気になるデジカメ長期リアルタイムレポート

ソニーサイバーショットDSC-RX1【第2回】

ちょっと不思議な周辺光量。補正の効果も検証

 手もとにソニー「サイバーショットDSC-RX1」が届いて2週間余り。毎回ではないものの、打ち合わせなど外出の機会があれば持ち出し、余裕があるとぶらぶらと被写体探しをすることが多くなった。

 年末年始はちょっとした集まり(忘年会とか新年会の類いのものだが)にも“同伴”させ、カメラ好きからは羨望の眼差しで見られることも。さらに、こうしてパソコンに向かっているときも、お気入りのカメラの1台として手にすぐ取れるところに置いており、その感触を仕事の合間合間に楽しんでいる。国産のコンパクトデジタルでここまで惹かれるのは、35mmフルサイズのイメージセンサーやカールツァイスの単焦点レンズを搭載しているだけでなく、カメラとしての質感の高さに加え、これまでの大型イメージセンサーを搭載するコンパクトデジタルとは異なる素直でサクサク動く操作性などからくるように思える。

 購入する前、正確にいえば某カメラ誌のレビューでDSC-RX1を触る前に危惧していたのがAFの速さであった。焦点距離35mmの単焦点レンズといえどもフルサイズに対応する大きさなので、アクチュエーターに負荷がかかることが容易に予見できたからだ。しかし、使ってみると、たしかに鏡筒の中をレンズが行ったり来たりする動きは大きいものの、ストレスなく速やかに合焦する。もちろんデフォーカスの状態からフォーカスするとわずかに時間を要することもあるが、一般に速いといわれる位相差方式のAFもそれは同様なので、強いストレスになることはなさそうだ。

 オートフォーカスエリアの選択は、マルチ、中央部重点、フレキシブルスポットの3パターンが選べるが、筆者が試したところでは中央部重点が最も速く、次にマルチ。フレキシブルスポットは迷いのようなものが多く、一番遅く感じられた。このカメラに限らず、もともと中央のフォーカスエリアでAFを行なうことが多いこともあり、通常は中央部重点のオートフォーカスエリアを使用するようにしている。

オートフォーカスエリアの選択画面。上からモニター全体を基準に自動的にピントを合わせる「マルチ」、モニター中央付近の被写体にピントを合わせる「中央重点」、モニター上の好きなところにAFエリアを移動できる「フレキシブルスポット」。デフォルトは「中央重点」で、測距が速いのもコレ。

 AFといえば、絞りリングとフォーカスリングの間にあるマクロ切り換えリングも重宝させてもらっている。通常撮影では0.3m〜無限遠までだが、リングの操作で測距の範囲を0.2m〜0.35mに変えられるというもの。一般的なコンパクトデジタルカメラのようにボタン操作でマクロモードに設定するよりも遥かに速やかで、直感的に切り換えられる。もうちょっと被写体に寄りたいと思ったときに便利だ。

マクロ切り換えリングにより最短撮影距離は20cmを実現。使用開始当初、切り換え操作は面倒に思えたが、すぐに慣れてしまった。

 前回、DSC-RX1を“無理目の女”と比喩したが、そんな彼女もあまり大きな声ではいえないウィークポイントがあるのが分かった。DSC-RX1の最高シャッター速度1/4,000秒だが、これは絞りF5.6以上に絞ったときのみ有効で、絞りF4からF5までの最高シャッター速度は1/3,200秒、開放値F2からF3.5までは1/2,000秒となってしまうのだ。これはレンズシャッターの構造的なものが影響しているためだそうだ。ただこれでは、フルサイズならではの浅い被写界深度の描写を明るい屋外で楽しむことは難しい。NDフィルターを用意すれば済んでしまう話だが、同社から発売されているカールツァイスブランドのNDフィルター(VF-49NDAM)は、結構な値段(7,350円)なので今ひとつ踏ん切れていない。

年末に純正のリストストラップ(STP-WS2)を手に入れた。肩掛け用の一般的なストラップよりも使い勝手がイイ。カメラを正面から見て右側の三角リングは閑を持て余し中。
プロテクトフィルターも、安価なサードパーティ製のものから純正のカールツァイスに変更。自己満足以外の何ものでもない気もするが……。

 今回トライアルとして、レンズ補正機能の効きをあらためて確認してみた。DSC-RX1のレンズ補正には、「周辺光量」、「倍率色収差」、「歪曲収差」の3つの補正機能が搭載されており、デフォルトでは順番にオート/オート/切にセットされている。ここでは、絞り値別に周辺光量補正(他の補正は全てOFF)の効き具合のチェックと、全ての補正をオート(ON)にしたときと反対に全て切にしたとき(絞りはF5.6にセット)の描写の違いをチェックしてみた。

レンズ補正は「周辺光量」、「倍率色収差」、「歪曲収差」の3つを搭載。検証した結果では、それぞれ高い補正効果が得られる。デフォルトの設定は画面のとおり。

・作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

※共通設定:DSC-RX1 / 約15MB / 6,000×4,000 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm

F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
F22

 まずは周辺光量補正だが、実によく補正されている。同じ絞り値でオートと切を見くらべてもらえばわかるが、どの絞り値でも効果的だ。特別な撮影意図が無ければデフォルトであるオートにしておいて問題はないだろう。むしろ気になったのは、補正が切の場合、F22まで絞り込んでも周辺減光が発生していることだろう。補正したものと見くらべているので、特にそう見えるのかもしれないが、通常は開放から3段ほど絞れば大きく解消されるレンズが多いだけに不思議に思えるところだ。

 倍率色収差補正については画面周辺部のタイルのエッジを見れば分かるが、こちらもよく補正されている。これもデフォルトはオートなので、そのままでよいだろう。一方、歪曲収差補正の効果は拡大しなくても、わかるほど。タル型のディストーションを上手く補正している。こちらはデフォルトでは切となるが、水平線や垂直線が気になるような時は積極的に活用したい機能である。ただ、歪曲収差補正をONにすると、画角がわずかに狭まることは憶えておきたい。

周辺光量補正:ON / 倍率色収差補正:ON / 歪曲収差補正:ON
周辺光量補正:OFF / 倍率色収差補正:OFF / 歪曲収差補正:OFF

 無理目の女と思っていたDSC-RX1は、いざ付き合いはじめると、とても素直な良い子である。どこぞの姉妹のように気難しいところもなく(それがよいというマニアの考えは否定はしないが)、ストレス無く撮影が楽しめる。JPEGフォーマットでも文句ない階調再現性を誇り、高感度のノイズレベルの低さも圧倒的。付き合う前は、プライドが高くお高くとまっているように見えていたけど、本当はこまごまと面倒見のよい良妻賢母な子だったのね、と改めて見直してしまったのである。

カメラ下部を写した写真だが、何を言いたいかといえば、三脚ネジ穴の位置。真面目に光軸上に備える。もし、何も考えてないような位置に三脚ネジ穴があったら、個人的にはこのカメラの魅力は半減していたかも。
購入当時よりもちょっと緩くなったような気がするアクセサリーシュー(マルチインターフェースシューとソニーでは呼んでいる)。光学ファインダーの紛失には注意したいところ。
カメラ上部のCボタンと、背面部にあるコントロールホイールの左、右、下の各ボタンは好みで機能を割り当てることができる。割り当てている機能はキャプチャー画面どおり。

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。