特別企画

ZEISSの名を冠するiPhoneコンバージョンレンズが登場

そこまでやるのか!…カメラユーザーが驚く高品位・本格派アイテム

iPhoneのレンズ前に装着して画角を変えるコンバージョンレンズは多く存在するが、あのカールツァイスと提携した製品が登場した。その名も「ExoLens with Optics by ZEISS Wide-Angle Lens Kit」(以下、ExoLens ZEISS Wide)。

iPhone 6/6s、6 Plus/6s Plusに対応し、0.6倍のワイドアングルでZEISSブランド認定の写りを楽しめる製品となっている。

本家ZEISSレンズを思い起こさせる重厚感

倍率は0.6倍。インプレッションに使用したiPhone 6s Plusは35mm判換算約29mmなので、約18mm相当の画角となる。

カールツァイスのテクノロジーが注入されたレンズは「ZEISS Mutar 0.6x Asph T* wide-angle lens」。Mutarという名前からわかるとおり、ZEISS的にはコンバーターに分類される(企業広報の表現上レンズと呼ぶそうだ)。フォーカスは装着したiPhone側のレンズを駆動して行う。

レンズの造りはとても重厚感があり、巷に出回っている他の製品とは明らかにクオリティの違いが感じられる。レンズサイドの「ZEISS」バッジも眩しく感じられるほどだ。

ZEISS Batis 2.8/18と並べたところ。ルックスはなかなか似ていると思う。

その金属製のしっかりとしたレンズボディに加え、レンズエレメントには定評あるT* 反射防止コーティングが施されている。レンズ前面には金属製のスナップ式のレンズフードを装着可能だ。

フードを装着するととてもレンズ部が目立つ。存在感が非常にあり、撮影時は周囲の注目をかなり集めた。

レンズはアルミニウム製のブラケットにねじ込んで使用する。このブラケットはトラス形状で軽量かつ非常に剛性感があり、iPhoneの光軸と確実に合わせられるようタイトな造りとなっている。

精度・剛性とも高いため、iPhoneをブラケットに挿入するのはある程度力を加える必要がある。といっても装着は簡単で、インナーにiPhoneを沿わせ、ズズッと上方へ当たるまでiPhoneを差し込み、カメラ部分が確実に奥まで入っていることを確認できればOKだ。インナー内側にはゲル状の部材が用いられている。

そのあとは前面のスクリューマウントにレンズを止まるまで優しくねじ込めば撮影準備は完了である。

ブラケットに三脚穴を備える。マンフロット社のテーブル三脚「PIXI」がピッタリであった。

コールドシューを備えているので、様々なアクセサリーが装着できる。マンフロット社のLEDライトを装着してみたが、スチルはもとよりムービー撮影でも活躍しそうだ。

そしてiPhoneでカメラアプリを立ち上げてやり、普段どおり撮影をすれば超ワイドアングルで高品質な写真を手に入れることができる。

パッケージにはレンズ、キャップ、フード、ブラケット、予備インナー、キャリングポーチが入っている。

iPhoneだけの場合と比較

ここからは、iPhone 6S Plusで撮影した実写をお届けしよう。左がExoLens ZEISS Wide装着時、右が非装着時(iPhone 6S Plusのレンズそのまま)だ。

歪曲収差

iPhoneはおそらくデジタル補正を行っているので、歪みはもともと少ない。ExoLens ZEISS Wideは、35mm判換算29mm相当から18mm相当に光学的に画角を拡げているが、それに伴うイヤな歪みは見受けられない。安心して広いエリアを写し込むことが可能だ。

ExoLens ZEISS Wide装着
ExoLens ZEISS Wide非装着

逆光

iPhoneは強烈な点光源を画面中央付近に入れると、円形のゴーストが出ることが知られているが、ExoLens ZEISS Wide装着時でもそれは出現する。ただそれ以外で気になるところはない。ブラケットの精度が高く、レンズとiPhoneとの間の内面反射も最低限になってるようだ。

