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富士フイルム XF50mmF1.0 R WR

XF56mmとサイズを比較 ピント面の薄さも探る

富士フイルムより9月下旬の発売が告知された「XF50mmF1.0 R WR」。焦点距離50mm(35mm判換算で76mm相当)となるレンズで、開放絞りF1.0の大口径レンズだ。製品発売に先駆けて、実写評価も可能な個体を手にする機会を得た。外観デザインとサイズ感の紹介とあわせて、感触についてお伝えしていきたい。

大きく太いがバランスは良好

まず、ボディに装着した状態から見ていきたい。本レンズは大きさもさることながら、太さもそれなりにある。X-T4に装着した際には、レンズの下端がボディ底面から少しはみ出した状態となる。

斜め俯瞰からみたところ。この状態だとそこまで大きいという印象はない
側面から。水平状態を保つために、下敷きを入れている
斜め前から。若干ボディが浮いていることがわかる

X-Tシリーズは、歴代少しずつボディの厚みが増していたが、X-T4でグリップが大型化した。これにより、これまで拡張グリップで幅増ししていた握りに近い感覚になっている。こうした点を踏まえてあらためて持ち歩いてみたが、グリップ単体で支えようと思うと、さすがに厳しいところはあるものの、重量バランスが大きく崩れるという感覚はなかった。

レンズ自体の太さも手伝ってか、ホールドも良い印象。レンズ側で支えるようにして持つことで、自然と脇がしまってくるように思う。

フードを装着した状態。フード形状は筒型

背面側からみたところ。ピントリングの幅は実測で約3cmほどだった。

レンズ最前面は凹タイプ

XF50mmF1.0 R WRのレンズ構成は9群12枚。このうち非球面レンズが1枚、EDレンズ2枚が用いられている。

また、レンズ最前面は凹タイプとなっている。同様の形状としているミラーレス用のレンズをみていくと、ニコンZシリーズ用の「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」や、ソニーのフルサイズEマウント用「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」(SEL55F18Z)も同様であることに気づかされる。

レンズ後端部をみていくと、XF56mmF1.2 Rなどでみられたフレアカッターがないことに気づく。またマウント面は、XF16-55mmF2.8 R LM WRやXF50-140mmF2.8 R LM OIS WRなどと同じ淡い金色となっている。

製品名に「R」とあるとおり、絞りリングを備えている。最小絞りはF16。クリック感のある仕様となっており、リングの“重さ”はXF56mmF1.2 Rとほぼ同等だった。

XF56mmとのサイズ比較

筆者私物のXF56mmF1.2 Rとサイズを比較してみた。ならべてみると、その差は歴然。全長と太さともに、ひとまわり以上XF50mmF1.0 R WRのほうが大きいことがわかる。

続けて、X-T4に装着した状態。XF56mmF1.2 Rがコンパクトな印象に。

XF56mmF1.2 Rを装着した状態(左)とXF50mmF1.0 R WRを装着した状態(右)

ピント面の薄さは?

今回外観を撮影した個体は、実写による評価も可能な機体ということもあり、ピント面がどれくらい薄いのか、またF1.0のボケ具合はどれほどのものなのかを、確認していった。

1カット目は、路地裏に置かれていた自転車。前輪部の鍵にフォーカスをあわせた。前後のボケ味はとてもスムーズな印象で、後輪部にかけては、ほぼ溶けている。フレームに反射した光がうすく玉ボケとなっているが、ほぼ真円に近い形状となっている。

X-T4 / XF50mmF1.0 R WR / 絞り優先AE(F1.0・1/220秒・±0EV) / ISO 160 / PROVIA

続けて、瓶ケースから路地の奥に向けて。ピント面は手前側のケースエッジ部。開放時の周辺部は若干のラグビーボール形状の口径食があるようだ。非球面レンズ使用ながらも、年輪ボケは認められない。もっと強い光の場合にどのように変わるのか、楽しみなところだ。

X-T4 / XF50mmF1.0 R WR / 絞り優先AE(F1.0・1/200秒・±0EV) / ISO 160 / PROVIA

最後に料理シーンから。画面中央部の餃子手前側の焦げ目のあたりにフォーカスしている。前側のご飯から、奥側の皿の輪郭、またお盆のエッジ部までなめらかな描写。特に手を加えなくても見映えのするカットになる魔性さが潜むレンズだと感じる。

X-T4 / XF50mmF1.0 R WR / 絞り優先AE(F1.0・1/320秒・±0EV) / ISO 160 / PROVIA

ごく短時間ながら明るいレンズならではの楽しさを実感することができた本レンズ。写真家によるレビューも近日お届けできる予定だ。

本誌:宮澤孝周