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ペンタックス *ist Ds【第3回】
*ist Dsの性格を表す「ピクチャーモード」

Reported by 元麻布 春男


smc PENTAX-DA 50-200mm F4-5.6 ED
 前回、どうもペンタックスには望遠系の新しいズームがない、なんてことを書いたら、ペンタックスはデジタル一眼レフ専用設計の4倍望遠ズーム「smc PENTAX-DA 50-200mm F4-5.6 ED」を、2月20日から開催中のPMA 2005に参考出品すると発表した。4倍というのはちょっと控えめで物足りない気がするのだが、4倍で止めておくあたりがペンタックスのまじめさなのだろう。まだ値段も発売時期も発表されていないから何とも言えないが、触ってみたいレンズではある。

 このPMA関連で何といっても話題になりそうなのは、やはりキヤノン「EOS Kiss Digital N」だろう。ずいぶんと小型化されて、*ist Dsとたいして変わらない大きさになり、重量にいたっては*ist Dsより20g軽量化された。さすがはキヤノン恐るべしというところだが、筆者は全く揺らいでいない。今回のEOS Kiss Digital Nも、結局記録メディアがCFだったからだ。SDメモリーカードの*ist Dsにこだわるのは、CFというピン数の多いレガシーなインターフェイスのカードに新規投資したくない、ただそれだけの理由だ。

 フルサイズCCDを搭載したデジタル一眼でRAW撮りするプロは、大容量のCFカードを使えばよいと思っているし、それしか選択肢はないと思う。しかしキヤノンもニコンも、新しいコンパクト機では、メディアをSDメモリーカードに揃えた。もはやコンシューマー向けのデジタルカメラについては、記録メディアはSDメモリーカードで決まり、そう考えていいハズだ。だから、EOS Kiss Digital Nってコンシューマー向けじゃなかったの? と突っ込みたくもなったりするのだが、色々と事情もあるのだろう。

 そういう点でも*ist Dsは名実ともにコンシューマー向けのデジタル一眼レフカメラだと思うのだが、それは別にメディアがSDメモリーカードだから、ということだけが理由ではない。操作性やユーザーインターフェイスの端々に、あまりカメラに詳しくないユーザーさんにも失敗作の写真は撮らせませんよ、的な配慮を感じるのである。


 *ist Dsの操作系は、MENUボタンで呼び出して設定するメニュー、撮影モードを設定するモードダイヤル、Fnキーで呼び出し十字キーで操作するFnメニューの3系統で構成される。モードダイヤルで設定する撮影モードは、大きく2つに分けられる。ダイヤルの上側に並ぶピクチャーモードと、下側に並ぶ基本モード(P/S/A/M/B)だ。ピクチャーモードは、他社ではシーンモードなどとも呼ばれるもので、標準、人物、風景、マクロ、動体、夜景人物、ストロボオフ(標準でストロボの発光を禁止したもの)の7つと、標準、人物、風景、マクロ、動体の中からカメラが最適だと判断したモードを選ぶオートピクチャー(AUTO PICT)で構成される。

 *ist Dsの最大の特徴というか、ある種の個性(クセ?)は、このピクチャーモードに集約されているように思う。ピクチャーモードを選択すると、画像仕上げが「鮮やか」に固定され、メニュー内の彩度、シャープネス、コントラスト、ストロボモード、ホワイトバランスの設定等がすべて無効になる。つまり、ピクチャーモードを選んで、その後でシャープネスやコントラストを調整する、といったことはできない。ピクチャーモードの設定が、メニューやFnメニューでの設定をオーバーライドしてしまうのである。


*ist Dsのモードダイヤル。上側に並ぶのがピクチャーモード MENUボタンで呼び出すメニュー。写真では鮮やかモードでコントラストを1段上げているが、こうした設定は残念ながら無視される

 ややこしいのは、ピクチャーモードに設定した場合に無視される彩度、シャープネス、コントラスト、ホワイトバランス調整などが、メニュー上はできてしまうことだ(ただし撮影結果には反映されない)。ちゃんと上の原則を理解していないと、ピクチャーモードに設定しておきながら、せっせと反映されない画質調整を行なう、という無駄な努力をするハメになる。ピクチャーモードに設定すると「画質仕上げ」は選択できなくなる(ナチュラルに設定しても、鮮やかに設定が戻される)のだから、彩度、シャープネス、コントラスト、ホワイトバランス等も、設定できないようにすべきだろう。本当はカスタムファンクションの中に、ピクチャーモード時のユーザーによるパラメーターオーバーライドを認める、という設定を用意しておいて欲しいのだが。


「反省」。わが家のネコも時にアンニュイな表情を見せる
撮影時焦点距離:85mm / ISO1600 / ホワイトバランス:曇天 / プログラムオート(1/60(秒)、F5.6) / ナチュラル(コントラストやや強)
 カメラをいじるユーザーにとっては、このあたりが不親切に感じるところであり、最もフラストレーションを感じる部分だろう。だが、おそらくメーカーとしては、とにかく初めてデジタル一眼レフを触る人に、パッと見て見栄えのする写真(デジタル一眼を買ってよかったと思える写真)を撮ってもらいたい、という親心の表れなのだと思う。とりあえずわからない時は、緑のAUTO PICTに合わせてシャッターを切れ、という理屈だ。

 この親心は良くわかるのだが、撮影条件が悪くなるとピクチャーモードの設定によってはシャッターが切れなくなるのは、ちょっとやりすぎだったのではないだろうか。フィルムカメラであれば、悪条件下でシャッターが切れないよう配慮するのは、使用者に経済的なメリットがあった(フィルム代、現像代、プリント代の節約)。しかしデジタルカメラの場合、こうした経済的なダメージはほとんどない。シャッターが切れないと、初心者は故障だと思ってしまいがちだ。こうしたトラブルをなくすためにも、とりあえずシャッターは切れるようにしておいた方が良かったのではないかと思う。もちろん基本モードではシャッターが切れなくなることはない。念のため。



URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報(*ist Ds)
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-ds/

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ペンタックス、デジタル一眼専用50-200mmズームを開発(2005/02/18)


( 元麻布 春男 )
2005/02/22 00:11
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