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キヤノンEOS 20D【第18回】
全日本モトクロス開幕戦に挑戦

Reported by 奥川 浩彦


全日本モトクロス。コースと観客は近い
 春になりモータースポーツも各地で開幕を向かえている。今日は奈良県で開催される全日本モトクロス選手権近畿大会を撮影しよう。

 今回撮影するモトクロスは筆者お奨めのモータースポーツだ。アクションが派手で、ヒート制でレース数も多く、内容も解りやすい上、観戦料も安い。さらに、レース中も観客とマシンの距離が極めて近い。難点は晴れれば埃が舞い、雨になるとドロが飛んでくるので多少の覚悟がいること。また、撮影面では機材に対する負担がそれなりにあり、しかもサーキットのようにレコードラインが一定ではなく、コーナーではインベタで攻めるライダーもいれば、アウト側の土手を利用するライダーもいるので、レンズ選択など撮影全体に柔軟性が求められるのも特徴だ。

 2005年全日本モトクロスの開幕戦は小雨の中で始まった。最初の撮影はジャンピングスポット。ここでライダーは、およそビルの2階から3階の高さまで飛び上がる。

 モトクロスの華であるジャンプの高さを表現するのは難しい。生で見ていると凄く、ムービーでもそこそこ迫力があるのだが、静止画でその魅力を伝えられないのが長年の悩みだ。撮影場所とコースとの距離は10m弱なのでEF-S17-85mmを使用している。青いYAMAHAが1台だけ写っている画像は、高速シャッターで動きを止めるのではなく、多少動きを表現できる様に1/160秒に設定した。

 フォーミュラーマシンはヘルメットが動きの芯となり、マシンの前後はブレるように撮りたいと思っている。モトクロスの場合はヘルメットを芯にするとマシン全体がぶれてしまいバランスがよくない。全体の中心となるガソリンタンク、ナンバー、エンジン辺りに芯が来るのが筆者の好みだ。ジャンプシーンの画像としては普通にまとまっていると思うが、生で見ているジャンプの高さや迫力は残念ながら伝わっていない。

 同じ場所で撮影した黄色いSUZUKIが3台写っている画像は、焦点距離をワイド側にしたことでやや高さが感じられるだろう。1台だと空間が寂しいので、3台が同時に飛んだ瞬間を狙ってシャッターを切った。ワイドはブレが減るので、シャッター速度を落として動きを出しているが、その分186番のエンジン付近の芯がしっかりしていない。この辺りは筆者の技量の問題か。


※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、画像解像度(ピクセル)/露出プログラム/露出時間/絞り値/ISO感度/焦点距離です。


シャッター速度は1/160秒、ズームは65mm。タンク、エンジンをぶれの芯にする
3,504×2,336 / シャッター速度優先AE / 1/160(秒) / F10 / 200 / 65(mm)
1/100秒、ズームは35mm。ワイドに撮影することで高さを表現
3,504×2,336 / シャッター速度優先AE / 1/100(秒) / F20 / 400 / 35(mm)

 午後になって雨も止み、コースも乾いた。スタート直後のコーナーへ場所を移動する。同じくEF-S17-85mmでコーナーリングを正面から撮影する。この場所は立っている土手の1m下を駆け抜けるマシンもいて、カメラ全体に砂粒が付くほど埃っぽい。さすがにこの状況でレンズ交換をするのは気が引ける。正面を撮影後、同じ場所で駆け抜けたマシンの後ろ姿を撮影。もう少し望遠で撮りたいと思うが、レンズ交換をためらい、そのままフレーミングで切り抜けることにする。ライダーの背中を上部に配置し後塵を中心に配置することでバランスをとる。

