特別企画

二眼レフなのにチェキフィルム!「MiNT InstantFlex TL70」体験記

本格的なファインダーを装備 AEやストロボも

MiNT InstantFlex TL70

二眼レフカメラは、ファインダー用のレンズと撮影用のレンズが分かれている構造が特徴です。これまで、トイデジタルカメラで外観のみ二眼レフカメラのスタイルを採用する製品はありましたが、インスタントカメラに二眼レフの構造を持たせるのは珍しい試みです。使用フィルムは富士フイルムの「チェキ」用のFUJIFILM instax mini(86×54mm)。比較的手軽に手に入れられるので、とても便利です。

見た目もとてもクラシカルでオシャレな「MiNT InstantFlex TL70」ですが、これはポラロイドカメラの販売や修理を行なっている、Mintという企業のカメラです。

インスタントカメラの良さ、面白さとは?

まずインスタントカメラの利点は、その場ですぐにプリントができることから、作品作りとして面白みがあります。

ちゃんと写っているか? イメージ通りに撮れたか? 撮影中のそんなワクワクもインスタントならでは。その場にいる人たちと作品をシェアしたり、じわじわ浮かび上がるプリントをわくわくしながら眺めたり。日常を、思い出を、さらに彩る事ができます。

また、デジタルカメラとは異なる柔らかい発色も特徴。「インスタントカメラならではの色味」を存分に味わうことができます。

TL70で撮影したチェキプリントをスキャナーでデジタル化しました。これは室内で内蔵ストロボを発光しての撮影。モデル:矢沢なり

ただし、これまでのインスタントカメラは、ゾーンフォーカスなので、ピント合わせはおおよその距離感を自分で調節したり、適正露出は撮ってプリントを見てみないとわからない、などの難点がありました。それがインスタントカメラの味ではありましたが……。

中身はしっかり二眼レフ

一方TL70は、ファインダーを覗きながらしっかりとフォーカスを調節できます。絞りを設定でき、その値はF5.6、F8、F16、F22、そして「F/bokeh」という星型の絞りも用意されています(bokehの形状は絞りによって異なる)。

また、測光センサーを内蔵しており、周辺の明るさを感知して適正露出を教えてくれます。適正ならファインダー内左横のランプが緑色に、オーバーならオレンジ色になって知らせてくれます。

これがTL70です。パッと見は本物の二眼レフカメラみたいです
レンズ部分。上がフォーカス用、下が撮影用のレンズです。最短撮影距離は48cm。
左の赤い丸がシャッターボタン。中央のノブで絞りを変えることができます
裏蓋を開けて、Instax mini用のフィルムを装填
装填したところ
フィルム出力ボタン。引き出したフィルムはファインダー側から出ます

ファインダーは若干暗いですが、ファインダールーペを使用しなくてもピントが確認できるくらいの見やすさはあります。

ファインダーフードは電源スイッチも兼ねる。閉じている間は電源OFF
ファインダーフードを引き上げているところ
これで撮影可能状態に
ウエストレベルファインダーなので、基本的には下を向いて撮影します
ピントを追い込むのに便利なルーペも。必要に応じて引き出して使います
フードを内側に倒し、突起に引っ掛けることでスポーツファインダー(アイレベルファインダー)にも変形します

本体左横のダイヤルを回して操作をしますが、ファインダーを見ながらココだ! というピント合わせをする時間がとても面白いです。ダイヤルを回したり、自分が少し動いてみたり。TL70と会話しながら1枚の作品を作る気持ちになれます。

ピント調整ノブとEV値スイッチ

ウエストレベルファインダーでの撮影スタイルは二眼レフならでは。中判カメラのハッセルブラッドなどを彷彿とさせる撮影スタイルは新鮮に思う方も多いと思います。

撮影時に髪の長い人が気をつけたい事は、髪の毛が落ちてきてレンズ前にかからないように、髪を結わえたり落ちてこない工夫をすることです。

ウエストレベルファインダーの特徴として、ファインダー像の左右逆転があります。ファインダー上で右側にあるものを中央に写すためには、カメラを左側に振る必要があるのです。慣れていないとフレーミングしたい方向にカメラをつい振ってしまいそうになるのですが、すぐに慣れました。ファインダー内で被写体の位置を意識すると分かりやすいです。

チェキと違ってピント合わせができるので、撮ってみたらピンボケだった〜! というプリントが本当に少ないです。バッチリピントが合えば細かいディテールも表現してくれるので、チェキプリントだけどチェキプリントじゃないような、表現の幅がとても広がります。

