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ペンタックス *ist Ds【第1回】
小型軽量ボディとSDメモリーカードが購入の決め手

Reported by 元麻布 春男


 筆者にとって、最初の「自分のカメラ」と呼べるのは、1970年代半ばに入手した新古品のOM-1(オリンパス)だった。以来、OM-1Nを1台追加し、キヤノンのEOS5、京セラのCONTAX G1と3つのマウントを渡り歩いてきた。

 G1の後、筆者が購入したカメラは基本的にデジタルカメラ、それもいわゆるコンパクトデジタルカメラばかりだ。実は筆者は、G1を購入した際に、もう2度と一眼レフカメラを購入することはないだろう、と思っていた。条件さえ合えばG1は一眼レフカメラに全くヒケをとらないが、一眼レフカメラが適応できるすべての撮影条件に対応できるわけではない。それは百も承知の上で、もうレンジファインダーで撮れないような写真は撮れなくていいや、プロじゃないんだし、と思ったのだ。

 だから一眼レフのデジタル化が進行し始めても、あまり関心がなかった。もうあんな荷物を持つ気はないしぃってな感じである。少なくともEFレンズなら手元に3~4本あったから、キヤノンならボディだけ買えば、とりあえずは済む。でも欲しくなかった。荷物の多くなる一眼レフはもう買わないと決めたのに、別にデジタルになったからといって買うことにはならないじゃん、とも思っていた。デジタル一眼レフカメラとして最初のベストセラーとなったEOS Kiss Digitalが登場した時も、心は動かなかったのである。

 そんな筆者が購入してしまったのがペンタックスの*ist Dsだ。*ist Dsのどこに、ポリシーを曲げるほど惚れ込んでしまったのか。世界最小最軽量というキャッチフレーズに弱いのはあるかもしれない。最初の一眼レフであるOM-1の登場時(前身であるM-1)も、確か一眼レフカメラとして、世界最小最軽量だった。


筆者が購入した*ist Dsレンズキット。特に1つのハコに収められているわけではなかった。キット特典? として、ほかにAIソフトの「デジカメde!! フォト工房 for PENTAX」(1年間の使用権付)が添付されていた 本体右側面に設けられたSDスロット。CFをサポートするといった瞬間から基本的に1倍速(150KB/sec)からサポートしなければならないのに対し、SDなら遅くても2MB/sec程度は期待できる点は有利

 記録メディアがSDメモリーカードであることも、筆者にはアピールした。SDメモリーカードを採用した世界最小最軽量のデジタル一眼レフを応援したくなったのだ(もちろん筆者は普及団体であるSDカードアソシエーションとは何のゆかりもない)。

 どうもデジタル一眼レフを購入しようというユーザーの多くは、メディアがSDメモリーカードであることがあまり気に入らないらしい。確かに、最大容量という点で、CFはSDよりはるかに大きい。しかし、4GBや8GBといった大容量のCFカードを使っている人は決して多くない。CFスロットがあればMicrodrive(MD)が使えるという話はあるが、現在MDがカバーしている2~4GBという容量レンジは、もうフラッシュメモリでカバーされるべき領域だと思う。


 すでに海外では2~8GB程度のCFも、おおよそ1GBが100ドルという相場になっている。残念ながら国内の価格はここまで安価ではないが、いずれは同程度になるハズであり、価格メリットでMDを選択する必然性は失われている。今、磁気記録のメディアを買うなら、メディアの特性上、本来は半導体メモリの1ケタ上、10GBは最低でも欲しいと思うのだが、10GBのMDにどれだけ需要があるのかは分からない。画素数の多いフルサイズCCD搭載機を利用するプロはやっぱりCFやMDかもしれないが、APS-CならCFでなければならない、というほどではないハズだ。

 一方、SDの最大容量は現在1GBだが、近い将来、2GBの製品が出てきそうだし、2GBあればAPC-CでRAWで撮影しても、それほど不便は感じなくなると思う。筆者は基本的にはJPEGで撮るつもりなのだが、それなら300枚以上は軽く撮影可能な1GBメディアで十分過ぎる。RAWで撮るとなると大容量のメディアだけでなく、別途現像ソフトが必要で、やっぱりPhotshop CSも欲しい、重たいソフトを動かすには速いマシンと、どんどんエスカレートしていく。その環境を海外出張時にも維持しようとすると、これまたどんどん荷物が膨らんでいく。これを拒否して一度は一眼レフを止めたのに、同じ轍を踏んでは元も子もない。ここは是が非でもJPEGで撮りたいと考えている。

 実を言うと、筆者はCFがあまり好きではない。CFに限らず、ピン数の多いインターフェイスを使うのがイヤだ。特にコンシューマー向けの機器に、こんなピン数の多いインターフェイスを採用するのはいかがなものか、というのが筆者の基本的な考えだ。だからEOS Kiss Digitalの記録メディアがCFだと分かった時、それでEOS Kiss? と思ったりもした(EOS-1DsがCFなことには何の異議もない)。CFの元になったPCカードも、PCI Expressの登場によってExpressカードへの置き換えが間もなく始まるというのに(まだ始まってはいない、念のため)、いつまでもレガシーインターフェイスにしがみつくのは止めようぜ、とも内心思っている。

 そういう意味からも、ペンタックスがコンシューマーを意識した*ist Dsで、記録メディアをSDに絞ったということには大拍手だ。というか、もしSDだったら当時の世界最小最軽量だった*ist Dだって実は買ったかもしれないし、逆に*ist DsがCFだったら買わなかっただろう。

 *ist DsがSDを採用したことについて、コンパクトデジカメからのステップアップに配慮した、みたいなことが良く書いてあるのだが、これは筆者個人にはあまりピンときていない。手元にはSDのカメラが何台かあるが、別にこれらのカメラで使ったメディアを使いまわそうとは思っていないからだ。1GBのSDカードも大分安くなったし、勇気を出せば8,000円程度で手に入る。

 そこまで言わなくても、1万円前後の1GBのSDカードなら普通に見つかるだろう。筆者も*ist Dsに備えて、1GBのSDカードを2枚購入した。もちろんSDカードを購入する前に、某量販店のWebページの*ist Dsの予約ボタンを押していたことは言うまでもない。*ist Dsは公式発売日である11月19日にわが家に届けられた。



URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-ds/


( 元麻布 春男 )
2005/02/07 00:01
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