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ロケ先でのバックアップも便利に

小さい! 速い!! 大容量!!!
サンディスクエクストリーム510
ポータブルSSD

「写真データのバックアップ」は、デジタルカメラを使う人にとって重要な問題だ。特に出先では何があってもおかしくないので、信頼性の高いバックアップ手段を常に持っておきたい。フラッシュストレージの雄であるサンディスクからこのたび登場した「サンディスクエクストリーム510 ポータブルSSD」は、小型軽量・耐衝撃・防滴防塵で、おまけに容量480GBでスピードも超高速なポータブルSSDだ。さて、この小さな巨人を、プロ写真家はどのように使うのか?

超小型・大容量の外部ストレージは、どのように写真家のワークフローに貢献するのか?

ロケ先での安心・安全な外部ストレージが必要な今日この頃

私は昔々、ある写真家に仕えていた(つまり弟子であった)。当時、師匠に言われていたことは色々あるが、特に「撮影終了後の片付け優先順位」が印象的で、今でもよく憶えている。それは、下記のような順番だ。

1、写真データ(当時はフィルム)
2、撮影対象物(商品や人物など)
3、カメラ
4、その他

当たり前の話だが、カメラマンにとって一番大事なのは、撮影した写真データ。クライアントからお借りしている大切な商品ですら2番目、自分のカメラなどは二の次以下。いちど撮った写真と同じ写真は、二度と撮れない可能性があるからだ。デジタルカメラは写真がちゃんと映っているか、現場で確認ができるので、そういう意味では安心感がある……が、それは偽りの安心感である。デジタルデータはいつ吹っ飛ぶか分からない。メモリーカードは、折れたり曲がったり濡れたりして、あるいは何も悪いことをした覚えもないのに、突然エラーが発生し、データがまとめて消えてしまう事もある。

たとえば私は、自身のスタジオでの撮影では、カメラとデスクトップPCを接続して、撮影した写真をデスクトップPC(に接続した外付けハードディスク、RAIDで冗長性を確保)にも自動転送。実際に採用する写真データのみ自宅に持ち帰り、画像処理。画像処理したデータも外付けハードディスクに保存している。

スタジオでの撮影は、勝手に外付けハードディスクにバックアップが取れるので安心だが、問題はロケ先での撮影である。以前は、ノートPC自体をバックアップ先にしていた。メモリーカードが入ったカメラバックが盗難にあった際には、バックアップ先のノートPCをホテルに残していたため助かったこともあった。

が、今はノートPCの内蔵ストレージ容量が小さく、ちょっとしたロケ程度でも写真データをコピーしきれなくなってしまう。以前なら、ノートPCはHDD搭載で数百GBの容量を持つものが多かったが、最近は64GB~256GB程度のSSDを搭載するノートPCが多い。OS領域やアプリケーションですでに大部分のストレージを使ってしまい、データ保存に使える容量はせいぜい数GB……ということだってある。(じゃあ大容量HDD搭載のノートPCにすれば?と言われるかもしれないが、スピードは遅いし、重量もあるので避けたいところだ)

ノートPCのストレージは常にギリギリで使っている人も少なくないハズ。そうなると、出先でも外部ストレージのお世話になる必要が出てくるが……

しかも、筆者はカメラとPCを無線で接続し、撮影した写真をPCにも同時に転送・記録する使い方を多用する。カメラ内のメモリーカードとPC、双方にほぼ同時に記録されるので、データが二重化されバックアップになるし、撮った写真をPCの大画面で即座に確認できるからだ。スタジオであればデスクトップPCのストレージ容量が十分なので問題ないが、出先でこの方法を使うとなると、ノートPCのストレージがすぐに足りなくなってしまうため、ノートPCになにかしらの外部ストレージをつなげておき、そちらに転送する設定にしたいところ。

外出先でもPCに画像を転送したい場合は、やはりなにかしらの外付けストレージが必要となってくる

候補となる外部ストレージは、ポータブルHDDという選択肢もあるが、やはりHDDはアウトドアで手軽に持ち運ぶには少々耐久性に不安があるし、なにより転送速度が遅い。USBメモリーも、手軽ではあるが速度と信頼性の面で難がある。手軽に持ち運びのできる、大容量の外付けHDDのような、でも速くて安全で耐久性もある……そんなストレージがあれば良いのだが……と思っていたところに朗報が!

持ち運びできる大容量の外付けSSDがサンディスクから発売されたのだ。その名は「サンディスクエクストリーム510 ポータブルSSD」!