ExoLens ZEISS Wide装着
ExoLens ZEISS Wide非装着

高所

ビルの屋上から遠景を撮影してみたが、iPhoneのマスターレンズ性能を損なうことなく、バランスよく近景から遠景まで描写している。空が大きく入る場合はHDR機能を積極的に使うなどして撮影すれば、トーンの整った写真をとることができるはずだ。

ExoLens ZEISS Wide装着
ExoLens ZEISS Wide非装着

引きのとれない場所

このレンズが威力を発揮するのは引きのない狭い場所だろう。室内や車内など35mm判換算18mm相当というワイド感が役立つシーンは多いはずだ。

窓と電燈、階段の手すりが強調されるiPhoneのみの写真に比べ、ExoLens ZEISS Wideを用ると、階段の全景を見せられるようになる。窓から差す光もフレアもなく、画面周辺部もしっかりとした写りだ。

ExoLens ZEISS Wide装着
ExoLens ZEISS Wide非装着

自撮り

通常自撮りはインカメラを使用するが、ExoLens ZEISS Wideを装着すれば、1,200万画素のアウトカメラで広範囲を写し込むことが可能だ。

写真教室の生徒さんにお願いして自撮りしてもらった。非装着時では2人の女性がギリギリ縦位置で収まるくらいだが、ExoLens ZEISS Wideを使えばラクに2人を写すと同時に、背景の緑までもフレーム内に収めることができた。

ExoLens ZEISS Wide装着
ExoLens ZEISS Wide非装着

画角が広がることで使い道も広がる

iPhoneはたしかにカメラ性能がよく、優秀なアプリもたくさんあり、モバイルフォトグラフィーを楽しむには最高のスマートフォンだ。しかしどうしても「もうちょっと広く」と思うシーンがある。

このExoLens ZEISS Wideは広大な画角だけでなく、歪曲収差の少なさから、まず選ぶべきiPhone用レンズになっていると感じた。

iPhone 6s Plus / ExoLens ZEISS Wide装着 / 1/750秒 / F2.2 / ±0EV / ISO25 / 18mm相当

35mm判換算18mm相当は意外と使いやすい。4:3というアスペクト比に収まると、なんとなく自然で見やすい広さに感じるのだ。傾きかけた日を木々の間に配置してシャッターを切ったが、とてもいい雰囲気のショットとなった。iPhone独特のフレアさえもイイ感じである。

iPhone 6s Plus / ExoLens ZEISS Wide装着 / 1/600秒 / F2.2 / ±0EV / ISO25 / 18mm相当

ExoLens ZEISS Wideを付けると超ワイドになるが、きちんとiPhoneのスクリーン上をタップしてフォーカスを合わせるのがシャープな絵を撮るコツだ。パースを活かしたワイド感溢れるカットを気軽に撮影でき、すぐさまシェアできるのはスマートフォンならではの写真の楽しみ方だ。

iPhone 6s Plus / ExoLens ZEISS Wide装着 / 1/400秒 / F2.2 / ±0EV / ISO25 / 18mm相当

“iPhoneography”の魅力は、出会った光景を撮影して素早くダイレクトに共有できるところだが、このExoLens ZEISS Wideがあれば、その写真をより情景豊かに演出することができる。今後、望遠レンズやマクロレンズも登場するようなので、より様々な画角とアングルでiPhone写真を楽しめるようになる。

iPhone 6s Plus / ExoLens ZEISS Wide装着 / 1/120秒 / F2.2 / ±0EV / ISO40 / 18mm相当

写真好きをうならせる本格派アクセサリーが登場

数多く存在するiPhone用レンズアクセサリー。価格もスペックも多種多様だが、真打ちと呼べる製品がようやく登場したといえる。ExoLens ZEISS Wideはカールツァイスのブランドに恥じない性能を、iPhoneに提供してくれていると感じた。これからの商品展開にも大いに期待したいところだ。

協力:フェローズジャパン株式会社

三井公一

1966年神奈川県生まれ。新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナー、コンサルティングなどで活躍中。有限会社サスラウ、Sasurau, Inc.代表。著書にはiPhoneで撮影した写真集「iPhonegrapherー写真を撮り、歩き続けるための80の言葉(雷鳥社)」、「iPhone フォトグラフィックメソッド(翔泳社)」がある。