 次の撮影場所は、最初に撮影したジャンピングポイントに続くウォッシュボード(洗濯板)だ。ペアピンをクリアし大きくジャンプ、その後小さめの凹凸が連続する直線をEF300mm F4で正面から撮影する。イメージとしては、ウォッシュボードを小さく飛ぶライダーを主役としてピントを合わせ、後方で大きくジャンプするライダーを脇役にフレームの中に入れたい。手前のライダーにAFを追従させつつ、意識は後方で飛び上がるライダーのタイミングに合わせてシャッターを切る。ライダーの位置関係は偶然に支配され、ピントもライダーのヘルメットにピッタリ来るとは限らないので確率は低い。


コーナーリングを正面から撮影。ここは砂埃がすごい
3,504×2,336 / シャッター速度優先AE / 1/320(秒) / F8 / 200 / 85(mm)

 122番を撮影した画像だが、主役の写り具合は問題なく、バックにジャンプするライダーも写っていてそこそこの出来だと思う。しかし残念なのは、主役のライダーが瞬きしたためか、眼を閉じている。61番が主役の画像はライダーの鋭い視線も写っていてバッチリ。後続2台の位置関係も悪くないのだが、その後ろで大きくジャンプしているライダーが主役61番の背中に隠れてしまった。

 22番が主役の画像は肝心の主役が小さい。もう1つ近くのウォッシュボードのところで撮りたいが後続のライダーのジャンプに合わせてシャッターを切ったので、位置関係が合わなかった。主役が小さい分ジャンプするライダーが高く見えるので構図としては悪くない。撮影中は気付かなかったが×1.4のテレコンバーターを加える手もありかと思う。こんな感じで納得できることは少ないが、レースは生き物なので思い通りに撮れないのがまた面白いともいえる。


ライダーの後ろ姿と後塵をバランスさせて撮影
2,336×3,504 / シャッター速度優先AE / 1/500(秒) / F7.1 / 400 / 85(mm)
主役のライダーが眼を閉じているのが残念
2,336×3,504 / シャッター速度優先AE / 1/640(秒) / F8 / 400 / 300(mm)

ライダーの鋭い視線はいいが、後ろでジャンプするライダーが隠れてしまった
2,336×3,504 / シャッター速度優先AE / 1/800(秒) / F7.1 / 400 / 300(mm)
手前のライダーが小さい。後ろのジャンパーとの位置関係はいい
2,336×3,504 / シャッター速度優先AE / 1/800(秒) / F7.1 / 400 / 300(mm)

 さらに場所を移動して別のジャンピングポイントを正面から撮る。ここもレンズはEF300mm F4。筆者の位置が高いせいもありイマイチジャンプの高さや迫力が伝わらない。後続14番のライダーはこの後坂を下ってジャンプするのでもう少し低い位置に写っていると多少変わる気もする。このあたりの位置関係は撮影者にコントロールできないので、何度も通って撮影し運がくるのを待とう。

 最後は流し撮りだ。モトクロスの流し撮りはサーキットと比べ距離が近いので標準ズームで撮影可能だ。難しいのは姿勢変化が激しく上下の動きも加わるのでブレの芯が定まりにくい。6番のマシンも全体の感じはそこそこ動きがあり悪くないが、エンジン手前のラジエーターにブレの芯がきていてる。もう少し上、ゼッケンから胸のあたりだとよかった。


ジャンピングスポットを正面から撮影。イマイチ迫力が伝わらない
2,336×3,504 / シャッター速度優先AE / 1/640(秒) / F4.5 / 400 / 300(mm)
流し撮り。エンジン下部にブレの芯が来ている。もう少し上に持ってきたかった
3,504×2,336 / シャッター速度優先AE / 1/100(秒) / F5.6 / 200 / 72(mm)


URL
  キヤノン
  http://canon.jp
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/20d/
  全日本モトクロス選手権2005年スケジュール
  http://www.mfj.or.jp/user/contents/Watching-a-game_info2005/motocross/index.html#rece_schedule
  MFJレースムービー
  http://www.mfj.or.jp/user/contents/Watching-a-game_info2005/BBMFJ/


( 奥川 浩彦 )
2005/04/13 00:20
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