小さい! 軽い!! これで480GB!?

「サンディスクエクストリーム510 ポータブルSSD」は、小型・軽量・防滴防塵のタフなポータブルSSDで、容量は480GB。写真サイズによってだいぶ違うが、RAWとJPEG同時撮影で約2万カット程度の写真が保存できるだろう。

弟分として510の機能限定版ともいえる「サンディスクエクストリーム500」、兄貴分として、デュアルSSD構成で容量と速度をさらに追及した「サンディスクエクストリーム900」も存在する。が、防滴防塵を備えているのは「510」だけ。撮影対象がいる先、ジャングルだろうがサバンナだろうが雪山だろうが出かけていくカメラマンにはもってこいの相棒というわけだ。

「サンディスクエクストリーム510 ポータブルSSD」

表面は網目状の模様が有り、滑り止めの役割もしている

裏面にも黒いラバーが貼られ、滑りにくい工夫がなされている

大きさは W75.69mm x H75.69 mm x D10.67 mmと 持ちやすく重さも43gと軽量にできている

筐体の周辺には衝撃を吸収するバンパーがあり、丈夫なゴム製緩衝材を使用し、1.8mから落下しても問題の無いような耐久性が備わっている

USB3.0 用コネクターにもカバーが付いて防滴防塵使用になっている

付属のUSBケーブルを着けたところ

防滴防塵は、フィールドカメラマンには欠かせない性能。私自身はスタジオでの仕事が多いが、下記の写真のような悪条件下での撮影もよくある事だ

氷点下の寒冷地や、ホコリや間欠泉などの水蒸気も危険きわまりない!とにかく防塵防滴は必須である

最大の特徴でもあるスピードは、読取り最大430 MB/秒、書込み最大400 MB/秒。一般的なハードディスクよりも最大4倍は早い。

510の接続はUSB3.0。USB3.0はコネクター口の中が青色をしているので確認して使おう。古いUSB2.0のコネクターに挿しても使えるが速度は遅く5倍は違うので注意が必要だ

510のベンチマーク結果をとってみたが、ほぼ公称通りの数字。とにかく鬼のように速い

ためしにPCの内蔵SSDもベンチマークしてみた。数年前の機種だが、510に大差をつけられてしまった

こちらはデスクトップPCの内蔵HDDの結果。ランダム書き込み/読み込みはかなりつらい

510の中にあらかじめ入っている「SanDisk SecureAccess」ソフトウェアをインストールすると、128ビットAES暗号化2を使って、プライベートファイルを不正なアクセスから守ってくれる。もし510を紛失したり盗難にあったりしても、暗号化作業をしたノートPCがないと復号できない。守秘義務契約がある商品の写真を撮影することも多いので安心

実際に使ってみる。「モバイル作業環境」がスペックアップ!

510はとにかくコンパクトで、そのままカバンに入れたりポケットに入れたりすると紛失が心配になってしまうほどだ。510にはストラップホールがついているので、ストラップを使いカメラバックやデイバック内のキーフォルダーにぶら下げて使用してみた。これで紛失の恐れは軽減されるだろう

ストラップを付ける穴が用意されている

今回は前述のとおり、カメラとPCを無線で接続する方法を試してみた。ノートPCに510を接続し、ノートPCとカメラは無線で繋げる。そしてカメラの撮影保存設定ではCFとノートPCに接続した510のフォルダの両方を指定し、撮影と同時にバックアップまでできるようにしてみた

旅先のロケ撮影で使ってみた

ということで、まずは旅先のロケ現場で使ってみた。車に置いてあるノートPCに510をつなげ、カメラの撮影データを片端から無線でノートPC(に接続した510)に送る。データはカメラのCFと510、両方にほぼ同時に保存されるかたちだ。

撮影すると同時に510にバックアップされている

試してみると、快適の一言である。510とCF両方に同時に保存されているので、それだけで撮影データのバックアップになる。CFの容量とノートPCのバッテリーさえあればいくらでも安心して撮ることができる。

極端な話、撮影中にカメラを紛失しても、撮影データはほぼ無事。撮影中にメモリーカードの容量が足りなくなって交換したあとに万が一、撮影済みのメモリーカードが紛失・故障しても、510にもデータが保存されているので大丈夫。ノートPCがぶっ壊れても、もちろんデータは無事。師匠の教え、「撮った写真が最優先」を実践できる環境だ。

