが賢明というところだろう



( 大原 雄介 )
2005/05/13 13:31
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