ミニレポート

新機能「シフトクロップ」でまっすぐな建物写真を!

(リコーGR)

去る6月3日にRICOH「GR」の機能拡張ファームウェアが公開されました。バージョンナンバーは2014年1月の3.00から、さらにひとつ上がって、4.00。

エフェクトのメニューでは、「かすか」の下に、「シフトクロップ」が追加されました。

今回は、この「シフトクロップ」について、レポートします。

「シフトクロップ」というのは、縦位置で撮影したときのGRの撮影範囲のうち、画面の上側や、

もしくは下側の、

どちらかを切り出す(クロップ)機能です。いずれも1:1の正方形でクロップされます。

これを何に使うのかというと、建物をなるべく真っ直ぐに撮影したいときに便利な機能なのです。

実際には「エフェクト」というよりは、ちょっとしたアイデア機能といった内容です。GRにすでに搭載されている「クロップ」のバリエーションのひとつと考えると、理解しやすいと思います。

高い建物を撮影するときに、建物の足下から見上げるように撮影すると、上に向かって建物が小さくすぼんでしまいます。

しかし、建物から離れてカメラを建物に平行かつ地面に垂直になるよう構えると、すぼみが少なくなります。ただこのとき、よけいな部分(たいていは地面でしょう)が含まれてしまいます。

そうやって撮影した画面の上側、あるいは下側の部分をスクエアに切り取って保存するのが、「シフトクロップ」です。あくまでもクロップするだけで、パースをカメラ内で補正するようなエフェクトではありません。

下の写真は、建物全体が収まるようにGRをあおって撮影したもの。カメラをあおっている分、建物の上側が小さくすぼんでいます。

今度は建物から離れ、GRを建物となるべく平行かつ、地上に対して垂直に構えます。

GRには、電子水準器がついているので、これを使うと三脚無しでも簡単に構えることができます。

建物だけをまっすぐ撮りたかったので、シフトクロップで上を切り出しました。建物はまっすぐです。

この「シフトクロップ」で撮影する時のコツは、建物から離れること。

離れないで建物全体を入れようとカメラを上に向けると、どうしてもパースが出るようになります。

下側を「シフトクロップ」するシーンは限られてしまうかもしれません。高い位置から下にある建物を撮るようなとき、まっすぐ構えて上の空を省略する使いかたが考えられます。

高いビルから撮影し、画面の下側をクロップして空を取り除いた例です。

また、「シフトクロップ」と「35mmクロップ」あるいは「47mmクロップ」を同時に使うこともできるので、被写体のまわりに余計なモノが写り込んでしまうときは、併用すると便利です。これで、広角単焦点モデルであるGRの弱点をカバーする機能がまた増えたことになります。

35mmクロップとの併用例
47mmクロップとの併用例

建物全体をまっすぐに写すため、画面の上、または下をクロップするというアイデアは面白いのですが、ややもったいない気がします。リコーには伝統的に「斜め補正」という大変便利な機能があるので、その仕組みを使った「エフェクト」があってもいいのではないかと、個人的には思います。

「斜め補正」処理とは、斜めから撮ったスライドや掲示板、名刺などの写真から四角形を自動的に認識して、正面から撮ったようにまっすぐ補正してくれるというもの。「シフトクロップ2」(仮称)ではこれを利用し、四隅をユーザーが指定することで、パースを目立たなくさせる機能があると面白いかもしれません。GRの高性能な広角レンズが、より能力を発揮してくれるのではないかと思っています。