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オリンパスE-300【最終回】
ハズレのない交換レンズ群。もう少し安ければ……

Reported by 安孫子 卓郎


ED7-14mm F4とアングルファインダーVA-1を装着したところ。下に敷いているのはビーンズバック代わりのパッキングパック
 レンズセットで10万を切る価格で発売されたE-300は、EOS Kiss Digitalから始まった低価格化の波を推し進め、デジタル一眼レフを一般人のものとする価値ある役割を果たした。デジタルカメラの場合、後発機種が優れているのは当たり前で、上位機種よりもデジタル部分の性能が劣るようでは、いくら普及機でも後発としての価値を問われる。E-300は操作性や防塵・防滴性能こそE-1に劣るものの、AF速度や画像処理についてはE-1から大幅に向上しており、単に低価格を追求した廉価版ではないと評価したい。

 良く問題視される増感時のノイズについても、場の明るさに応じた感度で使う分には、十二分に使えると判断している。つまり、明るいところでは低感度で、暗いところでは条件に応じて増感するならば、という意味だ。ノイズについては、ノイズ量に加えて、高感度でいかに常用できるかが問われる昨今だが、場の明るさにあわせて、明るければ低感度で撮影する方がベストだろう。また、暗いシーンで黒ベタに潰れがちなところに、増感によって“適度な”ノイズが存在すると立体感が感じられ、自然な印象が得られる。

 とはいうものの、高感度でノイズが少ないのは悪いことではない。Eシステムに期待する部分としては、これ以上の画素の増加より、高感度により強く、あるいはAF性能の向上や連写性能の向上を望みたい。

 もうひとつ残念なのは測距点が3つしかないこと。普及機種ではAFをオートにして使うケースが多いものの、やはり3つというのは少ない。例えばE-1の後継機種が出るなら、せめて9つ、できればそれ以上の数の測距点を望みたい。


 10回にわたってE-300を色々なレンズと組み合わせてレポートしてきたが、改めて感じるのは交換レンズの優秀さである。ED 150mm F2.0、ED 300mm F2.8、さらに発売されたばかりのED 7-14mm F4などは特筆すべき性能を持っている。また14-54mm F2.8-3.5やED 50-200mm F2.8-3.5は明るくコンパクトで低価格。描写も良い上、近接能力も高く、逆光にも強い。絶賛するに値するレンズ群なのだが、値段が高目なのが気になる。秋にリリースが予告されているレンズも相当に値が張りそうだ。さらに残念なのは、明るい単焦点レンズがなかなか揃わないこと。ゴミの心配がないEシステムにこそ、メリットが活きるはずなのだが。

 高感度の分野でAPS-Cサイズ相当の撮像素子におくれを取るフォーサーズは、明るい単焦点レンズがないことでさらに不利になる。14mm、25mm、50mmあたりの焦点距離でF1.4クラスのレンズが5万~10万円でリリースされれば、増感できない分をレンズの明るさでカバーすることができる。35mm判サイズやAPS-C撮像素子では被写界深度が浅くピンぼけに成りやすい開放でも、フォーサーズなら一絞り以上の被写界深度が稼げるから問題ない。せっかくE-300レンズセットでフォーサーズの仲間入りをしたユーザーも、次が20万も30万もするレンズではなかなかステップアップすることもできない。この間をつなぐ手ごろな価格の単焦点レンズがあれば、入門ユーザーもステップアップしやすく、感度の不足も補うこともできる。一刻も早く、手ごろな価格で常用域をまかなう、明るい単焦点レンズを、ラインナップしてほしいものである。

※作例のリンク先は、撮影した画像データをコピー後にリネームしたものです。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、使用レンズ / 画像解像度 / 露出プログラム / 絞り値 / 露出時間 / 露出補正値 / ISO感度 / 焦点距離です。


2月発売のバリマグニアングルファインダーVA-1を使用した。縦横がワンタッチで切り替えられ、視野もクリアで使いやすい。E-1用とE-300用の2つのアタッチメントが同梱されているのもうれしい。筆者は腹這いになって撮影することが多く、今年はこのアイテムが活躍してくれそうだ。
ED50mm F2.0マクロ / 絞り優先AE / F2 / 1/1,250秒 / 0EV / ISO100 / 50mm
話題の超広角ズーム7-14mmは特筆するべき光学性能だ。なんといってもディストーションがほとんどなく、水平の直線を確保したまま撮影できるのは驚きを禁じ得ない。ズームとしては近来まれに見る広角レンズであり、単焦点レンズ並の性能といえるだろう(RAWで撮影後、OLYMPUS Studioで現像)。
ED7-14mm F4 / プログラムAE / F9 / 1/100秒 / -0.7EV / ISO100 / 7mm

低価格の軽量望遠ズームが40-150mm F3.5-4.5。この分野はサードパーティーを含めて種類が多い。その中で抜きん出ているわけではないが、望遠側がF4.5と半絞りでも明るいことは大きな意味を持つ。予備に持っていくとなかなか役に立つ。
40-150mm F3.5-4.5 / 絞り優先AE / F4.5 / 1/200秒 / -0.3EV / ISO200 / 150mm
E-300のさわやかな発色と共に春らしい1枚が撮れた。F値が変化することに不満を持つ人がいるようだが、半絞りのおかげでこれだけコンパクトで明るいズームが手に入るなら大満足。ディストーションもほとんどなく、最も使用頻度の高いレンズだ。
14-54mm F2.8-3.5 / プログラムAE / F7.1 / 1/250秒 / 0EV / ISO100 / 14mm

14-45mmと40-150mm以外のレンズは逆光にも強い。直接太陽を入れてもゴーストもフレアもほとんど発生しない。レンズにゴミがついていたり、プロテクトフィルタを使用している場合に発生する程度だ。プロテクタを常用している方は、太陽など逆光の場合は外すこととで、このレンズの性能を満喫できるだろう。
14-54mm F2.8-3.5 / 絞り優先AE / F9 / 1/400秒 / 0EV / ISO100 / 14mm
Eシステムは多彩なマウントアダプターが利用できる。これはアンジェニューの35mmで撮影した。今日のレンズにはない「悪さ」をオールドレンズで楽しめる。そんな話もいずれお伝えできればと考えている。
ピエール・アンジェニュー35mm F2.5 / 絞り優先AE / 1/160秒 / -1EV / ISO100 / 35mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報(E-300)
  http://www.olympus-esystem.jp/products/e300/


( 安孫子 卓郎 )
2005/04/08 00:52
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