作例を撮り溜めて、さて原稿をと思った矢先に掲載されたのが安孫子卓郎氏のこの原稿( http://dc.watch.impress.co.jp/cda/special/2005/05/02/1475.html )。「うわー、被った」と思ったのだが、幸い(?)安孫子氏の原稿は屋外の猫をメインとしたもの。一方筆者は屋内をメインとしたもので、しかもだいぶ被写体の種類(?)が違う。ということで、これはこれでご紹介しようかと思う。
さて、先月下旬から我が家には乳飲み子が4匹ほどいる。元々ビニール袋に入れられ、ゴミ箱に入れて捨てられていたのを知人が発見・保護したもので、とりあえず離乳まで我が家で預かっている状態で、その間に知人には里親探しをお願いしている(興味あるかたはコチラ http://www.nekobaka.com/tomorrow/bosyu/bosyu_2.html まで)訳であるが、そうなると里親を探すためにも写真でのアピールは欠かせない。
ところが、この乳飲み子というのは物凄く撮りにくい。なぜかと言えば
・おとなしくしてる訳がないから、被写体ブレしやすい
・当然ながら体格も小さいので、接近して撮らないといけない
・周囲を明るくするのは難しい。ある程度大きくなれば別だが、最初のうちはミルクを飲んで眠るのがお仕事の皆様だけに、明るくすると眠る妨げになりかねない
というあたり。まぁ3番目に関しては、撮影時だけ照明を追加するという案も無くはないのだが、現実問題としてそんな照明器具もなければ、ミルクやトイレの世話の邪魔になるという話もあり、薄暗い部屋の中でなんとか撮影せねばならない。ついでに言えば、まだ昼とか夜とかの概念が無い皆様なので、撮影はしばしば真夜中とか明け方になってしまい、窓の近くで太陽光を使い……という技も使いにくい。
とりあえず、何も考えずにNaturalモードを使うとこんな感じになる(Photo1)。1/7秒ではいくらなんでも手ブレを防ぐのは無理で、被写体ブレ云々の前に手ブレが抑えきれない。そこで結局撮影モードをAutoに戻し、フラッシュを使って撮影することになるわけだが(Photo2)、やや色味が変わってしまっているし、これでもまだ微妙に被写体ブレがある。ついでに言えば、Exifデータを見ると「フォーカス状態:不良」とあるように、微妙にピントも合っていない。こんな具合に折り重なっていると、絞りを深くして被写界深度を増さないと、全員にピントを合わせるのは難しいようだ。
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Photo1
2,048×1,536 / プログラムAE / ISO1600 / F3.73 / 1/7秒 / 0EV / 14.1mm
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Photo2
2,048×1,536 / プログラムAE / ISO200 / F3.73 / 1/100秒 / 0EV / 14.1mm
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そこで思いついたのがスポーツモードの活用である。スポーツモードではシャッター優先になるから、少なくとも被写体ブレは大幅に減ると考えた訳だ。実際、被写体ボケは大幅に減る(Photo3)。距離をある程度取っておけば、フォーカスも合いやすい。
ところがスポーツモードを使うと、あまり寄れないという事が発覚した(Phtoo4)。運良くフォーカスが合えばちゃんとした写真が撮れる事も稀にあるのだが、殆どのケースでフォーカスがまるで合わない。結果としてPhoto4のようなピンぼけ写真が続出である。ちなみにPhoto4はかなりテレ端寄りでの撮影だが、スペック上はテレ端約30cmで撮影可能だから、きちんと写っても不思議ではないのだが。
「ではマクロモードにすれば」と思うのだが、スポーツモードではマクロの設定が出来ない。従って、広角側で撮影する分にはともかく、望遠側にするとか接近するといったケースでは、スポーツモードはまるで使えない、という結論にならざるをえない。
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Photo3
2,048×1,536 / スポーツモード / ISO80 / F2.8 / 1/100秒 / 0EV / 8.9mm
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Photo4
2,048×1,536 / スポーツモード / ISO80 / F2.8 / 1/100秒 / 0EV / 8mm
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おまけにマクロモードが、これはこれで大問題。室内の照明程度では不十分だったのか、マクロモードにするとAF補助光が点灯する。マクロの場合、そうでなくても遅いフォーカス動作が更に遅くなる関係で、結果的にAF補助光が点きっぱなしになり、延々と猫を照らす訳だ。そうなるとチビどもは「まぶしい」とばかりに顔を背けてしまい(目が開いているとはいえ、実際に見えるわけではない。が、明るさは判るようで、補助光が長時間当たると顔を背けられてしまう)、なかなか良い写真が取れない。
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Photo05
2,048×1,536 / プログラムAE / ISO80 / F2.8 / 1/100秒 / 0EV / 8mm
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結局ある程度寄ろうと思った場合、ノーマルモードで強制フラッシュ、ISO80固定で近づくのが一番無難という結論に達した(Photo5)。Photo5のアングルからもおわかりの通り、カメラと被写体の距離は40cm前後。このあたりがフォーカスがさっさと合ってくれる限界で、これより接近すると、失敗する公算が非常に大きくなる。「フォーカス合わせに時間がかかる」、「寄れない」というのは、この手の猫を撮影するのには非常に辛いところである。
ところがどっこい、もっと素晴らしい方法がちゃんとFinePix F10にはあった。次回はこれをご報告したい。
( 大原 雄介 )
2005/05/06 00:01
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