また、510はノートPCに「つなぎっぱなし」にしておくには最適なスタイルだ。本体が十分に軽量なので、ノートPCから不意に外れてしまうということが少ない。重量があるHDDだと、自重で外れてしまうことがあるからだ。また、USBメモリーなどは装着時に出っ張るので、不意にどこかにぶつけて破損の可能性があるが、510はそんな心配も少ない。

510の転送速度も「安心感」につながる。510の400MB/秒という書き込み速度なら、30MBのRAW写真データも10分の1秒以下で転送できるので「ケーブルが外れた瞬間、運悪くデータ書き込み中でデータ破壊」という事態が起きる確率も減るだろう。速いは正義なのだ。

鳥や動物写真、そしてスポーツ写真など、連写が多くなるシーンも、カメラから直に510に記録していれば後の整理も楽になる。写真アプリなどでのサムネイル生成はストレージ速度が問われる部分だが、やはり非常に速く快適

どんどん撮る! 撮った写真はすぐにPC上で確認できる

現場から宿などに戻ったら、あらためてカメラから510にバックアップするのが安心。無線転送のエラーで写真が転送されていないことも時々あるからだ。大量の写真データを510にまとめて転送する際には、510の速さを実感できる。仮に30MBのRAW写真データが1000枚(30GB分)あっても、理論値の400MB/秒書き込みなら75秒で書き込みが完了する(もちろん読み込み元が510と同等の読み込み速度を持っていればの話だが)。

また、510のスピードは、510に入れてある写真を現像したり編集したりする際にも役立つ。転送速度が十分でない外部ストレージの場合、いちどノートPCにデータを移してからでないと快適に編集作業がこなせないし、ノートPCの内蔵ストレージの空きが少ない場合、少しずつ移しながら作業しなくてはいけない。510であれば、下手をすると内蔵ストレージよりも高速なので、写真を510から開き、編集し、510に再度保存するという一連の作業が非常に快適だ。

現場でバックアップができなかった写真は宿に戻り、即バックアップ開始である

510に写真データが入っていれば、宿に戻ってすぐにPhotoshopで画像処理作業が始められる。素早く依頼主に写真を送れるから便利である

自分の小さなスタジオで使ってみた

自分のスタジオで撮影する場合は、カメラから無線でデスクトップPCのストレージに直接保存し、編集作業などを行う。が、もちろんデータを自宅に持ち帰り、自宅のデスクトップPCで作業することも多い。そういうときはデータを510に保存して持って帰り、やはり510上で直接編集する。要はごくふつうの外部ストレージとして使っているだけなのだが、510は480GBの大容量とコンパクトさ、スピードを兼ね備えているので、持ち歩きたいデータを沢山入れておきたくなる。

ある出版社のスタジオで使ってみた

とある出版社の社内スタジオでの撮影。ここではノートPCをカメラの近くに置けるので、旅先ロケのときと同様、カメラから直接ノートPCに接続している510に保存して使用してみた。

撮った写真の画像処理は、基本的に自分のスタジオか自宅のデスクトップPCでの作業になる。かさばるノートPCは社内や車内に置いていき、510だけをポケットに入れて持ち帰る、というのがお手軽で便利だ。

旅先でのバックアップはもちろん、PCのストレージが足りない人にもおすすめ

こうした小型の外部ストレージは、ロケの時に役に立つかなと、最初は漠然と考えていたが、日常のスタジオ撮影からロケ撮影に至るまで、毎月のようにある色々なシーン全てに活躍の場があった。

筆者の使い方ではカメラのCFと510、同時に記録できるので、「バックアップ」のために夜延々コピーを待つ事もないが、仮にあっても転送速度が速いので、「待つ」ストレスを最小限にすることができる。もちろん、データを大量に、安全に持ち歩きたい人にとっても必須アイテムになりそうだ。

最後に、今回510をロケで試してみたときに撮影した写真を載せておこう。小さくて速くて大容量な「サンディスク エクストリーム510 ポータブルSSD」を使って写真を撮りまくり、「ベストショット」を決めてほしい。

若林直樹(STUDIO海童)

雑誌、広告等の仕事の傍ら、ライフワークとして自然や癒される空間を求めて国内外を旅している。撮影対象はICチップからアフリカ象まで幅広い。デジタルカメラは1995年からコンパクトからプロ機までテストレビューに携わる。自宅ではフェレットをこよなく愛し、現在2匹と暮らしている。いつかフェレットの写真集を出そうと企み中。HPはhttp://homepage2.nifty.com/nao-w/