バルブ撮影モードも装備

マイナス→適正→プラスの3段階と大まかですが、露出補正ができるのも特徴です。下の作例は同じ場所、同じ環境でEV値レバーを切り替えての撮影した例。プラスとマイナスではかなりの差があるので、撮影時の環境や作風によって露出を自分で設定する事ができます。

EV値標準の状態
EV値マイナス
EV値プラス

夜景撮影に用いる場合は三脚を使うことをおすすめします。TL70は三脚ネジ穴も備えています。

三脚ネジ穴もあります

撮影モード切り替えスイッチを「B」にすることで、バルブ撮影モードに切り替えられます。シャッターボタンを押している間、シャッターを開けているので、最長10秒までの範囲で長めの露光ができます。

撮影モード切り替えスイッチ。左上にあるのは内蔵ストロボのポップアップスイッチ

三脚に設置して2秒弱のバルブ撮影。テールランプの軌跡を写しました。押している間の被写体の動きを取り入れるので、自分好みに時間を調節できます。

多重露光も可能です。室内でモデルさんと机の上に置いた花を多重にして撮影しました。1回シャッターを切った後、フィルム出力ボタンを押さずに別の被写体を撮影。花以外のスペースを黒い紙でレンズを覆って撮影することで、半分だけ別世界という作品を作る事ができました。モデル:矢沢なり

二眼レフ+インスタントカメラは面白い!

私は以前から個人で色々とトイカメラを所有しているのですが、デジタルカメラにはない面白さ、自然に出る表現の味などがトイカメラの醍醐味だと思います。MiNT InstantFlex TL70では、そのトイカメラの面白さも感じることができるのです。

チェキフィルムを使ったインスタントカメラの楽しさの一つは、やはり作品がすぐにプリントできるところ。

でき上がったチェキは毎日の記録の一部として手帳に貼るもよし、インテリアとして飾るもよし、友達に渡すもよし……。チェキを活用した楽しみ方は無限大にあります。その1枚1枚をシャープに、創造的に、味わい深く残すことのできるこのMiNT InstantFlex TL70はじっくり、ゆっくり写真と向き合いたい方にとてもオススメです。

見た目もとてもオシャレ。そしてサイズ感もちょうどいいので、良い意味でトイカメラ感が希薄です。昔から活躍する様々な二眼レフカメラと肩を並べられる雰囲気をもっています。

他のインスタントカメラではなかなか味わえないじっくりと時間をかけた作品作りを二眼レフのクラシカルなスタイルで楽しむ事ができます。一見堅そうな雰囲気の二眼レフを思わせるボディのこのMiNT InstantFlex TL70は最高のプライベートカメラになるでしょう。

レンズカバーは、突起状の部分をスライドさせて着脱します
機種名ロゴの内側には……
本物の二眼レフカメラにない内蔵ストロボが入ってました

作品集

室内の蛍光灯や窓から差し込む光の元で撮影。モチーフのドライフラワーにピントを合わせつつ手持ちでピントを合わせやや上からシャッターを押しました。

雰囲気を出すため、EV値をマイナスに設定して撮影。

屋外のチューリップの植え込みを撮影。ちょうど夕日が落ちてくる時間帯でした。太陽など強い光が構図に入り込むと、チェキプリントは黒や青につぶれることがあるため注意が必要です。

散歩をしていると、まったりとした猫の団欒場所に遭遇。少しお邪魔をさせてもらいました。絞り開放のF5.6。手前の落ち葉が前ボケになっています。

何気ない被写体も、どこか味のある雰囲気に仕上がります。最短撮影距離は48cmなので、思ったよりもググっと被写体に近づく事ができます。

マジックアワー時のピンクから紫に染まる夕暮れを三脚を使用して撮影しました。バルブモードで露光時間は2秒。

片岡三果

(かたおか みか)北海道出身。フォトグラファー、モデルの他ラジオパーソナリティーや日本・台湾・香港で声優をするなど多岐にわたる活動をしている。漫画家の両親、大叔父が画家という家庭環境に育ち、幼い頃から美術、デザインを学ぶ。独特の世界観で写真、文章、イラストを手がける。2013年より専門学校東京デザイナー学院映像デザイン科にて写真実習の講師をつとめる。ラジオFM FUJI Moon Light Party!!土曜22:30より写真や美容、最新情報など放送中。最近は星景写真に奮闘中。Webサイト Twitter